現在のアプローチ

アプローチから洋風ガーデン入り口アーチを望む
私たちもカタログや大規模なガーデンショーなどで、各社から販売されているたくさんのアーチを見てきました。しかし、例えばデンマーク製やスウェーデン製のものはやたらに大きなアーチで、私たちのような小さな庭には全く不釣り合い。また、値段の安いものは、それだけ質感が落ちるし、デザインもあまり気に入ったものがありません。

そこで、こうなったらパティオに設計したパーゴラのように、自分でデザインするしかないなと思いました。実際の話、私のところのような狭い入り口に、気に入ったアーチを建てるとなると、既成の製品はどだい無理がありました。自分で設計すれば、そのような制約を分かった上で、少しでもいい結果が出るように、現場に合わせて工夫することができます。

さっそくCanvasというグラフィックソフトを使って、まず2種類のデザインを設計しました。その上で、現場に棒を立てて、人の通る開口部は十分か、高さはこれでよいかなど検討してみた上で、再び設計図の細部を調整し、再度現場で検証。この繰り返しを経てようやく最終案が決まりました。そうして、今年(1999年)の初夏にようやく完成したのが、右の写真のアーチです。

ガーデンの入り口にこのアーチが出来たことで、ちょうど額に入った絵のように、その先に見える洋風ガーデンが引き締まって見えるようになりました。そして、アーチの先に何かがあるという期待感が、一層高まったと思います

アーチ入り口より和風ガーデンを望む
左の写真は、2000年4月半ばに撮った写真です。5月も半ばを過ぎて木々の葉も茂り始めると、アーチを通して和風ガーデンの奥までを見通すことはできなくなりますが、この時期ではまだ和風ガーデンの一番奥まで、すっかり見通すことができます。

新しいことといえば、和風ガーデンに石灯籠を置いたこと。数多くの石屋さんを巡り歩いた末に探したこの石灯籠は、手彫りの石灯籠で「木屋町善導寺型」(柴田徹作)という形式のものだそうな。石灯籠を探し始めるまでは、それぞれの灯籠に由緒ある名称がついていることは、まったく知りませんでした。

最近では、ほとんどの石灯籠はコンピュータ制御された機械で、軟らかめの石や人口石を削って作るようです。そのため、どの石屋さんに行っても同じようなものばかり。愛着を持って自分の庭に置きたいものはありませんでした。

それに比べると、手彫りの石灯籠は、ノミの跡が見て取れるほどラフなところがありますが、その分とても素朴で存在感があります。幾何学的に単純なスタイルのこの石灯籠は、素朴でありながらとてもスマートで、ご覧のように洋風ガーデンから見ても、まったく違和感なく眺めることができます。

そして何より、入り口のアーチのど真ん中に位置しているので、アーチから覗いたときに、目の焦点が一番奥の石灯籠に定まり、庭に一層奥行きを感じさせるようになりました。

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