3日目 〜丹頂とSL〜
昨日の天気と変わって、一日曇りの予報が出ていた。 レンタカーが8時からなので、早めの朝食の後、ホテルをチェックアウトする。 駅レンタで軽四のレンタカーを借りる。一人で動くには十分。ちょっと大雑把なカーナビを頼りにとりあえず鶴が来るという茅沼駅を目標に。 予想はしていたが、北海道の広さを痛感する。走っても走ってもカーナビの画面が進まない。 |
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茅沼駅に着いたのが10時を過ぎていた。思ったより小さな無人駅は人影も無く、寂しい感じ。 ホームの向こうに丹頂鶴の姿が見えた。
ホームへ出ると、線路のすぐ脇に親子の鶴が3羽。 昔、駅にまだ駅員がいた頃に餌を与えた頃から鶴が来るようになったそうで、今でも給餌場になっているらしい。 しばらく撮影していると、ディーゼル列車が入ってきた。列車に慣れているのだろうか、まったく驚く様子も無く餌を探している。 |
列車から降りてきたおじさんが声を掛けて来た。聞けば列車を乗り継いで鶴を撮りに来たという。 「昨日は白鳥を撮って来たんです。」と自慢げに話していたが、長野から来たことと白鳥は長野にも来ることを話すと羨ましそうにしていた。 12時過ぎのSLを撮ってから帰るとのことで、1時間以上近くをブラブラしながら待っているそうだ。
こっちはレンタカーがあるので、SLが来るまでの1時間以上、鶴居村まで行けるかどうか移動してみた。ナビに導かれ釧路湿原を横切ることに。しばらく行くと途中から非舗装の道になった。 |
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昨日からの暖かさからか雪が解け、泥水が溜まった道を進む。 途中の川では、数人の釣り人の姿。昨日聞いた寿司屋の大将の大きな魚の話を思い出した。 鶴居まで1時間もあれば往復できると思って移動をはじめたのは良かったが、悪路に阻まれ、SLの時間が迫っていたので途中で断念して引き返した。 悪路でお供の軽四レンタくんは真っ黒になっていた。 |
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待つこと数分。釧路発標茶行きのSL『冬の湿原号』の姿が見えてきた。 実際に目の前でSLの走る姿を見るのは、子供の頃に実家の近くでSLのさよなら運転を見に行って以来。(ただしほとんど記憶に無い) 目の前を通過する力強い雄姿にシャッターを切った。 SLの迫力に魅了され、標茶駅まで移動することにした。
ダイヤによれば、うまくいけば途中で追い越し、もう一度撮影できるだろうということで標茶駅を目指した。 |
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何とか間に合い、標茶駅の手前で撮影する。やっぱり不思議な魅力がある。 熱心なマニアの気持ちもわからないでもないというところ。 ところでこのSL。NHKの朝ドラの撮影用に、引退して標茶駅に展示されていたものを再度整備し直したものだそうで、四季を通じてイベント列車として運行しているそうである。 しばらく標茶駅で入れ替え作業などを見学。 昼食の時間も過ぎていたので、駅で駅弁作戦でも・・・と探したのだが、この駅に駅弁は無かったようだ。その上、周辺にはこれといった食堂もほとんど無い。地元の名物料理でもと周辺を探すが特に無いようだ。 気まぐれに来た町。諦めて車を走らせることにした。 |
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次の目的地は、鶴居村。 村の名前のとおり、かなりの数の鶴が来るところがあるらしい。 釧路市内から釧路湿原の西部を北上すれば1時間くらいで到着する位置なのだが、今回はSLの追っかけをしてしまったため、湿原のまったく逆方向の東側に来ていた。 カーナビに導かれながら一路鶴居村を目指す。 結局、標茶まで来たことが良かったのか、午前中に走破した悪路ではなく、しっかり舗装された道を移動することになった。 途中、180度全く山が見えない台地の上のようなところを走る。長野というところにいると普段では決して体験できない風景。
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1時間以上も走っただろうか、やっと鶴居村の看板が見えてきた。 目指すは「鶴見台」という場所。午後2時頃にやっと到着した。 |
道路沿いに駐車場があり、その奥の牧場のような場所に、数え切れないくらいの丹頂鶴がいる。 「ありがたくないほどいるよ。」昨日の寿司屋の大将が言っていた言葉を思い出し、納得した。 餌付けをし、管理された中での鶴。午前中に見た茅沼駅の鶴とは違った感じがする。 平日にもかかわらず、観光バスがひっきりなしに到着し、見学場所では、記念写真をとる人で一杯だった。(ただし数は鶴の方がまだまだ多かった。)
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昼食も取らずに走ってきたので、鶴見台の道路を挟んだところにある喫茶店で昼食を食べる。 「塩ラーメン」を注文すると、店員さんが「ここの窓から見える方向に水場があって、鶴見台へ飛んでいく鶴が見えますよ。」と教えてくれた。 なるほど、さっき鶴見台でこの喫茶店の裏手から飛んでくる鶴が数羽いたことを納得した。 ラーメンは結構おいしかったが、結局最後まで飛んでくる鶴の姿を見ることは無かった。 この喫茶店の2階がギャラリーになっていて、この周辺で撮られた鶴などの写真が展示してあった。湿原の四季を感じさせられる写真に感動する。
喫茶店を後にして、再度、鶴見台に戻る。 三脚を据えてカメラを構えていた人の話では、この時期有名な求愛ダンスは終わっているとのこと。「今のは、ただの喧嘩だよ。」あっさり言われるとかなり味気ないものである。 正式な?案内人はいないようだが、結構頻繁に訪れている人の中にはこのような案内好きな人がいるようで、カメラを覗いている時間より周りの人と話している時間の方が長いのではないかと思ってしまう。
シャッターを切りながら、気が付けば2時間くらいが過ぎていた。 この時期公園は、4時半で閉鎖される。 枚数は撮影できたが、満足できるものがあったかどうか・・・そんな疑問を持ちながら鶴見台を後にした。
釧路市内まで1時間ちょっと、レンタカーを洗車して返したら6時を過ぎていた。 今日は、午後11時発の夜行列車に乗る。 コインロッカーに荷物を入れて、釧路駅前に出た。 ちょっと寂しい感じの駅前で、繁華街までは少し距離がある。 炉辺焼き発祥の地とのこと、小さめの炉辺焼きの店に入った。 ビールを飲みながら食べた、お通しの塩茹でジャガイモ塩辛添えが結構おいしかった。
駅前に銭湯でもあれば入りたかったのだが、周辺には無し。 列車の時間まで待合室で「釧路湿原殺人事件」を読んだ。さすがに今日訪れた場所だけに、情景が浮かぶ。
午後11時の発車を前に、改札が始まる。 指定席を取ってあったので、席を探す。 乗り込んだ2号車は、真っ暗だった。「夜行列車だからかな?」と思いながら車内に入ると、職員と思われる人が一人。「この列車は増接2号車だから・・・」とのこと。 なるほど正規の2号車は、明かりがついていた。 11時の発車後、すぐに検札があり、終了するとすぐに消灯となった。 |
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