【信州温泉日記】　小瀬温泉・小瀬温泉ホテル


小瀬温泉・小瀬温泉ホテル（こせおんせん・こせおんせんほてる）

至高の温泉とゆったりとした時間

初冬の軽井沢、小瀬温泉に一泊した。軽井沢は、自宅から十分に日帰り可能な場所だし、料金設定も概して高めなので、積極的に泊まろうとは思わなかったが、小瀬温泉には、ひかれるものがあった。軽井沢のベストシーズンは、初夏～夏なのだろうが、訪れることができたのは、今年初めてまとまった雪が降った後になった。寒いが、目的は温泉に入ることだし、夏とは違う一面を見られるかもしれない。佐久で昼食後、軽井沢に向かう。賑わう旧軽銀座を横目に見て、白糸の滝方面へ。旧三笠ホテルを過ぎ、白糸ハイランドウェイに入ると山坂道が始まり、それまでの軽井沢らしい景色とは一変する。
有料道路料金所の直前を右折して少し進むと、小瀬温泉ホテルに到着する。軽井沢駅周辺の喧騒とはかけ離れ、深い森に囲まれた静寂の中の一軒宿。北アでも使える携帯電話が、圏外の表示になった。チェックイン時刻が13時からというのが、大変ありがたい。宿で過ごす時間が少しでも長くなるように、13時ちょうどに到着した。今日の宿泊客は、5組と聞いたが、筆者一家が一番乗りだった。暖炉のあるラウンジを通り、部屋へ案内される。部屋は10畳で、4人分の応接セットのある広縁は、一般的な旅館よりも広め。テレビは最新型の32インチ。各部屋にも風呂があり、しっかり温泉が出る。
まずは、貸切露天風呂に入る。2ヶ所あり、フロントで鍵を借りて利用する。1回の利用時間の目安は、40分間。もともとあった客室を改装して、露天風呂を作ったそうで、脱衣所も、ゆったりしている。露天風呂は、総檜造りで南向き。湯舟は、3～4人入れる大きさで、お湯に浸かると正面に白く雪化粧した森が見えた。お湯の色は透明で、若干の湯の華あり。刺激の少ないやわらかな感触で、かけ流し。気温が低く、湯舟の外に出ると寒いが、お湯に浸かっていれば極楽。熱めのお湯がどんどん供給されるが、湯舟に工夫がしてあり、表面だけが熱くなるのではなく、湯舟全体がちょうどよい温度だった。
夕食の前、内湯にも入った。お湯の投入量が多く、溢れたお湯が湯舟の縁全体から川のように流れ出していて、圧巻。信州では、来馬温泉・風吹荘や神林温泉・仙壽閣と並ぶ、見事なオーバーフロー。浴室に入った時に、一瞬アブラ臭を感じたが、お湯自体はほとんど無臭。湯口から、幅広の階段状になったところを通って湯舟に流れ込むようになっているのは、お湯の温度を下げるためらしい。 1時間で約6割のお湯が入れ替わると聞いたが、たっぷりのお湯は、さすがに新鮮な感じがして、入浴感も抜群で、至高のひととき。泉質以前に、新鮮であるかどうかが、感触を左右するものだと実感した。
夕食は、食事処でとる。和洋折衷のメニューで、珍しい食材を使ったり、凝ったものはないが、手作り感のある料理だ。ラムチョップや鯉こくなど、人により好き嫌いが分かれると思われるメニューもあった。風呂や廊下では会わなかった他の宿泊客を、食事処で初めて見かけた。小さい子供連れの家族もいたが、この時期にわざわざ小瀬温泉を選んで来るだけあって、旅慣れてそうな雰囲気の面々だった。寝る前に部屋の風呂を温泉で満たし、軽く入浴した。とても狭い風呂なので、使わないつもりだったのだが、それでも温泉なので、心地よさは格別。翌朝、浴槽の底には、湯の華らしきものが沈殿していた。
宿の建物は、雰囲気よく、新しくはないものの、必要な設備投資を行ない、手入れされていると見てとった。軽井沢にありながら、バブル期などに、過度な拡大路線に走らなかったことに敬意を払いたい。 1泊だけだったが、早いチェックインのお陰で、時間はたっぷりあるため、家族とゲームをしたり、本を読んだりして、ゆっくり過ごすことができた。時間に追われないという環境が、とても贅沢に感じる。軽井沢としては、良心的な料金設定だと思うが、よい意味で料金相応のサービスを受けられる、ちょうどよい宿だ。ちょうどよいということが、肩肘張らずリラックスできた理由だと思った。


Data

【所在地】　長野県北佐久郡軽井沢町小瀬温泉　【営業時間】　日帰り入浴不可　【定休日】　不明　【料　金】　1泊2食13,800円～　※今回宿泊した部屋15,900円　【駐車場】　約10台（無料）　【源泉名】　小瀬温泉2号泉　【泉　質】　単純温泉，pH7.8 　【泉　温】　44.7℃（気温8℃）　【湧出量】　90Ｌ／分　【加温】　なし　【加水】　あり（温度調節のため、1割程度加水）　【循環】　源泉かけ流し（完全放流式）　【入浴剤】　なし　【殺菌剤】　なし　【飲　泉】　不明　【設　備】　内湯男女各1，貸切風呂1 　【備　品】　洗面器，シャンプー，ボディーソープ　【最新入浴日】　2010年12月　【付近の温泉】　　星野リゾートの日帰り温泉施設　「星野温泉・トンボの湯」　　軽井沢らしいリゾート温泉　「軽井沢千ヶ滝温泉」　　浅間山の眺望と飲泉できるお湯　「信州八重原温泉・アートヴィレッジ明神館」　　次から次に客が訪れる日帰り温泉施設　「みづほ温泉・湯楽里館」
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至高の温泉とゆったりとした時間

初冬の軽井沢、小瀬温泉に一泊した。軽井沢は、自宅から十分に日帰り可能な場所だし、料金設定も概して高めなので、積極的に泊まろうとは思わなかったが、小瀬温泉には、ひかれるものがあった。軽井沢のベストシーズンは、初夏～夏なのだろうが、訪れることができたのは、今年初めてまとまった雪が降った後になった。寒いが、目的は温泉に入ることだし、夏とは違う一面を見られるかもしれない。佐久で昼食後、軽井沢に向かう。賑わう旧軽銀座を横目に見て、白糸の滝方面へ。旧三笠ホテルを過ぎ、白糸ハイランドウェイに入ると山坂道が始まり、それまでの軽井沢らしい景色とは一変する。
有料道路料金所の直前を右折して少し進むと、小瀬温泉ホテルに到着する。軽井沢駅周辺の喧騒とはかけ離れ、深い森に囲まれた静寂の中の一軒宿。北アでも使える携帯電話が、圏外の表示になった。チェックイン時刻が13時からというのが、大変ありがたい。宿で過ごす時間が少しでも長くなるように、13時ちょうどに到着した。今日の宿泊客は、5組と聞いたが、筆者一家が一番乗りだった。暖炉のあるラウンジを通り、部屋へ案内される。部屋は10畳で、4人分の応接セットのある広縁は、一般的な旅館よりも広め。テレビは最新型の32インチ。各部屋にも風呂があり、しっかり温泉が出る。
まずは、貸切露天風呂に入る。2ヶ所あり、フロントで鍵を借りて利用する。1回の利用時間の目安は、40分間。もともとあった客室を改装して、露天風呂を作ったそうで、脱衣所も、ゆったりしている。露天風呂は、総檜造りで南向き。湯舟は、3～4人入れる大きさで、お湯に浸かると正面に白く雪化粧した森が見えた。お湯の色は透明で、若干の湯の華あり。刺激の少ないやわらかな感触で、かけ流し。気温が低く、湯舟の外に出ると寒いが、お湯に浸かっていれば極楽。熱めのお湯がどんどん供給されるが、湯舟に工夫がしてあり、表面だけが熱くなるのではなく、湯舟全体がちょうどよい温度だった。
夕食の前、内湯にも入った。お湯の投入量が多く、溢れたお湯が湯舟の縁全体から川のように流れ出していて、圧巻。信州では、来馬温泉・風吹荘や神林温泉・仙壽閣と並ぶ、見事なオーバーフロー。浴室に入った時に、一瞬アブラ臭を感じたが、お湯自体はほとんど無臭。湯口から、幅広の階段状になったところを通って湯舟に流れ込むようになっているのは、お湯の温度を下げるためらしい。 1時間で約6割のお湯が入れ替わると聞いたが、たっぷりのお湯は、さすがに新鮮な感じがして、入浴感も抜群で、至高のひととき。泉質以前に、新鮮であるかどうかが、感触を左右するものだと実感した。
夕食は、食事処でとる。和洋折衷のメニューで、珍しい食材を使ったり、凝ったものはないが、手作り感のある料理だ。ラムチョップや鯉こくなど、人により好き嫌いが分かれると思われるメニューもあった。風呂や廊下では会わなかった他の宿泊客を、食事処で初めて見かけた。小さい子供連れの家族もいたが、この時期にわざわざ小瀬温泉を選んで来るだけあって、旅慣れてそうな雰囲気の面々だった。寝る前に部屋の風呂を温泉で満たし、軽く入浴した。とても狭い風呂なので、使わないつもりだったのだが、それでも温泉なので、心地よさは格別。翌朝、浴槽の底には、湯の華らしきものが沈殿していた。
宿の建物は、雰囲気よく、新しくはないものの、必要な設備投資を行ない、手入れされていると見てとった。軽井沢にありながら、バブル期などに、過度な拡大路線に走らなかったことに敬意を払いたい。 1泊だけだったが、早いチェックインのお陰で、時間はたっぷりあるため、家族とゲームをしたり、本を読んだりして、ゆっくり過ごすことができた。時間に追われないという環境が、とても贅沢に感じる。軽井沢としては、良心的な料金設定だと思うが、よい意味で料金相応のサービスを受けられる、ちょうどよい宿だ。ちょうどよいということが、肩肘張らずリラックスできた理由だと思った。


Data

【所在地】　長野県北佐久郡軽井沢町小瀬温泉　【営業時間】　日帰り入浴不可　【定休日】　不明　【料　金】　1泊2食13,800円～　※今回宿泊した部屋15,900円　【駐車場】　約10台（無料）　【源泉名】　小瀬温泉2号泉　【泉　質】　単純温泉，pH7.8 　【泉　温】　44.7℃（気温8℃）　【湧出量】　90Ｌ／分　【加温】　なし　【加水】　あり（温度調節のため、1割程度加水）　【循環】　源泉かけ流し（完全放流式）　【入浴剤】　なし　【殺菌剤】　なし　【飲　泉】　不明　【設　備】　内湯男女各1，貸切風呂1 　【備　品】　洗面器，シャンプー，ボディーソープ　【最新入浴日】　2010年12月　【付近の温泉】　　星野リゾートの日帰り温泉施設　「星野温泉・トンボの湯」　　軽井沢らしいリゾート温泉　「軽井沢千ヶ滝温泉」　　浅間山の眺望と飲泉できるお湯　「信州八重原温泉・アートヴィレッジ明神館」　　次から次に客が訪れる日帰り温泉施設　「みづほ温泉・湯楽里館」
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