終了■ 6月24日(月)学習会
講師:大谷育夫氏(内科医師)
演題:「杉並病」の現状
場所:朝陽団地C棟
集会室
大谷育夫先生をお招きしての学習会:参加約100名
お話しの要旨:
中継場の稼働は2月からだが、3月位から体調不良を訴える患者が増加した。
でも、原因が中継所だとは考えもしなかった。家内など、素敵な公園ができたと
喜んで毎日ラジオ体操に出かけていた。まあ、やたら植木が枯れているなあと
思って見てはいたが。
その内に、家内がやたらと疲れる疲れると言い出し、ラジオ体操にも出かけなく
なった。また、ピアノも楽譜が読めないといって弾かなくなった。
隣の奥さんは2階に上がるのに途中で休むようになった。家内は掃除機が使え
なくなった。
近くに新潟の学生寮があったが、学生がどんどん退寮しているという話を聞いた。
寮の管理人となんだか具合が悪いという話を聞いているところに退寮した学生が
忘れ物を取りに来た。で、話を聞いてみると、郷里に帰ると気分がよくなるが、寮に
帰ると具合が悪くなる。友人の家に行っても体調がよくなる。こんなことの繰り返し
で寮にいたら死んでしまうのではないかと思い退寮したということだった。
どうも問題は中継所ではないかと思うようになった。
都はずーっと否定してきた。風邪じゃあないかとか、何だとか。そして、平成8年
3月頃不燃ゴミを大量に集めたために腐敗して硫化水素が発生それが原因で
体調不良の人が出たのではないかと言い出した。実際には硫化水素が原因なら
急性症状になるはずで、該当者とされる6人の人も認定委員会で該当しないと
されてしまったほど、デタラメな主張なのだ。そんなことで、放置できないと思い
取り組み始めたのだ。
私たちは、質問事項100項目位を用意して、およそ400人の人を対象に調査をし、
297人の方から聞き取り調査ができた。
症状1:89人の人が家にいると具合が悪いが、旅行に行くと軽くなるという。
戻ってくるとまたぶり返す。(30%)
症状2:風邪がなおらない。一月も二月も直らない。1年中引きっぱなしという人
もいる。148人(50%)
症状3:175人はいつまで持つづく疲労感がある。慢性疲労症候群といえる。(60%)
足の裏に針で刺すような痛みがある。61名(20%)
これは絶対異常な数字だ。
普通は100人で1人もいない程度だ。その内の43人は家を離れると楽になるという。
都も調査をしたが、実におざなりで10軒ぐらい回って調べただけ。
そうして「幾ら調べても何も出てこないという」
平成13年8月にもアンケート調査をした。回答は91名、その内初めての人が
63名。で、症状1が36名(40%)症状2が31人(34%)症状4が11人(12%)
前回と非常によく似た比率だ。つまり、これが杉並病の症状なのだ。
しかし、都の権威ある医者達は「検査で何か出ましたか、出ないでしょう」などという。
「更年期症状ではないか。心身症だろう」「操業を止めたって改善しない」等ともいう。
実に権威というものは傲慢だ。近く調停委員会の判定が出るというが、全く当てに
ならないと思う。
現在、操業当初のような激しい症状は少ないがそれは排気筒にフィルターが付いた
からで、依然として、目がちかちかする、咳が止まらない、疲れる、手足がしびれると
変調を訴える人が跡を絶たない。
プラスチックから出る化学物質が人体にはいると異常が出る。そんな物質が分かって
いるだけで70ないし80ある。これらは神経伝達物質と競合して、伝達異常を起こすと
考えられる。何処の伝達異常かによって症状が変わるのだろう。穏やかだった女性が
突然荒々しくなることもある。
そして、化学物質過敏体質の人は、こうした物質がごく微量でも反応してしまうことが
分かってきた。脳細胞の発育を阻害することも考えられる。自閉症や多動症の原因も
あるいはこうした物質が原因の発育障害かも知れない。だから、できるだけ排出しない
ようにみんなで考えてゆかねばならない。
行政や御用学者は「因果関係が分からない」というが、我々は、しっかりと見定めて
ゆかなくてはいけない。今、日本は世界1の汚染国になっているのだ。
その後、星谷さんという方のテープを聴きました。中継場のすぐ近くに住んでおられた方です。
中継場ができたとき、毎日靄で包まれているようになった。鳥も蝶もいなくなった。
もう砂漠のようだった。でも、この靄が、危険な化学物質と知らずにどっぷりと浸かっていた。
健康で元気だったのに、生きる気力もなくなってしまった。
この地を離れて実家に帰ったが、私の体はあまりにもどっぷりと汚染物質に浸かって
しまっていた。私の体から、毛穴から虫がはい出すように化学ガスが出てゆくのが分かる。
ゴキブリが出て母が殺虫剤をまいたら、ゴキブリは逃げてしまったのに、6mも離れていた
私は痙攣を起こした。もうこのまま死ぬかと思った。
こんな様子で、この6年間を生きてこられたそうです。
大谷先生は、中継場は杉並の他に5つ位あって、それらではこのような症状は出ていない
といわれるが、それは、汚染物質が拡散していて、症状のある人が特定地域に集中して
いないからだともいわれました。そして、多分、この木工団地でも杉並のような激しいことは
起きないだろうが、徐々にむしばまれる可能性があるともいわれました。
多分そうだと思えます。そして、症状を訴える人には「更年期症状だ」とか「怠け病だ」とか、
適当なことが投げつけられることになるのではないでしょうか。
(戻る)