2011/02/11
機動戦士ガンダムSEED・ミラースタイル
勝手に創作粗筋
戻る
作:森宮照


・前書き
 ガンダムシードの物語はタコい、と言う事から当時、かなり勝手に再構成した物語。しかしこの後、SEEDのみで終わらずディスティニーとかスターゲイザーとかアストレイも怪しげな方向へと次々至ってくれて、個人的には補正が追い付かず途中で微妙にサジを投げてしまった部分はあった(-_-;)。

ともかく、大体書ける範囲で書いておこうとふと思ってみる。好評なら続刊予定w。

機動戦士ガンダムSEED・ミラースタイル



■機動戦士ガンダムSEED・ミラースタイル
・人類が宇宙に進出して、年号も「コズミックイラ」と変わった未来。人類の一部は宇宙を生活環境とする事を決断し、そこにスペースコロニーを建造して国家を形成し始めていた。そんな宇宙移民らによって宇宙開発が進むウチに。火星付近には実は人類以前の生命体と、先史文明らしき物が存在していた事が判明する。後に「宇宙くじら」と呼ばれる生命体の化石を象徴として、彼ら宇宙移民は地球連合とは独立してその解析を始め、やがてそこから、人類を進化させうる遺伝子の存在その発見へと至る。宇宙移民らの一部はそれを人間に投与、それにより飛躍的にその能力を高める事に成功。「コーディネーター」と呼ぶ新人類が誕生し、それは国家プロジェクトとして広がっていった。それまでの人類は「ナチュラル」と呼ばれ、しかしやがて、ナチュラルとコーディネーターの間には生理的嫌悪に似た確執が芽生え始め、膨らんでいった。やがてZAFT軍誕生。コーディネーターらの強硬派により結成された軍隊により、「モビルスーツ」と呼ぶ、人類には操舵不可能とも言える超兵器が誕生した事で、それまでの数的不利が覆され、ナチュラルらにとって大きな脅威に成っていった。両者による軍縮、講和条約の話し合いは平行線を辿る。コーディネーター計画の不可解さに危機感を抱いた地球連合はその監査を要求、拒否したZAFTとの間で、やがて軍事的緊張へとそれは高まっていった。

「血のバレンタイン」事件。それまでに小さく頻発したコーディネーターとナチュラル間の軍事的衝突は、その時はしかし、戦略的な意味の全くない小さなコロニーを舞台に始まった。それまでも、地球連合はそれでも核兵器による抑止力によりZAFTを押さえていたが。やがてZAFTにより「我々はニュートリノジャマーの開発に成功した。核攻撃など意味は無い」その宣告が成される。それは核兵器を、さらに核動力さえも事実上無効化すると言う特殊な兵器で、それがもし事実であるとすれば、兵装に劣る地球連合軍に取っては重大な脅威だった。それが開発されている、と言う情報を掴み、そのコロニーへと侵攻する地球連合軍、不自然に?集結するZAFT。地球連合軍はそのコロニーがニュートリノジャマーの開発拠点であると断定し、強制的な接収を計り、その結果、ZAFT軍との激しい戦闘が始まった。軍事的に押された地球連合軍はやがて核兵器の使用を宣言。だがZAFTは全く怯まなかった。地球連合軍の司令官はそれにより、「ニュートリノジャマーは有る」事を断定し、その正体を見る為に、核兵器を使用してしまう。だが、その場でニュートリノジャマーが使われる事は無かった。核弾頭はコロニーへ命中。コロニーを、そこで暮らしていた五〇万人近くの民間人と共に爆発四散させてしまい。それを境にして、地球連合軍とZAFTは絶望的な全面戦争へと陥った。

その後は、ZAFT軍の持つMSと、そして”その後に”使われたニュートリノジャマーの存在により、地球軍は急激に戦力を失い後退させられた。ZAFTは「人間として劣り非道なナチュラルに変わって我々こそが地球の支配者で有るべきだ!」そう主張し、地球の全面支配をもくろみ地球圏へとその勢力を伸ばしていった。連合地球軍は窮地に陥り、何とかMSに対抗しうる兵器の開発を急ぐが芳しい成果が上がらない中、当時ZAFTに対し中立の立場を取っていた「オーブ」と言うナチュラル、コーディネーターが混在する宇宙国家から打診がある。ナチュラル仕様のMS開発に対して協力する用意がある、宇宙連合はその提案に飛びつき、奇妙な協力体勢の中で、ナチュラル仕様のMS開発が始まる。

 オーブも、次第に圧政を強めるZAFT軍に対して危機感を抱いていたのだ。表面上ZAFTとは中立、協力体制では有っても、いつZAFTが強圧的な態度に出るか解らない。それ故に独自の対抗兵力を密かに開発する必要に迫られていた。地球連合の持つハード技術を供与してもらう代わりに(ハード技術だけなら、地球連合軍のそれはZAFTの持つ技術を上回っていた)、”それ”をナチュラル仕様にするソフトウェアの開発を担当。もちろん地球連合もそのまま供与する筈が無く、最低限の技術でしかないが、それによりオーブの技術者により「ガンダム」と言うOSと、「アストレイ」と呼ぶMSが開発される。その頃同時に地球連合軍は独自に、ザフトのMSに対抗しうるMS「ガンダムシリーズ」を開発。オーブにも思惑は有った。ソフトウェア面では優位を握っておきたかったのだ。が、その結果として秘密開発工場がZAFTによって発見され、襲撃を受ける。結果的にOSソフトウェアの喪失を招いて、地球連合軍は窮地に陥った。

秘密工場の襲撃により、ZAFTに強い疑念を持たれたオーブは地球連合へと大幅な協力を進言。結果的に、民間コロニーの一部を秘密MS開発施設として提供する事を、もちろん住民の同意無く決定した。地球連合軍製の新造戦艦「アークエンジェル」と、開発されていたガンダム各機が極秘裏に運び込まれる。しかし、その情報もZAFTには漏れていた。中立コロニーに対してザフト軍襲来、「ガンダム」の強奪と言う事態が起こる。ただその時、一機の、「ストライクガンダム」と呼ばれた機体だけは。民間人「キラ・ヤマト」の協力により強奪されずに残る事になった。だがZAFT軍はそのオーブのコロニーを、裏切り者であるとしてそのまま破壊してしまう。アークエンジェルはその後、ザフト軍の追撃をからくも振り切り、キラ・ヤマトの活躍もありガンダムを持って地球連合軍の拠点へと逃れる事に成功する。幸運にもその逃亡中に、民間のジャンク業者により発見されたMS「アストレイ」と、それに搭載されていたMSをナチュラル仕様にするOS「ICS(インテリジェントコンバットシステム)」を入手する事に成功。かくして、連合軍によるMS開発と量産は一気に加速する事になり、ZAFT軍に対抗しうる戦力がようやく整い始めた。

その頃、ZAFT軍の中でも変化が起こり始める。あまりにも強硬路線を取る軍部、そして政治家に対し、国家主席の娘、「ラクス・クライン」とその周囲の人々が造反を画策していたのである。開発が急がれた新型のMSは、地球連合軍から奪ったMS技術を彼らが改良、増幅した物で。ラクスはそこに、何の正義も見出す事は出来なかった。やがて彼らは新型戦艦と新型MSの一機「フリーダムガンダム」等を奪い逃走、連合軍へと亡命する事になり、連合軍は「血のバレンタイン」事件の真実を得る事になった。

 実際には、コーティネーター計画には致命的な欠陥が有ったのである。遺伝子操作によりコーディネーターの多重意識が発生する際に、かなりの確率で意識障害が産まれ、まともな生活が困難に成ってしまう。そしてコーディネーターから新たにコーディネーターが産まれる際も、1〜2%の割合で重い知的障害児が産まれた。運良くコーディネーターとして問題が無かった場合も、その能力には著しくばらつきが出て、それが結果的には酷い格差/差別/能力主義的社会をも形成する事にもなった。彼らはその欠陥を隠す為に必然的にファシズム的な思想性を強めていったのである。そして、「血のバレンタイン事件」で犠牲に成ったコロニーは、その1〜2%に及ぶ「欠陥品」達五〇万人が暮らす隔離病棟的なコロニーだったのだ。

 事件当時既に、ニュートリノジャマーは開発されていたのである。だが、コーディネーター計画の失敗が露見するのを怖れたZAFT軍は、その証拠隠滅と共に、その「欠陥品」達も処理する作戦を思い付いた。連邦に上手く核弾頭を撃たせる事が出来れば、証拠隠滅も出来、そして地球圏への軍事的侵攻、その強い大義名分も出来る。その為に意図的に誘導して情報は流されたのである。計画は見事に成功、コーディネーターらはナチュラルとの全面戦争を選択し、ZAFTは政治的主導を一気に握る事に成功したのだ。

 やがて、地球連合軍とZAFT軍との総力戦が始まる。その戦乱の最中、地球連合へと亡命したラクスにより血のバレンタインの事実が公表され、その結果として浮き足立ったZAFT軍は敗走、自国コロニーまで後退させられた。しかし、降伏を決断した国家主席をZAFT軍は殺害、軍部によるクーデターが勃発してしまい、しかもその民間人が暮らす自国領土自身を盾にした籠城戦へと至る。だがその危機的事態は、敵の「アスラン・ザラ」と言う少年兵の裏切りにより潰え、ZAFT軍は敗北、壊滅し、事態はようやく終息するに至った。だがその戦乱の結果、アスラン・ザラは死亡。彼は奇しくも、幼き頃はキラ・ヤマトの親友で有ったという。

 この事態の後、コーティネーターとナチュラルの間には休戦協定が結ばれたが。ZAFT軍の全ては破壊された訳では無く、またその思想その物も根強く残り。戦乱の気運自身は、まだあちこちで微かに燻り続けていたのである。


終わり