さよちゃんレポート ファンライド掲載記事
「どうしよう〜〜、緊張してきた・・・」
レース一週間前から私たちの合言葉はこれになっていた。寝てもさめても話題は自転車のこと。
結局、「いいよね、自分達のペースで走ればいいんだから・・・」こればっかり。
いつの間にこんな自転車バカになっていたのだろう。
20代最後の年を迎え、これから続けられる何かを探したいという目標が生まれた。
そんな時に雑誌でMTBの記事を見つけ、「MTBっておもしろそう・・・」と、知り合いの自転車屋さん
に相談したのがきっかけだった。
同僚で奥さん仲間のゆっきーやみほちゃんに話を持ちかけたところみんな乗り乗り!
早速、みんなでMTBを購入してしまった。今までにみたこともない行動力だった。
初めは、街乗り感覚でたまには山にも行ってみたいなぁという軽い気持ちだった。
そして自転車を購入して2週間が経った頃、今回の「セルフディスカバリーアドベンチャー」のパンフ
レットが私たちの手元に届いた。
「ファンランにでてみようか」と3人で盛り上がっていた。ところが「練習次第で40qなら完走できる
くらいになるかもよ。」という自転車やさんの言葉にまんまと乗せられ、身の程知らずの私とゆっきーは、
40qにエントリーしてしまったのだ。
レースまでの1ヶ月半の間、週末の早朝練習が日課となった。私もゆっきーも主婦であり、母でもあるので
自由になる時間がそれほど多くはない。従って、時間の作りやすい休日の早朝に練習をすることになったのだ。
練習には一緒にMTBを始めたみほちゃんも参加し、山へ行って林道を走った。
今までママチャリしか縁のなかった私には、足の着かないMTBでダートコースを走ることは想像以上に難しく、
ブレーキ操作を誤って大転倒し、両腕両足、傷だらけになったこともあった。それでもMTBが嫌にならなかった
のは、一緒に練習してくれる仲間がいたのと、レースに出るという目標があったからだと思う。
レースが近づくと車両のメンテナンスも必要になってきた。
車両の軽量化を考えて少しでも軽いタイヤをつけたり、より乗りやすくするためにステムを調整したり。
パンクに備えチューブ交換の練習もした。そんな中、自転車やさんにフルサスバイクを進められ、今回のレース、
私は、スペシャライズドのスタンプジャンパーで出場することにした。
いよいよ、レース。前日から王滝村入りし、準備は万端。当日は朝から快晴。
やれることはやったのだと自分に言い聞かせ、いざスタート。
40q先のゴールは遥か彼方に感じられた瞬間だった。最初の10qは快調そのもの。今までの練習の成果と言わん
ばかりにいいペースで周りの人についている。
この調子だといい成績でゴールできちゃうかも…なんていう愚かな考えも頭をよぎった。
しかし、10km通過したころから斜度はきつくなり、路面にはごつごつした石が転がっている。
どこまで進んでも上りつづける道。「上ったら下るが自然の摂理でしょ。どうして上りつづけているのぉ」
なんて文句まで出る始末。
長い長い上りの後には、急な下り坂。まったく気の抜けないコースだったが、なんとか無事にみほちゃんの待つ
第3CPにたどり着いた。
26km地点で3時間半、なんとか制限時間内にゴールできるかなという希望は捨てていなかった。
CPでみほちゃんから激励を受け、気分も新たにスタートしたのもつかの間。今まで以上の上りの連続。
自転車に乗って上れたのはほんのわずか。自転車を押しながらの登山がしばらく続いた。
私とゆっきーの口数もめっきり少なくなり、黙々と上るだけ。足場の悪いところを自転車を押しながら歩くことは、
想像以上に体力を消耗し、何度も止めてしまおうかと考えた。しかし途中で止めてしまっては、今までゆっきーと
2人でがんばってきたことが無になってしまう。そして、今まで応援してくれた家族や仲間のことを考えると、
簡単に止めることなどできるはずもなく、ひたすら無言で歩いた。
残り5qとなった頃、待ち望んでいたはずの下り坂。
しかし、上りでクタクタになった私たちにとって、大きな石がごろごろしている激しい下り坂は本当に厳しいものだった。
「5qってこんなに長かった?」カーブの向こうにはゴールが見えるのではないかという期待を何度も裏切られ、
ボロボロになりながら下りつづけた。パッと視界が開けたとたん、ゴールが目の中に飛び込んできた。
あぁ、待ちに待ったゴール。
5時間58分18秒、無事完走。
感極まって涙が出そうになった。
ゆっきーと2人で走ってきたからこそゴールまでたどり着けたのだ。無言になりながらも相手のことを気遣い、
負けてたまるかと自分を奮い立たせることができた。
ゴールでは、みほちゃんや家族のみんなが私達を待っていてくれた。
炎天下の中、いつやってくるかわからない私たちのことをみんなはずっと待っていてくれたのだ。
レースで戦っていたのは自分達だけではない。ここにいるみんながいたからこそゴールまでたどりつけた。
心の底から感謝の気持ちが溢れてきた。本当にありがとう!
激しいコースではあったが、私のMTBは路面からのショックを吸収してくれ、これがフルサスバイクの効力なのかと
改めて実感した。
上りは、フロントサスペンションが岩からの衝撃を和らげ、岩の上を滑るように走り、下りでは、前後のサスペンション
がショックを吸収し、安定感が増す。フルサスバイクは安心して悪路に挑戦できる優れものだと思った。
2ヶ月前にMTBに出会った。それに賛同してくれる仲間がにいた。そのことを理解してくれる家族がいた。
そしてレースにまで出場できた。私は恵まれた環境にあるのかもしれない。
しかし、ただ待っているだけでは、こんなすばらしい経験はできなかったと思う。
自分がやりたいことだから自分で努力していろいろなことに挑戦する。
すると自然とその先に道は見えてくるものだと実感できた。また、次の目標を見つけチャレンジしていこうと思う。
私達、奥様3人組の野望はとどまるところをしらないのであった。
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