手術時


手術時の詳しい状態などを、父が知り合いの医師に相談の為に宛てた手紙から紹介します。


病名は、固形ガン低分化腺癌、アディノカルノーマ です。

○開腹時 P(+) 腹膜転移が認められ、P3膀胱近くの骨膜への転移
○腹水300cc  腹水の病理検査でもガン細胞が認められた。
○癌性腹膜炎・・・末期癌の所見、ステージ5ということです。

当初、術前の説明では、{胃全摘、食道、横行結腸、肝臓、腹膜、リンパ節}など、原発巣に近い臓器は出来る限り取り出して、根治手術を目指す。
手術時間10〜11時間ということでしたが、開腹所見で、予想をはるかに越えて転移が認められ「根治性がない」と判断し、手術は4時間、胃の3/4摘出で終了しました。

私も、家内も、兄2人も摘出した胃、腹膜を肉眼で見ながら平井教授の説明を聞きました。
原発巣は、一円玉くらいの大きさで、その周囲はクシャクシャにちぢれていました。
胃の外側の胃壁には、腹膜がぴったりと癒着して、その周囲の腹膜は白くザラザラ模様でした。
腹膜にあるリンパ節は、コリンコリンと固くなっていて、癌の転移。腹膜播種。ーという説明でした。

治療について

データでみればかなり厳しい状況だが、これまでもいくつかの例外や奇跡を経験しているので、可能な限りの治療を尽くすといわれました。
抗ガン剤の治療についても、その時期と使用する薬を検討している。いくつかの選択肢の中に、超大量化学療法も視野に入れている。

朝日病院でも、その治療が成功した患者が3人も出ているし、承知している。

この治療は、悪性リンパ種の患者に大きな効果を発揮するが、徹君の場合はすでに全身、血液の中にもガン細胞が浮遊していると考えられるので、目下他の有効な手段を検討中ー。

以上、素人の私が聞いているので、間違いも多いかと思います。
が、山田先生の誠意は心から感じました。退院後の予後についても、お世話になろうと心に決めておるところです。

何分、素人故、不安でなりません。アドバイス方、よろしくお願い申し上げます。


以上、父の手紙を、一部省略して載せました。

実際に、手術前から状況が厳しく、何とか予想より進んでいないことを願っていましたが、逆に予想を越えた転移と言うことでした。実際に摘出した胃を見ながら説明を聞いているときには、自分がいったいどこにいて何を聞いているのか、これが現実なのかどうか、誰について話しているのか、信じたくないことばかりで、受け入れることは全く出来なかった。
説明を聞いた後に病室に戻った時は、皆呆然とし、母は泣き崩れていました。とても信じられない現実に、皆なにも話せなかった。徹が病室に戻って来たとき、まだ麻酔から覚めきれない状態で、「以外と早かったじゃん」と強がっていた姿に、皆涙をこらえるのに必死だった。あんな元気な弟に、死という現実が本当に待っているのか、この時はまだとても信じられなかった。

手術から二日後の写真
 手術後、回復の早かった徹は、先生に頼んでこの写真を撮って貰った。

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