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Uka Tosen

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(As if One had Wings and were Riding on Air)

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10月の四字熟語

羽化登仙

四字熟語に秘められた先人の思い

 

Editorial and Comment
by Ko Tamura

a staff writer of zuzu creations

September, 2009

 

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    Uka Tosen

うか-とうせん【羽化登仙】

壬戌之秋、七月既望、蘇子與客泛舟、遊於赤壁之下。清風徐来、水波不興。挙酒蜀客、誦明月之詩、歌窈窕之章。少焉月出於東山之上、徘徊於斗牛之間。白露横江、水光接天。縦一葦之所如、凌萬頃之茫然。浩浩乎如馮虚御風、而不知其所止、飄飄乎如遺世独立、羽化而登仙。於是飲酒楽甚。扣舷而歌之。歌曰、桂櫂兮蘭漿。撃空明兮泝流光。渺渺兮予懐、望美人兮天一方。

蘇軾(そしょく)「前赤壁賦」

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壬戌の秋、七月既望、蘇子客と舟を泛べて、赤壁の下に遊ぶ。清風徐に来りて、水波興らず。酒を挙げて客に蜀して、明月の詩を誦し、窈窕の章を歌う。少焉して月東山の上に出でて、斗牛の間に徘徊す。白露江に横はり、水光天に接す。一葦の如く所を縦にし、萬頃の茫然たるを凌ぐ。浩浩乎として虚に馮り風に御して、其の止まる所を知らず、飄飄乎として世を遺れ独立し、羽化して登仙するが如し。是に於て酒を飲みて楽しむこと甚。舷を扣いて之を歌う。歌に曰く、桂の櫂、蘭の漿。空明を撃って流光に泝る。渺渺として予懐い、美人を天の一方に望むと。

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壬戌の年の秋、七月の十六日夜のこと、蘇子は友人と舟に乗り、赤壁山の下に遊んだ。涼風が静かに川面を吹き、波もたたない良い夜であった。杯を挙げ友人にすすめ、「明月の詩」や「窈窕」の一節を朗誦した。しばらくして、月が東の山の上に出て、斗牛の星座の間にたゆたう。白い霧の気が川の上を漂い、水の光ははるか天へと続いている。一艘の小舟の流れは行くがままに任せ、茫々として無限に近い江上をおしわけて進めば、心は広々として空中に浮かび風に乗り、果てしもなく飛んでゆくような気がし、またふわふわとして、羽が生えて仙人になり、天に登って行くように思う。

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「羽化登仙」とは、中国の古い信仰で、人間に羽が生えて仙人となって天に登ること。

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蘇軾(1036-1101)または蘇東坡は、政治家でありながら、北宋代の最高の詩人にして、書に於いても宗の四代家と称されている。

或時、詩文で政治を誹謗したと讒言を受け、投獄された後に黄州(湖北省黄州区)へ左遷となってしまう。左遷先の土地を東坡と名づけて、自ら東坡居士と名乗る事となる。名作『赤壁賦』(二つあるので前赤壁賦と後赤壁賦とも呼ばれる)が作られたのは、この黄州時代の事。しかし蘇軾が詠んだ赤壁は、実際の三国時代の古戦場ではなかった。彼自身もそのことは承知していたらしい。ゆえに現在では、蘇軾が赤壁賦を詠んだ所は文赤壁、戦場の地を武赤壁と呼んでいる。

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