2007.04新刊
 (歴史哲学関係)
「佐藤一斎 重職心得箇条 を読む」人の上に立つ者の行動指針
 
安岡正篤著(致知出版社)
第二 大臣の心得は、まづ諸有司の了簡を尽さしめて、是を公平に裁決する所其職なるべし。

 もし有司の了簡より一層能き了簡有りとも、さして害なき事は、有司の議を用るにしかず。

 有司を引立て、気乗り能き様に駆使する事、用務にて候。また些少の過失に目つきて、人を容れ用る事ならねば、取るべき人は一人も無之様になるべし。功を以て過を補はしむる事可也。また賢才という程のものは無くても、其藩だけの相応のものは有るべし。

 人々に択(よ)り嫌なく、愛憎の私心をすて、用ゆべし。自分流儀のものを取計るは、水へ水をさす類にて、塩梅を調和するに非ず。平生嫌いな人を能く用るという事こそ手際なり、此工夫あるべし。