3月定例会  代表質問 三政会


 1番、三政会、和田英幸でございます。


 わたくしは、三政会を代表いたしまして、


平成11年度の宮坂市長の施政方針及び市政


全般について質問をいたします。


 さて、宮坂市長の施政方針にもふれられて


ありましたように、景気回復を緊急の課題と


して昨年7月に発足した小渕内閣により「緊


急経済対策」が次々に具体化されてきました。


昨年、12月には経済戦略会議により「日本


経済再生への戦略」としての中間報告があり、


このほど2月末には最終報告があったところ


でございます。この報告の中で、日本経済は


1200兆円もの個人金融資産や100兆円を上回


る対外純資産を有することで依然として強固


な金融基盤を有している。また、半導体や液


晶、精密機械などの製造業分野においては世


界有数の技術力を持っている。そして、諸外


国と比べて高い教育水準に裏付けられた優秀


かつ勤勉な労働力の存在を示して、「我が国


経済を支えてきた発展の基礎はいささかも崩


れていない」。要は、日本経済が本来持って


いる基盤と潜在能力を前向きの形で生かす新


しい仕組みとそれをスピーディーに再構築す


ることが重要であるとしています。


 特に、この経済構造改革は日本経済にとっ


て、かつて経験したことのない道へのチャレ


ンジであり、この改革を成功させるためには


国民一人一人が、痛みをおそれない勇気と政


官民の協力が不可欠であるとしています。こ


うした、中長期的な展望の中で、次世代の日


本を支える若者が未来に希望を持てる、自由


で創造的な活力にあふれる経済社会を構築す


るためのビジョンを示したことはこれからの


日本経済再生への明るい道筋をつけたものと


評価いたします。一刻も早く、提言をもとに


した構造改革に着手していただくよう望むも


のであります。


 また、年頭記者会見においては「五つの安


心」として、経済再生・雇用・環境・老後・


育児教育の安心を確立した上で「真の豊かさ」


の実現を目指したいと力強く表明をいたしま


した。1月19日の第145回国会の施政方針演


説において、小渕総理は基本認識の中で「徳」


すなわち「高い志」を持った国家でなければ


豊かな国であり続けることができず、世界か


ら信用される国家にはなれないと言明しまし


た。このことを「富国有徳」という言葉で表


現し、国づくりの根本に据えています。


 昨今、資本主義のもと世の中がすべてにお


いて利潤追求に走った結果、どこかに忘れて


きてしまった「心の問題」。長引く不況克服


の経済問題のみならず、美しい国土を守りそ


れを後世につたえる環境問題・次代の担い手


である子育てや青少年育成に関わる教育問題


・高齢者や社会的弱者が安心できる生活を考


える福祉問題。これらは私たちすべての市民


が社会の構造改革と同時に、頭の中を切り替


えなければならない。すなわち、市民いや国


民全体の「意識改革」が伴わないならば、我


々を取り巻く社会生活は向上しないものと思


います。


 そして、「他人にやさしく、美しきものを


美しいとごく自然に感じ取ることのできる」


社会、隣人がやさしくふれあうことのできる


社会、そして何よりも住みやすい地域社会を


建設することが必要であるという小渕総理の


施政方針にあるように、わたくしは、まさに


こうした考えがまちづくりの原点であり我々


市民が目指すべき方向であると考えます。


 このことは宮坂市長の施政方針のむすびに


ある、「安心して暮らせるまち」「将来に向


かって夢のもてるまち」そして、「みんなが


ほこりをもてるまち」を目指す姿勢と一致す


るところであります。


 私ども三政会は、市長がこのような理念・


方針のもと全力でまじめに市政に取り組む姿


勢に対しエールを送り、平成11年度より任


期後半を迎える宮坂市政にたいし支持するこ


とを申し上げ何点かの質問をいたします。



 1として、市長の施政方針及び市政運営に


ついて、4点ほどお伺いいたします。


 1点目、更埴市の予算における税収の内訳


を見ますと、ここ数年市税等の歳入の構成比


がほとんど一定していますが、更埴市の経済


的発展は何に立脚しているのか。何を伸ばし


ていくのか。産業構造においてはっきりとし


た特徴がないように感じますが、将来どのよ


うなまちとして発展させるのか。お伺いいた


します。


 2点目、少子高齢社会を迎え、老後への不


安は年齢や男女を問わず高まっていること


が、経済企画庁が実施した「98年度国民生


活選好度調査」において明らかになりました。


それによると、20歳以上の国民の73%が老後


の生活に不安を抱いております。このような


社会状況の中で、当市の少子高齢時代におい


て市民が安心して暮らせる社会、活力ある社


会に向けてどのような施策をもって臨むのか


お伺いいたします。


 3点目、将来を担う若者世代が未来に夢や


希望を持ち、あらゆる場面で活躍できる社会


システムを構築することが活気あるまちづく


りにつながるものと思います。若者が未熟で


あることや経験不足を理由に、意見やアイデ


アを埋もれさせてはならないし、まして、ま


わりがその口を封ずるようなことがあっては


ならないと思います。


 行政の審議会や協議会にどんどんと若者を


登用し、若者がまちづくりや政治に参加でき


る環境づくりやシステムを考えていただきた


いと思いますが、市長のご所見をお伺いいた


します。


 4点目、第4次長期総合計画の策定作業や


市民会議・審議会等の政策の決定段階におい


て市民の声や議会の意見を取り入れるシステ


ムについて市長は今までも開かれた市政を目


指して改善・取り組みをされてきましたが、


従来の会議や公聴会スタイルでは、行政が用


意したシナリオに導かれ用意された結論へと


「参加させられる」。その結果、「市民の意


見も取り入れた」という市民参加のアリバイ


をもってこのような結論に到達したという行


政側の建前的立場が構築されます。それなの


に、一部の市民からは「知らないうちに決ま


ってしまった」とか「そんな話は聞いていな


い」とかの行政に対して疑問の声が挙がるこ


ともあります。一方、行政は適法に事務を進


めているので落ち度はないというように互い


におかしなことになることも事実でありま


す。いったいこれはどうなっているのか。ど


こに原因があるのか。


 それは、行政も含めて会議の「参加者」が


対等な立場で情報やプロセスを共有していな


い中で得られた結論だからではないでしょう


か。ともすれば、声の大小や肩書き、地位に


よって一部の方向に議論が行ってしまった


り、議論全体がゆがめられてしまって言いた


いことが閉ざされる場合もあるのではないで


しょうか。結局、時間切れで納得いく審議や


議論がされないまま用意された結論に落ち着


いてしまうという悪循環に陥る。


 問題は、用意された原案や参加者が悪いと


いうことではなく、「開かれた市政実現」の


ためにも、市民が納得できる政策決定のシス


テム(手段)を導入する、あるいは現状にお


いて何を改善すればよいのか検討していただ


きたいと思いますが市長のご所見をお伺いい


たします。



 2として、姨捨・棚田地区の景観保全につ


いて、3点ほどお伺いいたします。


昨年、国の文化財保護審議会が、姨捨・棚


田地区一帯を「名勝指定すべきもの」として


文化庁にたいし答申した経緯を受け、市では


文化課主幹のもと「保存管理計画策定委員会」


において計画書を策定しているとのことであ


ります。


また、棚田貸します制度を推進している「市


棚田保全推進会議」に県の新年度予算のなか


で、「ふるさと棚田支援事業」として補助金


が付くことになりました。そこで、市棚田保


全推進会議の組織を見ますと構成員が23名


で、そのうち市と県の職員が8名、地元の区


長が3名、農業委員が4名、土地改良区役員


が2名、その他団体代表5名となっています。


 そして、実践班として名月会の15名が、


制度の運営のなかで栽培支援を行っていま


す。また、市職員互助会等のボランティアグループ


が名月会をサポートするようになっておりま


す。一方、「保存整備推進協議会」を中心に


した農業関係の事業とも整合を図り、一帯の


保存整備や観光を進める計画です。そこで、


質問をいたします。


 1点目、今後、名月会を中心とした実践班


が棚田の管理運営をしていくわけですが、ど


のような計画で棚田の維持管理をしていくの


ですか。


 2点目、姨捨・棚田地域一帯は地滑りの危


険地域でもあります。せっかく「名勝指定」


がされても、いったん地滑りなどで地形が変


動してしまったら名勝指定が解除されるかも


しれません。したがって、「名勝」維持のた


めの条件として地滑りによる地形変動を防せ


がなければなりません。そこで、「棚田地域


等緊急保全対策事業」はこうした地滑り対策


を含んでいるのか、また、含まないとしたら


地滑り地域であることの対策は万全かお伺い


いたします。


 3点目、この地域が名勝指定すべきものと


して答申を受けたことの理由のひとつには、


ここから眺めた善光寺平一帯のすばらしい景


観があります。こうした景観を守ることがこ


の名勝地にとってすべてであるといっても過


言ではありません。


 「あんずの里」や「土壁にまち」、そして、


将来「姨捨・棚田地域」の名勝地を抱える自


治体として、景観保全のために、市独自の景


観条例を早期に制定すべきです。行政として


その意志があるかないかお伺いをいたしま


す。


 


 つぎに、3として、介護保険制度について


であります。


 介護保険制度実施まで、あと1年あまりと


なったこの時期において、新しい制度とは言


へ、国からの政省令がなかなか出そろわない


状況の中で、順調に制度が発進できるように


準備をしなければならない市当局のご苦労に


は心よりご慰労を申し上げます。


 しかし、ここはしておかなければならな


いところですので、2点ほどお伺いいたしま


す。


 1点目、保険者として更埴市が設定する、


保険料はいろいろな事情により実施直前の平


成12年3月までは決定が難しい状況かと思


います。近隣市町村との介護サービスと保険


料の格差については、当然あり得るところで


ありましょうが、以前、市ではなるべく同じ


水準で行きたいと説明がありました。そこで、


更埴市と長野市、上三町とではその設定がど


うなると予想してますか。


 2点目は、社会福祉協議会の介護保険に関


連した事業についてであります。


 現行制度において市が福祉事業を遂行して


いくには、社会福祉協議会やその他の社会福


祉法人に事業の委託をしなければ、行政とし


ての十分な福祉事業ができないのが現状であ


ろうと思います。


 しかし、介護保険制度が始まると、介護に


かかる国や県からの補助金がなくなる方向で


進むのは確実です。当然、介護を供給する会


社や団体は決められた単価の収入で運営を成


り立たせなければなりません。ですから社会


福祉協議会においてもホームヘルパー等の派


遣事業は他の福祉事業とは切り離すか独立会


計にする必要があるわけです。でないと、も


し事業が赤字になった場合は市の一般財源を


もって補填するということになるからです。


そうすると民間や他団体との不公平が発生し


ますし、介護保険料を払った上で、また、税


金の投入と言うことは2重払いをしているよ


うなことになり兼ねません。また、社協の性


格上、大きく黒字になるということもおかし


いですから、どのみち運営から手を引かなけ


れば矛盾が起きるのではないでしょうか。今


後、社会福祉協議会の介護保険に関連した事


業をどうするのかお伺いをいたします。



 つぎに、4として、環境ゴミ問題について


であります。


 平成12年4月施行の容器包装リサイクル法に対


応するために、行政として市民のゴミ問題に


対して、排出量を減らしたり、不法投棄をし


ないような意識改革を進めなければ実行はお


ぼつかないと思います。また、分別収集にか


かる市民の理解と協力がなければ、ただ混乱


するだけで対応できないとも思います。そこ


で、4点ほどお伺いいたします。


 1点目、どのようなスケジュールと方法で


市民の理解と協力を得ていくのかお伺いいた


します。


 2点目、廃棄物減量等推進審議会で答申さ


れたゴミ指定袋の使用枚数制限によりゴミの


排出量を制限することですが、これによって


ゴミの不法投棄や野焼きが多くなるというよ


うな危惧はありませんか。


 3点目、当市における粗大ゴミ等の不法投


棄の現状と防止策をお伺いいたします。


 4点目、役所内のゴミ減量化や、社会問題


となっている疑いのある環境ホルモン類の使


用を可能な限り使用制限すべきであります。


毒性について基準がはっきりしていない環境


ホルモンにそれほど恐怖を感じることはない


と言うご意見も一方ではありますが、環境庁


が示した67種類のリストの大半を占めてい


るのはよく使われている農薬・殺虫剤等であ


ります。現時点において、環境ホルモンとし


て、疑わしいこれら殺虫剤などの使用を禁止


するか、使用を控えるよう市民にPRする事


が望ましいと思います。


 このような状況ですので、更埴市は、「環


境宣言都市」にふさわしく、「更埴市環境保


全行動計画」を一歩進めて、自治体として国


際規格「ISO14001」取得を早期に図っていた


だきたいと思います。なぜならば、これは、


ゴミ減量化と環境保全にかかる問題の解決、


そして、行政改革の一環として有効な対策に


なるからです。取得した自治体は全国的には


まだ数カ所ですが、今後、全国的に多くの自


治体がまちがいなく取得することでしょう。


しかし、一方では事務負担の増加や審査・認


証の経費を考えるとメリットが薄いという見


解もあるのは事実です。統一的な基準がはっ


きりしたり、ダイオキシン類の問題がさらに


大きくなることなど考えますと遅かれ早かれ


取得はしなければならない。それなら、早め


に国際規格の「ISO14001」取得を考えるべき


であると思いますが、市長のご所見をお伺い


いたします。



 つぎに、5として、中心商店街活性化につ


いてであります。


 昨年7月に、衰退しつつある中心市街地や


既存商店街の活性化を図ることを狙い、市街


地を総合的・一体的に整備する事業について


国(通産・建設・自治省など11省庁が参画


しております)が支援することを規定した「中


心市街地活性化法」が施行されました。この


法律の考え方としては、地域の特性を生かし


た優れたまちづくりプランを行政と商店街等


の関係者が連携して策定し、市街地の道路・


駐車場の整備、公共交通機関の整備、商業施


設・商業基盤施設の整備等関連事業を一体的


に実施していくことや総合的なタウンマネー


ジメントの導入を通して、中心市街地に賑わ


いを取り戻しまちを活性化するということで


あります。このためには、まず市町村は活性


化すべき中心市街地の区域や市街地の整備改


善等の計画を記載した「市の基本計画」を策


定しなければならないことになっています。


そして、基本計画の中で策定・計画した「中


小小売商業高度化構想(TMO構想)」に基づき、


まちづくり機関としてのTMOを設立し、ま


ちづくりの運営・管理をしていくというもの


です。そこで、この件に関して3点ほどお伺


いいたします。


 1点目、景気低迷の折り、商店街の活性化


は中小小売商店主の悲痛な叫びであります。


もともと商店街は、人々の交流の場として、


地域の伝統行事や文化の継承にも一翼を担っ


てきましたが、車社会等の商業環境の変化や


大型商業施設の進出によって、商店街の空洞


化が加速されてきたことはご承知のとおりで


あります。この法律に基づく支援を得ること


は商店街にとって、願ってもない施策であり


ます。しかし、商店主自らも行政に頼ること


なく経営努力をすることは言うに及ばず、当


然のことであります。したがって、更埴市の


基本計画の策定を早期に進めなければなりま


せん。基本計画の実行については、長期にな


るかもしれませんが、市長の前向きかつ慈愛


に満ちたご所見をお伺いいたします。


 2点目、TMO(まちづくり機関)は、商工


会や商工会議所、またはまちづくり第3セク


ターによって設立されることになっておりま


すが、更埴市の場合は第3セクターによる機


関が良いのではないかと思います。これにつ


いても早期に検討すべきものと思いますが、


市長のお考えをお伺いいたします。


 3点目、この1月に閣議決定された、「生


活空間倍増戦略プラン」のなかで、中心市街


地の活性化として地域経済の主要な場となる


駅前等において市街地再開発事業を推進する


考えがあるようです。この法律に基づき、当


市において心の通う住空間・遊空間としての


市街地再開発事業を行政主導で進めるお考え


があるのかお伺いいたします。



 つぎに、6として、行政改革についてであ


ります。


 日本はバブル崩壊以降、長引く景気後退を


背景に個人消費の低迷や建設などの不振。ま


た、国際価格の競争激化によりパソコンなど


の電機製品の価格が軒並み下落しています。


日銀が発表した国内卸売物価指数によると、


92年以来7年連続の実質下落を続けており、


デフレ圧力の進行を裏付けています。世界に


おいて、デフレ・ギャップが発生し生産過剰


の経済となっているようであります。したが


って、物があまって物が売れない、利益がで


ない、物価が下がる、給料が下がる、失業者


が増える、株価が下がるなどの悪循環(デフ


レ・スパイラル)に入ったのではないかと指


摘する意見も一部ではあります。こんな状況


の中で民間は大変苦労しております。一方、


公務員については、「好景気には、民間並の


給与のベースアップを要求するが、不景気に


なったら民間が給与のベースアップをしなか


ったり、リストラをしたり経営努力をしてい


るのだったら、それに習うことだって必要で


はないか」というご意見が市民にはあります。


給与の問題はともかく、このような状況の中


で、行政もスリムにして行かなければ市民の


ご理解が得られないのではないでしょうか。


 そこで、4点ほどお伺いいたします。


 1点目、行政事務のアウトソーシング(民


間への業務委託)を進め、徹底した行政のス


リム化を推進することについて、市長のご所


見を伺います。


 2点目、職員の専門性を高め、また個々の


能力向上(プロ化)のために海外先進地に1


年ほどの勉強・教育のための赴任勤務をする


などの教育制度充実を提案いたしますがどう


でしょうかご所見を伺います。


 3点目、首相の諮問機関である公務員制度


調査会がまとめた、国家公務員の制度改革に


関する答申によれば、年功序列的な人事管理


を改め、能力・実績重視の人事システムに転


換することや定年を60歳から65歳に延長す


るなどの抜本的な改革を示す内容となってい


ます。いずれ、地方公務員にも同様な制度改


革が提言されることは予想されます。そこで、


市長に現行の地方公務員制度の中で能力・実


績重視の人事システムに転換し実施すること


が可能なのか、あるいはそのお考えがあるの


かご所見をお伺いいたします。


4点目、職員からの提案を「新更埴市行政


改革大綱後期実施計画」に相当数盛り込んだ


ということですが、いつから実行するのです


か。また、どんな改革が実行されるのですか


お伺いいたします。


 


 つぎに、7として、教育問題についてであ


ります。


いま、全国的に見れば教育現場において、


児童生徒の不登校問題・いじめ・自殺・暴力


事件等深刻な問題が多いようであります。ま


た、少年による犯罪が以前よりも低年齢化し


ているとも言われております。これに対応す


る、学校の教員の皆様はじめ教育関係者のご


苦労は大変なものがおありのことと推察いた


します。


 振り返れば、わたくしが、学生時代のとき


ですから、今からちょうど20年ほど前にな


りますが、「荒れる中学校」という社会問題


がありました。


 当時は、校内暴力が主流で先生が暴力を受


けたり、校舎の窓ガラスなどが壊されたりし


たことが問題になっていたように思います。


 現在は、当時とは社会の背景も違うことも


あり、問題の様子が若干違うように思います。


 生徒が先生を無視する「学級崩壊」とか先


生が先生を無視したり、コミュニケーション


がうまくいかないと言った「職員室崩壊」と


いうことまで、言われるようなところもある


ようであります。


 当市におきましては、現場の教育関係者や


教育委員会などのお取り組み、また、それを


取り巻く地域の育成会を中心とした、様々な


団体の日頃のご努力により、幸いにして、新


聞をにぎわすような問題には至っておりませ


んことは、たびたびのご報告のとおりであり


ます。しかし、これも社会現象ですから見え


ないところでは進行しているかもしれません


ので、注意が必要です。


 もちろん、国や県、そして当市においも原


因や対策を講じてますが、なぜこうなったの


かという、「原因や対策」がはっきりすれば


議論の余地なく対処できると思います。


 教育問題というと、必ず学校の責任、教師


の責任、教育行政の責任等があがりますが、


地域や家庭の問題も全く無視できません。


 先ほど経済状況にもふれましたが、こうし


た問題が経済的に家庭へ影響したり、職場の


事情で父親が単身赴任となったり、離婚によ


る家庭破壊、このように子供の責任に介しな


い社会の問題が、子供の心を相当傷つけてい


るのではないでしょうか。したがって、子供


を育てるという精神を社会全体が分かち合


い、問題の解決を図っていくことが今必要だ


と思います。


 わたくしは、現在、スポーツ少年団の野球


のコーチをしておりまして、自分の子供も二


人団員として参加しています。子供たちはみ


んな生き生きとしています。小学生ですから、


体力や能力に多少の差はありますが、子供に


とって見れば、教室や先生、学校から離れて、


親たちと一緒に遊ぶ感覚が楽しいのかもしれ


ません。また、親たちも子供と一緒になって


体を動かすのがまたいいのかもしれません。


 古き良き時代の「ムラ社会」のように、み


んなで子どもを指導し育てると、そんな状況


があるように思います。


しかし、最近スポーツ少年団に入る子供の


数が減少しています。子供は入りたくても、


家庭の事情や保護者自身に問題があって子供


は入れない。こんな問題があるのも事実です。


 いずれにしましても、社会全体で教育を考


えていかなければ、直面している問題を解決


することはできないと思います。


 そこで、2点ほど教育長にお伺いいたしま


す。


 1点目、文部省案では新しい学校教育の方


向として、時代を超えて変わらない人間の生


き方として、理性的な判断、感受性、思いや


り、社会貢献の精神を高める。また、困難に


立ち向かう精神や向上心を図れる習慣を持た


せたり、地域の特性を生かす教育を柱にして


おります。教育委員会でもこれを受けて検討


されていますが、学校裁量の中で、地域や民


間でユニークな活動や活躍されている地元の


方に、特別講師となっていただき授業をする


などの地域に根ざした教育学習プログラムを


導入していただきたいと思います。これは子


供にとっての生きた教材にもなりますし、い


ろいろな世界や分野を体験させることができ


ます。また、子どもの独創性や創造力を高め


るためにも有効であると思います。ここで重


要なことは、「その人自身の体験談であり言


葉である」ということであります。12月の


定例会でも同様の質問がありましたが、改め


て教育長のご所見をお伺いいたします。


 2点目、教育課程の見直しにより、小中学


校における道徳教育の充実はどのようになる


のかということであります。道徳につきまし


ては、儒教的精神の押しつけというご意見や


学校教育の場で行うことか家庭のしつけとし


て行うことかという問題があろうかと思いま


すが、人間形成においては重要な項目である


と思います。小渕総理の「富国有徳」につい


ては、質問冒頭で申し上げましたが、将来の


国家を支えるのは子供たちであります。この


子供たちには、「徳」すなわち「高い志」を


もって「他人にやさしく、思いやりがあり、


美しいものを美しいとごく自然に感じ取るこ


とのできる」人間になってもらいたいのであ


ります。それには、それぞれのお立場でご意


見はあろうかと思いますが、道徳教育の徹底


は必要であります。これからの更埴市の教育


の指針として強く望みたいと思いますがいか


がなものか。教育長にご所見をお伺いし、質


問を終わります。