9月定例会 一般質問

 

 1番、三政会和田英幸でございます。

 

 私は、去る726日に開催された第8回更埴市・戸倉町・上山田町任意合併協議会で確認された合併までの想定スケジュールについて、合意に至った経過と今後の取り組み方などに対する考え方を市長に何点かに渡ってお聞きするものであります。

 

さて、「今、なぜ市町村合併が必要なのか。」このことについては「任意合併協議会だより」の創刊号では、次のように書いています。

『わが国は、いま少子・高齢社会の到来に対する福祉の問題やごみ・エネルギー、汚染防止等、地球規模での環境問題などが大きな行政課題になっています。また、社会生活の広域化や情報化時代を迎え住民要望も多様化してきており、これらに対応するためには、行政の枠組を超えて対応していかなければならない時代になってきました。

一方、国も景気対策や福祉対策などを中心にした予算を編成してますが、税収不足のため4割近くを借金でまかなうこととしています。

借金財政が、このままで良いわけではありませんので、景気回復と財政再建は大きな課題となっています。

その対策の一つに行政改革があり、国の省庁を縮小して住民に身近な行政は、地方に委譲するという「地方分権」があります。』

(略)

こうした時代背景の中で、地方は、住民に身近な行政は地方が担っていく「地方の自己決定と自己責任」という方針に基づき、その財源確保や専門的職員の配置の必要性から、地方分権の受けざらづくりの手段として、「市町村合併」を推進しようと説明しています。

そして、現在、第9回の任意合併協議会が終了したところでありますが、この協議会は次の6項目を基本方針として、基本的事項となる事務・事業の事前協議における調整が行われています。

その6項目とは、1として、一体性確保の原則、2として、住民福祉の向上の原則、3として、負担公平の原則、4として、健全財政運営の原則、5として、行政改革推進の原則、6として、公共的団体等の一本化ということであります。

この中で特に重要なことは、4の、「健全財政運営の原則」ではないかと思います。先ほど前段で取り上げました「合併の必要性」にあるとおり、昨今の多様な行政課題に対応するため行政改革を断行し、健全な行財政運営を行う中で、市民要望に対応していく。これが基本的な姿勢であろうと思います。合併は究極の行政改革であるといわれるとおり、組織的にも財政的にもかなりの効果を見ることができます。

しかし、その反面、合併に対して、課題をあげる市民もないわけではありません。

そもそも、この地域(13町)での合併論議は議会主導で始まったわけで、平成元年には「13町議会広域行政推進協議会」の中に、合併問題研究部会が設置されて、研究調査活動が行われてきましたが、結局、平成1111月に12町が先行して合併研究を行うことが確認されたのであります。

そして、平成121月には、合併協議会の第1回設立準備会が開催され、同年710日に第1回任意合併協議会が開催されて今日に至っているわけであります。

平成11年までは市からは合併関係の公式資料は出ませんでしたので、平成12年になっても市民にとっては合併と言うことは聞いていてもどんなことになるのか、メリットやデメリットはどうなのかという情報があまり聞こえていなかったのです。いわば「寝耳に水」の状況であり、情報が不足していました。合併論議は、議会や首長がやっていることであり、市民不在の中で進行してきたのです。

今ここで、問いたいのは「市民の意識の醸成ははたして充分なのか。」と言うことであります。任意合併協議会では合併の事前協議で確認された情報を協議会を公開にしたり、協議会だよりの発行、更埴テレビ、ホームページを通じて市民に知ってもらう努力をしてますが、もうひとつ市民の盛り上がりに欠けるのではないか。

平成135月には、第1回の新市将来構想策定委員会が動き出し、この12月には構想がまとまろうとしています。合併協議会事務局では、月1回の協議会開催と、策定委員会開催、または他市町村からの合併問題の視察の対応など、昼夜を徹しての多忙な毎日の連続であることに対し、心より敬意を表するものであります。

しかし、市民の盛り上がり、市民の関心はどうなのか、もしかしたら、市民は傍観者となって推移を眺めているような状況かもしれません。この状況を打開するには、住民に説明する期間を充分とって、情報をしっかり分かってもらうことです。合併時期を早めたり、事務をスムーズに進めることが、いい合併につながるとは思えません。

合併を進める中で、市民をおいていくようなことではまずいからであります。

また、もう一つ問いたいことは、議会が主導で進めてきた合併論議であるとすれば、「議員は特例法による議員定数や任期に対する特例を選択すべきでない」ということであります。地方自治法の原則にたち、「合併後50日以内の選挙」を実施すべきであります。行政改革の役割を果たす議員削減は新市にとってメリットであります。しかし、この問題は任意協では決定を見ずに、法定合併協議会の場へ持ち越されました。

このように、任意合併協議会では決定を見ずに、法定合併協議会へ持ち越すことにたった主な項目は、合併の時期、事務所の位置、新市の名称、議員の定数及び任期、農業委員会委員の定数及び任期、特別職の身分の取扱い等であります。

しかし、第8回の協議会では目安とはいえ、合併の想定スケジュールが確認されました。このことは、法定へ持ち越されたいくつかの項目と係わり合いの深い項目、すなわち、先ほど申し上げた「住民意識の醸成を図る住民説明の期間の問題」、そして、「議員の身分の問題」がありますので、後ほど質問させていただきます。

 

「合併の必要性」は何かと言えば、それは新市に必要な財源を確保するように効率の良い財政運営を目指し、地方分権社会に対応した健全財政化を進めること。すなわち「健全財政確保の原則」に立脚した行政の確立にあります。

 これが合併を促進する目的の一つであり、それ以外の何物でもないわけであります。任意合併協議会では1市2町の共通認識としてして、現在、事務の一元化や事業の調整が行われていると認識しております。

したがって、事務事業の一元化や事業の調整や策定を行うときに、この「合併の必要性」と日本の置かれた現在と将来の時代背景をよく理解しないと「合併パラドックス」(造語でありますが)に陥ることを懸念いたします。

 国は、平成7年に地方の合併を促すために、合併特例法を制定しました。ご存知のとおり、国は合併する市町村に対し、数々の優遇措置、いわゆる「アメ」を用意したのです。しかし、それでも進まない合併論議に対し、平成11年7月には「地方分権推進一括法」の中で、合併特例法を改正し、更なる「アメ」を用意して、合併を促しました。

 特例法は、平成17年3月までに合併する市町村を対象とした時限法であり、合併特例債や普通交付税の特例期間の延長等の財政措置が拡充され、また地域審議会の創設などの環境整備がされました。

 この改正の背景は、遅々として進まない合併論議を打開するために、合併に対して障害となっている「議員による合併への抵抗」や「住民の将来の不安」を解消するための措置ではないかと考えられます。

こうした特例法を活かして新幹線新駅の誘致を決定的なものにしようと考える方もあり、しなの鉄道の屋代駅と戸倉駅間の新駅を決定的なものにしようと考える方もあり、または、姨捨サービスエリアのインター化を進めたいとする方もあり、人それぞれにいろいろなお考えがあり、また、いろいろな夢や期待を抱きます。こうした期待を抱くこともいわゆる合併のメリットと考えるべきでありましょう。しかし、慎重に財政計画を立てないと「合併パラドックス」にはまってしまうとも限りません。

まさに、新市の将来構想には枚挙に暇がない状況です。新市将来構想では、各市町の長期計画のすべてを事業に盛り込むというような策定が行われたとしても、新市建設計画では総花的にならないように、必要な事業をピックアップして、財政フレームに気を付けながら策定しなければならないと思います。

この地域が、将来、現在とさほど変わらない財政規模で推移すると仮定すると、合併特例債の使える金額は合併後10年間で210数億円の規模と聞いています。

その中で、新市が合併しその一体化を実現するために必要な資金として特例債を当てる事業は、「健全財政運営の原則」と「費用対効果」を良く考慮するとすれば、車でいえば、ランニングコストの掛かる大きな車に乗るよりも、燃費が良くて環境にやさしいハイブリッドカーに乗るべきです。

そういう意味では、将来赤字を抱えるような事業や施設を造ることは共通認識から逸脱することになりかねません。

先ほど引用しました、協議会だよりにもありますが、わが国は、これから少子高齢社会を迎え、福祉問題や環境問題、教育問題と言った大きな行政課題が山積しております。こうした状況の中で、安定した税収確保をどうするか、行財政における運営経費をいかに押さえていくかということをしっかり考える必要があるのではないかと思います。

21世紀は、「物の時代から心の時代」に変わると言われております。高度成長時代を駆け抜けた20世紀後半は右肩上がりの経済を背景に公共投資が盛んに行われ、社会資本整備が進みました。その結果、日本経済も拡大し、都市と地方にはまだまだ格差が存在するものの、いまは日本全国どこへ行っても、似たような町が存在し、だいたい同じような生活をすることができる国になりました。

わが国は、日本株式会社と言われた政官業の国家的産業政策や、護送船団方式と言われた銀行に対する金融政策などの国家戦略により、アメリカに次ぐ世界第2位のGDP国にまでなったのであります。

これは世界的にも日本の官僚は優秀で官僚主義のもとに国家が繁栄した例でありました。とりもなおさず「政治主導」「トップ・ダウン式政策決定」のいいところが結果につながった良き時代であったと思います。

しかし、今は、こうした時代が終わり「政治主導」的な考えは通用しなくなってきました。「市民参画社会」の到来とともに政策決定段階から、市民の参加により政策を決定していくという時代になったのであります。

合併問題は市民に直結した緊急かつ重要な課題であり、市民意識の醸成なしには、安易に進めることは危険を伴うことであります。ここでいう危険とは、合併後の地域エゴによる争いや議会内部のごたごたであります。

この地域の合併論議が進み、任意合併協議会も第9回を迎えたこの時期、願うことは、市民にとって、「合併して良かった」と言えるような合併をすることであります。先例市の状況を見ても、合併直後の新市の様子に、市民の期待と現実とのギャップで失望感を覚える市民もいるという例もあります。

こうしたことを未然に防ぐため、正確な情報のもとに議員はもとより、この地域の一人ひとりが公平で、公正な議論が行われることが重要であります。

さて、市長は議会初日の報告の中で、協議会の合併想定スケジュールについて、触れました。このスケジュールはあくまで目安とのことですが、何も異論がなければこのままこれが法定合併協議会ではその原案となるわけでありますので、お聞きをいたします。

先ほども申し上げましたが、この合併想定スケジュールには、大変重要なことがいくつか含まれています。市長は、「これまでの作業が順調に進んでいることなどを踏まえ、慎重に協議をいたしました結果…」ということをもって説明されました。

一方、727日の信濃毎日新聞の記事では、協議会事務局の弁として、「事務事業の一元化に向けた協議が順調に進み、国や県に合併支援の機関が設置され、手続きがスムーズにいくと想定される。」となっております。

どちらも順調にことが進んでいるからとか、手続きがスムーズにいきそうだという理由ですが、果たしてそれだけの理由なのか他に何か理由があるのか、どうもわかりません。

 

そこで、お聞きいたしますが、

1として、スケジュールはどのような手続きで、またどのような経過で策定されたのかお伺いいたします。

 

2として、任意合併協議会では、スケジュールについて特に意見が出なかった訳ですが、合併の目安を平成159月にした理由は何かお伺いいたします。

 

3として、スケジュールの中で、新市将来構想の公表取りまとめ後に住民説明会が3月から6月までの約3ヶ月間予定され、市民の意見を聞いていくということですが、住民説明会の実施する期間はこれで充分なのでしょうか。その計画等について、お伺いいたします。

 

4として、首長、議員等の身分に関することについてであります。合併想定スケジュールにより、平成159月を目安に12町の合併が成立するとなれば、首長の身分はどうなるのか、議員の身分はどうなるのか、その他、身分に関わる特別職や農業委員の方についてはどうなのか、地方自治法の原則及び合併特例法による特例に沿って、具体的にお示しいただきたいと思います。

 

5として、法定合併協議会は、周知のとおり法律(地方自治法)で定められている協議会であります。このことは合併ということの重大さを示している証拠であり、合併協議会が他の審議会や協議会とは、性格において全然違う会議であるであるということができます。このことから、現在行われている任意合併協議会は、住民に密着した緊急かつ重要な会議でありますから、協議会の委員はその選出母体の意見はもとより、広く住民の意見を反映する中で、協議に参加しなければならないと思うのであります。戸倉町議会や上山田町議会では、これまで協議会資料の配布はもとより、議会の意見集約を行っていると聞いております。市長は、協議会の会長として委員に対してどのような姿勢で協議会に臨んでほしいのかお伺いいたします。

 

6として、任意合併協議会がモデルとしている西東京市は、平成13121日に合併しました。合併後7ヶ月を経過したいま、いろいろな問題がでてきているようです。2月に行われた新市の市長選に絡む問題、旧田無と旧保谷の議員間での地域間の綱の引っ張り合い。感情と感情のぶつかり合い。市民の中には、「こんなことでは合併しないほうが良かった」という方もおられます。

更に驚くことは、新市が誕生してまもなく新市の幹部職員が退職し、更に7ヶ月経過した現在までに50数名の職員が退職しているという事実であります。

また、6年前に合併したあきる野市は、「財政圧迫を理由に」昨年10月に公民館などの施設使用料が一斉に有料化されています。合併前には、「サービスは高い方、負担は軽い方に」という原則で、事務・事業の一元化調整を行ってきたのですが、結果的に市民への「公約」がほごにされたことになりました。 

協議会がモデルにしているこの両市が、合併後のいま、なにやら様子がおかしくなっているようであります。いま、この両市に何が起こり何が原因で様子がおかしくなっているのか、他市のことではありますが任意合併協議会では両市を視察し、これまで合併協議会のモデルとしてきた経緯があります。このことからある程度の分析が必要であろうとの観点で、あえてお伺いいたします。

 

また、協議会としてこの両市の合併後の経過から得られる教訓は何なのか、これをどう把握し、今後の協議会やスケジュールに活かして行くおつもりなのかお伺いして、質問を終わります。

 

 

 


(再質問)

    ただいまは、ご答弁ありがとうございました。

   そこで、2点について再質問させていただきます。

 

1点目として、住民説明会のスケジュールに

ついてであります。

 3月から6月は行政にとって1年で一番忙しい

時期であるのに、住民説明が充分できるのか。

 

 

以上、お伺いして再質問といたします。