6月定例会 一般質問

 

 1番、三政会和田英幸でございます。

 

 議会初日、市長は、施政方針の中で4期目の市政を担当していく基本的なお考えを選挙の公約である「5つの政策」ごとに整理されて述べられました。

第1の政策として「新しい時代に必要な目標や基盤づくりについて」でありますが、この中で、1つとして「広域合併への取り組み」、2つとして「21世紀の羅針盤づくり」についてであります。「21世紀の羅針盤づくり」の中では、国道18号バイパス、上信越自動車道のハイウェイオアシス構想、新幹線更埴駅(仮称)誘致のことに触れております。

現在、1市2町の合併協議がされている最中であり、このほど新市将来構想策定委員会が構成され、新市の将来構想の協議が始まろうとしています。

そこで、更埴市の課題である新幹線更埴駅(仮称)誘致について、何点かお伺いいたします。

この問題につきましては、本定例会の代表質問で自治研究会議員団、新和会、共産党議員団の各代表者から質問が出され、市長からこと細かに答弁されております。通告した質問の趣旨は大変似ておりますが、更にこの問題を深めるために、あえて質問させていただきます。

 

さて、施政方針で市長はハイウェイオアシス構想について、新幹線新駅誘致問題より先に掲げ、市民の理解を得ながらとしながらも、積極的に進めていく方針を打ち出しております。これにつきましては、総工費はわからないが申請者である更埴市の全額負担であるという状況であります。

市民の理解を得ていくためのアンケート調査等の意見をまだ吸い上げていないこの時期に、しかもこの構想が出始めたのは、上信越自動車道の4車線化の事業化が決定した頃のことでありますから、今から約1年数ヶ月ほど前のことであります。

行政のことですから、時宜を得たすばやい決断を要することは施政を担当する首長として、必要な要素でありますので、このことについては反対するものではありませんが、しからば新幹線新駅誘致問題はどうなってしまったのか。

同じ決断という面では、いささか時間がかかっているようにも感じられます。たとえば、期成同盟会が組織されてから約5年、科野青年会議所が誘致運動をはじめた頃から約10年が経っております。

この間、オリンピック開催に合わせ短期間のうちに新幹線の建設が進み、請願駅の問題はその後ということで後回しにされました。オリンピックが終わると施設の恩恵がなかった中南信地区に県の予算が集中し、北信地区には我慢の時期が到来しました。こうしている間にも、世の中の景気は悪くなり、大型公共事業への風当たりが強くなってきました。

そして、昨年、長野県に新しい知事が誕生し公共事業に対する見直しが叫ばれているところであります。また、国においては「聖域なき構造改革」を旗印に、変革及び財政再建をめざした小泉総理が誕生しました。総理は道路特定財源の一般財源化、地方交付税の見直し、特殊法人の見直し改革等を打ち出し、変革を期待する国民からは現在絶大な支持を受けております。

こうした状況の中、この14日には、6月の月例経済報告の中で過去始めて「景気が悪化しつつある」という言葉で報告がありました。確実に景気が悪くなっている訳であります。小泉総理は、「国民に対し痛みを伴うかもしれないが、構造改革なくして景気回復なし」と言っています。したがって、構造改革の効果が経済に現れてくるまでは、一時的ではあるとしても、今後も会社の倒産や失業者が増加し、益々景気が悪化してくることも予想されます。

一方、更埴市の山積した市政の課題を見ると、「5つの政策」に掲げられるとおり、更級川・沢山川等の災害防止事業、高齢者・障害者福祉の充実、あるいは、少子化時代の子育て支援のための対応、環境保全対策。男女共同参画社会などの平等社会の実現に向けての施策、商工業、農業などの産業振興、教育施設の充実、公共下水道の早期完成等々、明るい豊かな社会を目指す更埴市にとって、まだまだ生活基盤の整備が求められています。

こうした山積している課題の中で、どこから手をつけていくか優先順位をつけるとすれば、「新幹線新駅誘致はこうした身近な課題がある程度進んでからでもいいのではないか」という意見も市民の間から聞こえてきています。先に行われた、代表質問者の隠れた主題は、「新幹線新駅誘致の促進あるいは早期実現ではなく」「しなの鉄道の接続を良くしたり、最寄の駅に駐車場を整備すれば、必ずしも新駅建設を他の課題より優先することもないのではないか」ということであり、こうした市民の空気を感じているからこそ、今回そうした質問になっているのではないかと感じているところであります。

このことは、選挙に当たり市民との間で全市的にミニ集会を数多くこなされた市長にはもっとはっきり分かっているのではないでしょうか。こうした状況の中で、いま合併協議会において、新市将来構想策定が始まります。新幹線新駅を新市将来構想の中でどのような扱いになるのか、興味深いところであります。

したがって、新駅設置の調査結果を早急にまとめ、市長の間違いのない判断をできるだけ早い時期にされることが必要ではないかと思います。

市民が正しい理解と正しい判断をするためにも調査結果の公表を待ち望むところであります。

投下資本の費用対効果の判断は将来の町の姿をはっきりと見据えることであり、また、すでに運動を継続中の期成同盟会の会長の立場でもあり、大変難しいことであることは理解できるところであります。

いろいろな条件が整い財政的な見通しがあれば、新幹線新駅はこの更埴地域には得がたい施設であることは誰でもが認めるところであります。

仮に、新駅ができないことになるとすれば、果たしてこの地域が地域間競争に敗れ、長野・上田間に埋没してしまうのか。

いったい1日に何本ぐらいの列車が新駅に停車するのだろうか。金沢発東京行きの列車が新駅に停車するのだろうか。地元の負担、特に市民一人ひとりの負担はどのくらいになるのか。正確な共通した情報は、まだ良く分からない状況です。

そこで、通告に従い、大きく3点ほど、お伺いいたします。

 

1として、現状認識についてであります。

 

はじめに、調査結果はいつごろまでにまとめられるのですか。2点目として、国、県の厳しい財政状況から予想される困難な問題とはどんなことですか。3点目として、市民アンケートや意見収集をいつ実施するのかお伺いいたします。

 

2として、今後の運動の方向についてであります。

 

1点目は、調査結果の内容で、市民の賛成、反対の声が拮抗した場合、または反対意見が多い場合は運動の一時中止や全面中止を決断するのかお伺いいたします。

2点目として、期成同盟会の地元の首長、会長というお立場で期成同盟会の運動方針の変更を考えるのかお伺いいたします。

 

3として、交通施設整備基金の使用目的についてであります。

 

本議会に提出されております、平成13年度更埴市一般会計補正予算(第1号)の歳出総務費において、新幹線対策事業費の積立金として交通施設整備基金が5000万円計上されております。この資金はしなの鉄道屋代高校前駅の駅前整備の資金に当てられた経緯がありますが、新幹線対策事業費ということは新幹線新駅誘致あるいは、その整備のためだけに使う基金なのか。それとも、交通施設整備ということですから、しなの鉄道関係や道路関係にも他に幅広く利用できる基金なのか、この基金の使用目的はどうなのかについてお伺いして、質問を終わります。

 

 


(再質問)

    ただいまは、ご答弁ありがとうございました。

   そこで、1点再質問させていただきます。

 

各会派の代表質問で推進的な意見が聞かれず、

新駅誘致に慎重な意見が相次いだことは大変注目

されることであります。

    市長は、3月定例会においても「市民の声に耳を

傾け、議会を尊重しながらも、直接民主主義的な手

法で市政を進めていく」と述べられ、また、本定例

会の施政方針でも「5つの政策」の中で、重要な政

策については、議会審議とは別に直接市民の考えを

聞いていくと述べられております。

 

    行政・議会だけが分かっているという情報ではな

く、市民と情報を共有し、市民が直接情報を得て、

市政に参加できる環境にし、市民との議論をすべき

であります。市民は結果の報告ではなく、市政への

参加を求めているのです。

 

    以上のことから、情報公開を早めることは言うま

でもありませんが、市民や議会内部にも新駅誘致に

対する「慎重論」が多くなっているように感じます。

こうした状況と併せ、市長が肌で感じる現状認識

を改めてお伺いして再質問といたします。