毎月1日発行[発行責任者:守 一雄]
(kazmori@gipnc.shinshu-u.ac.jp)
その後、「決死隊」の活躍で暴走爆発はかろうじて食い止められたようですが、テレビや新聞で報道されなくなっただけで、1ヶ月経った今も、事故は終わったわけではないのです。そもそも、「問題そのもの」はまだ何も解決していないのです。その「問題」が解決されない限り、またどこかで同じような事故が起こるでしょう。「問題」とは、「原子力発電を続ける」ということそのものにあります。
今回の事故で大量に、しかも長時間にわたって放出され続けた中性子線は、X線よりも通過力が強く、ほとんどどんなものでも突き通す力をもっているのですから、放射線被曝の被害を最小限にする一番良い方法は、できるだけ遠くへ逃げることでした。(被曝量は距離の2乗に反比例する。)しかし、避難する人が殺到すれば大パニックが起こることは必然で、このことのほうを恐れた政府は住民のほとんどを「自宅待避」させるという「対策」を取りました。テレビなどのマスコミでも逃げるほうがマシであることを報じたところはありませんでした。こうした「対策」の影響はこれから「長期的な影響」として現れてくるでしょう。今回の事故では、放射能事故の恐ろしさ以上に、政府やマスコミの恐ろしさを知ることになりました。 (守 一雄)