第11巻第11号              1998/8/1
XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI

DOHC(年間百冊読書する会)MONTHLY

XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI-XI

毎月1日発行[発行責任者:守 一雄]

(kazmori@gipnc.shinshu-u.ac.jp)



【これは絶対面白い】

森まりも『チビクロひるね』

北大路書房\1300


 ガオー。オレの名前はワッサンだ。えーっと、トラだ。ガオーッ。

 「なんでオマエがこんなところに出てくるのか」って?ガオー、今度オレが出てくる絵本ができたんだよ。だから、ちょっと宣伝に出てきたんだ。「知ってるよ、『チビクロさんぽ』だろう」って。ガオーッ、違うんだよ。オレは、『チビクロさんぽ』に出てきたアホなトラたちとは別トラなの。確かに、前にも、同じような設定で、同じようなトラがガオーガオー見苦しく吠えていたようだが、今度はちょっと違うぜ。だいたい、アイツらには名前なんかなかっただろ?オレには名前もあるんだ。正真正銘、今度はオレさまが主人公の絵本なんだよ。しかも、見苦しい他のトラも出てこない。トラで出てくるのはオレさまだけだ。エッヘン。

 そうは言っても、絵本のタイトルにはまたアイツが使われてやがる。そうチビクロっていう生意気な犬だ。『チビクロひるね』だと。バカにしたような間が抜けたタイトルだ。『偉大なワッサンの不思議なハンドパワー』とでもするべきだったんだ。ま、もっとも、オレは大人だからそんなことは気にしないのだ。『天才バカボン』だって、バカボンのパパが主人公なーのだ。これでいーのだ。おっと、ヘンな口調がうつっちまったぜ。

 今度こそ、オレが実質的な主人公であることの証拠は、全部で28枚の絵のうち、21枚にオレが登場しているということだ。しかもそのうち、何枚かはオレの全身のアップだぜ。どーだい。それに比べるとチビクロのヤツは、完全に脇役さ。ヤツは8枚分しか出てこねーんだからな。あとはほとんどオレばっかり。

 で、オレがどんな活躍をするのかって?そりゃもう、大活躍だぜ。例によって、オレはジャングルから登場してくるんだ。そして、チビクロのヤツを見つけると今度こそ捕まえて痛い目にあわせてやるんだ。昔どこかのアホなトラたちがグルグル回ったみたいに、チビクロのヤツを捕まえてブンブン振り回してやったんだ。そしたら、あら、不思議、アイツは溶けて別の物に変わっちまったんだ。こりゃー面白いじゃないか。いったい、オレはいつからスタンド使いになったんだ?「えっスタンドって何だ?」って。『ジョジョ・・・』とかいうマンガの、えーと、ま、説明するのも面倒だ、超能力の一種だと思ってくれ。

 えーっと。どこまで、話したっけ?そうそう、オレが何かをグルグル振り回すと、溶けて別の物に変わっちゃうという話だったな。そう、だから面白いんで、ジャングルの中でいろんなヤツを捕まえては、グルグル振り回してやったんだよ。ところが、なかなか都合のいい物はできねえもんだ。どれもこれも、いま一歩、オレのデリケートな味覚に合わないんだな、これが。

 それでどうなったか?って。そういやー、実は、その後のことは何がなんだかちっともわからねえ。なんだか、ずいぶんいろんな物をグルグル振り回した記憶はあるんだが、なんか、目的を完遂しないまま終わってしまったような・・・


 ワンワン、ボクの名前はチビクロです。エヘ、犬です。オッホン、実は、今度の絵本もやっぱりボクが主人公なんです。ワッサンは上で、あんなことを言っていますが、いくらワッサンが威張ってもやっぱりボクにはかなわないんです。だって・・・


 オーッと、チビクロ君それ以上しゃべってはいけません。皆さん、初めまして、私の名前は森まりもです。一応、長野市在住の絵本作家ということになっています、ワン、じゃなくて、はい。ちょっと悪のりをして、前作『チビクロさんぽ』の続編を作りました。今度のお話はオリジナルですが、前作を越える面白さになるよう駄洒落を駆使して・・・


 えーい、こうなったら私も登場しましょう。責任者の守一雄です。この絵本、研究室で2割引で販売しまーす。ぜひご覧くださーい。             (守 一雄)


DOHCメニュー