第11巻第6号              1998/3/1
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DOHC(年間百冊読書する会)MONTHLY

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毎月1日発行[発行責任者:守 一雄]

(kazmori@gipnc.shinshu-u.ac.jp)


 日本を代表する総合雑誌『文藝春秋』3月号(1998.2月発売)に「酒鬼薔薇聖斗」事件で犯人とされた中学生A君の「供述調書」が掲載されました。この文書の掲載を支持する一文を寄せた評論家の立花隆氏は、「この事件を精神異常のせいにすることは説明放棄である」という主旨のことを述べています。「精神異常」のせいにしてしまったら、もうそれ以上の説明は意味がなくなるからです。だから、この「供述調書」を読んで、少年が精神異常ではないことを知ることは重要であるというのが調書公開を支持する論点のひとつとなっています。

 しかし、同じ立花氏がこの少年が書いたとされる「犯行声明」や「懲役13年」という作文の文章力を「天才的な文学的才能」のせいだと考えているようなのは、矛盾しています。中学生に書けるハズもない文章を読んで、これは「この少年が天才だから書けたのだ」と説明づけるのでは、「この少年が精神異常だからこんな事件を起こしたのだ」と説明づけるのと同じことになってしまうからです。

 では、中学生にはとても書けそうもないこうした文章をこの少年が書いたことをどう説明するのがいいのでしょうか?その答のひとつが、「この文章を書いたのはこの少年ではないのではないか?」と疑ってみることです。こうした疑問を辿っていくと、「この少年は犯人ではないのではないか」という疑問にまで行き着きます。謎の多い事件には必ずと言っていいほどこの第3のキーワードが登場してきます。そう「冤罪」です。



【これは絶対面白い】

神戸事件の真相を究明する会

神戸小学生惨殺事件の真相

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続・神戸小学生惨殺事件の真相

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(書店または、発行元162-8790 新宿区早稲田鶴巻町525-9「神戸事件の真相を究明する会」電話03-3232-9005Fax03-3232-9035に注文して下さい。)
 少年法では、裁判に相当する家庭裁判所での審判(非公開)が一度行われるだけで、控訴審はない。この少年の処分(刑に相当)はもう決定してしまっているのだ。マスコミなどでももう少年が犯人だったことは自明のことのように報道している。しかし、本当にあの少年が犯人だったのか、この小冊子を読むと疑問が湧いてくる。冤罪ではないのか。

 事件が発覚した直後、マスコミでは「黒いゴミ袋を持った男」や「正門付近に停車していた黒いブルーバード」が目撃されていることを報じていた。目撃情報は複数で、目撃時間は「27日の早朝4:30から6:00ころまで」であった。ところが、容疑者として少年Aが逮捕されてからは、一転、それらの目撃情報はすべて「ガセ情報」とされ、「事実」は「この少年が午前1:00から2:00の間に首を置いた」ことになってしまった。本当に複数の目撃情報は「ガセ情報」だったのだろうか?

 被害者の首は「昼過ぎに、万引きしたナイフと金ノコを使って、アンテナ基地のコンクリートの上で切断した」とされている。しかし、行方不明になった子どもの捜索が大規模に行われているときに、外からの目隠しもまったくないところで、真っ昼間に人の首が切れるだろうか?しかも、法医学者の目からは、切断面はとてもナイフや金ノコで切ったとは思えないという。この法医学者によれば、このような切断をするためには、「頭部を冷凍してから、電動の丸ノコで切る必要がある」というのである。

 実は、その犯行に用いられたとされる金ノコは「少年の自供後、近くの池から、テレビカメラの見守る中で、発見された」が、物証はたったこれだけなのである。この金ノコが本当に凶器であることを証明するためには、被害者の血痕や加害者の指紋、南京錠の金クズ(基地の入口の南京錠もこの金ノコで切ったとされている)がついていることを示さなければならないハズなのだが、捜査本部はそのことを明らかにしていないのである。

 疑問は、これだけではない。この小冊子にはその他多くの疑問が指摘されている。警察やマスコミを信用してはいけないのである。私たちはあの松本サリン事件のときに「河野さん」を犯人に仕立て上げる間違いをしてしまったばかりではないか。 (守 一雄)


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