第9巻第7号              1996/4/1
IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX

DOHC(年間百冊読書する会)MONTHLY

IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX-IX

毎月1日発行[発行責任者:守 一雄]

(PDC00137, kazmori@gipnc.shinshu-u.ac.jp)



  新入生の皆さんご入学おめでとうございます。新年度ですので、この「DOHC Monthly」について簡単に紹介することにします。DOHC(Dokusho One Hundred Club:年間百冊読書する会)は、1987年の春に発足した読書クラブです。特別な活動は一切していませんが、「私もたくさん本を読もう」と思ったら、その時からあなたもDOHCの会員です。
 DOHCには会則はありませんが、「1週間に2冊、1単位につき2冊、本を読む」という「1212運動」を推し進めることを会員の活動としています。1年は約50週ですから1週間に2冊で年100冊になります。また「1単位につき2冊」ならば、ここの学生はだいたい180-200単位取って卒業しますので、学生時代に約400冊、つまり年平均100冊読むことになります。
 そしてこの「DOHC Monthly」は、会員拡大のための宣伝を兼ねた書評ミニコミ紙です。面白い本を皆で推薦し合いたいと考えています。最近読んだ本で面白かったものを推薦文とともに守(教育学部北校舎N224)まで知らせて下さい。学生・教官とも歓迎いたします。
 「DOHC Monthly」は、授業で配布したり、学内に掲示するほか、パソコン通信を通して、全国の講読会員に配布されています。研究室(北校舎N224室)前の箱からも自由にお持ち下さい。また、今年の1月からは、インターネットのwwwにDOHCホームページを作り、(http://cert.shinshu-u.ac.jp/facul/psycho/mori/dohc/dohchp-j.html)バックナンバーも含めて公開しています。          (守 一雄)

【これは絶対面白い】

本橋信宏『素敵な教祖たち』

コスモの本¥1,500


 「その道における有名人」というのはどこにもいるものである。「その道」というのが、眉を顰めたくなるような領域である場合でも、その道で有名人になっているような人物の行状というのは、不思議に魅力的であったりする。この本は、そんな「一言で言ってとんでもないヤツ」17人についての話が集めてある。テリー伊藤・梶原一騎・竹中労・村西とおる・北公次・麻魔羅少将・黒木香・石川一雄・佐川一政・オリビア=セントクレア・宅八郎・蛭子能収・田中康夫・杉山治夫・佐藤太治・代々木忠・塩見孝也の17人。テレビディレクターのテリー伊藤に始まって、元赤軍派議長の塩見孝也まで、なぜこの17人が選ばれたのかというと、著者の本橋信宏氏がこういう人たちとおつきあいをしていたからであって、この著者自身もかなりとんでもないヤツである。
 17人のうち10人は名前だけは知っていた。それでも、ほとんど知らないことばかりが書かれていた。どれも皆「とんでもないヤツ」なのだが、そのとんでもなさがやけに面白いのである。たとえば、「借金の取り立てをする際に、返済不能の客の腎臓を提供させ、臓器売買をビジネスにしてしまう」杉山治夫というのがこの17人の中で一番のとんでもない悪いヤツなのだが、この人についての話が一番面白かったりする。ここまで面白いと「もしかしてこの人は本当は悪い人ではないのでは」と思えてしまうから不思議である。(それに比べると、血友病患者を食い物にしていたとされる安部英氏などの素顔を暴いても面白いことは何も出てきそうにない。)
 著者は一応フリーのルポライターで、雑誌『宝島』を中心に仕事をしているらしい。いわゆる「業界人」についてのルポを書くためには、文化人類学者が原住民にとけ込むように、業界人になりきらなければならないのだろう。
 アダルト業界の話も多く、4月新学期に新入生に推薦するのはどうかとも思ったが、こんな面白い本を紹介しないではいられない。            (守 一雄)


DOHCメニュー