第7巻第10号              1994/7/1
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DOHC(年間百冊読書する会)MONTHLY

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毎月1日発行[発行責任者:守 一雄]

(PDC00137, kazmori@gipnc.shinshu-u.ac.jp)


 拝啓 杉崎隆晴様
 貴著『国立大学・権力構造の謎解き』を読んで、少なくとも1人、行動を起こしたものがいることをお知らせしたくお手紙差し上げました。
 貴著を手にした時、「思い切ったことをやるなあ」と思いながらも、初めは覗き趣味的に他大学のゴタゴタを覗いて楽しむつもりでいました。ところが、ほんの少し読み進んだところでビックリしてしまいました。先生がお書きになっているH大学教育学部での種々のできごとは、まるでウチの大学のことを書いているのではないかと思うくらいにソックリだったからです。(学部内で「活躍」してるMグループのイニシャルや組織票の数までもが同じなのですから、苦笑してしまいます。)
  さらに読み進んで行くと、これは冗談でもないし、他人ごとでもないことがハッキリとわかりました。そして、先生が「はじめに」に述べられている「最高責任者が不明となる決定プロセスが日本においては何も大学の教授会に限ったもので」はなく、『甘え』の上に成り立つこうした日本的な意志決定を「打破しないことには日本国の未来はないという憂国の情を禁じ得なかった」という心意気に倣って、私も何かしなければと考えました。
 そこで、先生の勇気ある行動に刺激されて、私も行動を起こしてみようと決意しました。別々の組織に所属しているため、先生の行動を直接に応援することはできませんが、自分自身の置かれた状況の中で、先生に倣って精一杯の行動をしてみることが、私にできる先生への支援であると考えたからです。
 さしあたっては、本学部の附属中学校での教育実習における女子学生の掃除中の服装が「スカート禁止、手ぬぐい、腕まくり」と定められていることの改善に取り組むことにしました。これはまったくの些細なことですが、本学部と附属学校との間には種々の問題点が山積しているにも関わらず、学部教官・附属学校教官・当事者である学生の誰もが不満を持ちつつも半ば諦めてしまっていて、一向に改善しようとする動きがありません。小さなことであっても、個人の行動によって改善できることが示せれば、大きな問題点の改善への突破口になるに違いありません。
 同時に、これもまた先生に勇気づけられて、諦めかけていた学会誌編集委員会との闘争も再開しました。これら2つの行動の結末はいずれまたお知らせいたします。
                敬具
                    守 一雄

【これは絶対面白い】

杉崎隆晴『国立大学・権力構造の謎解き』

三一書房\2,100


 先月号はH大学の獣医学部、今月号はH大学の教育学部を舞台にした話である(イニシャアルは同じHだが違う大学である、念のため)。大学に関わる話題は最近各所で取り上げられることが多く、DOHCでも何度か紹介をしてきた。今回の本は、ある地方大学教育学部での人事問題を中心に、当事者自身がその実態を明らかにしたものである。だからといって、単なる内部告発本ではない。大学問題に留まらず、日本社会全体の物事の決定の仕方に問題があることを分析した第7章以降が本当に著者が主張したかったことであろう。主に人事問題について詳細な記述がなされている第2章から第6章は、大学関係者以外には記述がくどく感じられるかも知れない。(大学関係者は、「文部省職員録」でH大学教育学部の教官一覧を見て登場人物を特定しながら読むといっそう迫力がある。)  (守 一雄)


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