第7巻第2号              1993/11/1
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DOHC(年間百冊読書する会)MONTHLY

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毎月1日発行[発行責任者:守 一雄]

(PDC00137, kazmori@gipnc.shinshu-u.ac.jp)


  拝啓、村上宣寛様  昨日、『最新コンピュータ診断性格テスト』を受け取りました。さっそく、読み始めたら、面白くて、結局、仕事を忘れて最後まで読んでしまいました。
  以前から、性格テスト(や知能テスト)の古さにはあきれていましたが、こうハッキリと事実を突きつけられると何とも情けない気がします。特に、「Y−G性格検査」はなんとなく定評が高いという理由で、信頼していましたので、この本を読んでビックリしました。さっそく、MINIの購入の手続きを取りたいと思います。
 一点だけ、気づいたことがあるので、お知らせしておきます。p.16のレーガン大統領の表記法のことですが、「リーガン」から「レーガン」への修正は、「リーガン」が間違いだったからではなく、レーガン大統領自身が自分の名前の読み方を変えたのだったように記憶しています。理由については、当時、別に気にもしなかったのか憶えていないのですが、広瀬隆『億万長者はハリウッドを殺す』(講談社)下巻p.208によれば、財務長官ドナルド・リーガンとの混同を避けるためだそうです。(ちなみに、財務長官のリーガンの方がそのままで、大統領の方がレイガンに名前を変えるというのは、変な話ですが、モルガン=ロックフェラー財閥こそが真の実力者で、大統領はその操り人形に過ぎないからであるというのが、広瀬隆の説明です。)
  上のパラグラフで、大統領の名前をレイガンと書きましたが、発音により近いのは「レーガン」ではなく「レイガン」だからです。この例のように、この本であまり原音にこだわるのも、私はあまり好きではありません。(フランス人は、シェークスピアを堂々とフランス語式に「シェクスペール」と読んでいるそうですから。)
 それにしても、見事な本です。同僚・学生などにどんどん宣伝します。私が発行している個人ミニコミ書評紙のDOHCにもいずれ取り上げさせていただきます。
 では。 守 一雄

【これは絶対面白い】

村上宣寛
『最新コンピュータ診断性格テスト』

こころは測れるのか

日刊工業新聞社、\1,700


 書名はむしろ『間違いだらけの性格テスト選び』とでもした方が良かったかも知れない。流行の「心理ゲーム」や「血液型性格学」に始まって、過去から現在に至るまでの「性格を測定しようとする試み(=性格テスト)」のほとんどがいかにあてにならないものであるかが、測定学の基本に照らして検証されている。そして、心理学界では一定の評価を得ているようなものまでが徹底的に批判されている。それでは、信頼に足る性格テストはないのか、というと、パソコンで自動診断ができるような最新の性格テストである「MINI」というのがおススメであるという。そこで、書名も「最新コンピュータ診断性格テスト」というものになったという次第である。実は、このMINIは、著者らの作ったものである。「なあんだ、自分の作ったテストの宣伝かぁ」と言わないでもらいたい。本の著者とMINIの作者とがたまたま同じであったというだけで、この本は(そしてMINIも)著者が誰であれ、絶対面白いおススメ本であることにかわりはない。心理測定学の入門書としてもたいへん優れた本であると思う。      (守 一雄)


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