第6巻第11号                   1993/8/1
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DOHC(年間百冊読書する会)MONTHLY

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毎月1日発行[発行責任者:守 一雄]

(PDC00137, kazmori@gipnc.shinshu-u.ac.jp)



  暑中お見舞い申し上げます。
 8月1日付けで、信州大学に新しい心理学のメンバーが加わります。といっても、私のいる教育学部ではなく、松本の教養部にです。先日ふとしたことから新任の方の名前がわかり、それが3年ほど前におもしろいと思って読んだ本[1]の著者でした。半田智久さん、1957年生まれの36歳です。おもしろい授業をやってくれそうです。
 そこで、半田さんの本を紹介することにしましたが、「近ごろのDOHCの紹介本は高い本が多い。文庫や新書も紹介して欲しい。」という声が聞かれましたので、文庫と新書と漫画を併せて紹介することにしました。

【これは絶対面白い】

[1]半田智久『知能のスーパーストリーム』

新曜社 \1,850


 「新しい次元へ跳躍的な進化を遂げようとしているという知能進化の予兆の中で、知の諸相について感ずるところを思いのままに書いた」という科学エッセイである。大脳生理学・比較心理学・人工知能学の成果を基に、人間とコンピュータとが共進化して、超知能となる可能性を見通す。「コンピュータは私たちの創造的な知的能力を拡張するためのパートナーなのであって、私たちの代わりを務めてくれるものではない。」「どんな分野においても、楽をするためにコンピュータを使おうとする者は、決してその要求を満たされず、常に不満をもち続けるであろう。」半田氏には、ぜひ教養部でこんな話を学生に聞かせてもらいたい。もう教育学部へ進学しちゃって講義が聞けない諸君は、この本を読もう。

[2]伊藤比呂美『良いおっぱい悪いおっぱい』

集英社文庫 \450

[2]西成彦・伊藤比呂美『パパはごきげんななめ』

集英社文庫 \450


  「胎児はウンコである」という名言で有名になった本。『良いおっぱい・・』の方は母親から見た妊娠から育児までの痛快指南書。『パパは・・』の方は、その父親版。結婚したらすぐに読んでおくことをすすめる。育児が楽しくなる。自信が持てる。もう産み終えちゃった人は、また産みたくなる。いやー、これはいい本である。

[3]長谷川真理子『オスとメス=性の不思議』

講談社現代新書 \600


 以前に「絶対おすすめ」だった小原嘉明さんの『オスとメス:求愛と生殖行動』(岩波ジュニア新書:DOHC89年7月号紹介)が絶版となって残念に思っていたところ、同じ書名で(副題は違いますが)同じような内容の本が出版された。有性生殖の起源から、人間の性の問題まで、進化生物学の最新の知見を踏まえて、分かりやすく書かれている。これは、結婚前の男女に絶対おすすめの本である。

[4]小林よしのり『ゴーマニズム宣言』

扶桑社 \700


「東大一直線」と「おぼっちゃまくん」で知られる小林よしのり氏の自己主張漫画。「東大一直線」と「おぼっちゃまくん」は、子どもにうけるだけの低級ギャグと思っていたが、これにはめちゃくちゃ笑わされた。「常に、自分の眼で見、耳で聴き、心で感じたことを信ぜよ。」というのが、ゴーマニズム(傲慢に生きる)の心得である。(ということは、私もかなりのゴーマニストであった。ま、とにかくこの本も私はおもしろいと思ったから薦める。)
(守 一雄)
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