第6巻第5号                   1993/2/1
VI-VI-VI-VI-VI-VI-VI-VI-VI-VI-VI-VI-VI-VI-VI-VI-VI-VI-VI-VI-VI-VI

DOHC(年間百冊読書する会)MONTHLY

VI-VI-VI-VI-VI-VI-VI-VI-VI-VI-VI-VI-VI-VI-VI-VI-VI-VI-VI-VI-VI-VI

毎月1日発行[発行責任者:守 一雄]

(PDC00137, dmori@c1shin.cs.shinshu-u.ac.jp)



  しばらく欝になる予定でしたが、1月中は面白い本に次々に出会い、思ったより早く欝を抜け出しました。特に、渡部昇一『かくて歴史は始まる』(クレスト社、\1,800)は、読むととても元気になれます。「日露戦争における日本の勝利は、コロンブスの新大陸発見以来400年間続いていた白人優位の世界史の流れを変えるものであった。これから数百年はイギリス・アメリカなどの白人に代わる日本人の時代になる。」というのですから、ウレシイじゃありませんか。そこで、この本を紹介するつもりでしたが、いろいろなところで書評がすでに出ているので、ここでは「ボクも読んだけれどホントに面白いよ」と推薦するに留めて、他では紹介されそうもない以下の本を取り上げることにしました。       (守 一雄)

【これは絶対面白い】

加藤 充『発想を変えれば家は安くなる』

東京経済\1,200


 40代に入り、そろそろ自分の家が欲しいなと思いつつも、重いローン苦のことを考えると何かバカバカしくなって、結局、借家住まいを続けている。日本の土地が異常に高いのは誰しも指摘するところだが、実は建築費そのものもアメリカ・カナダなどと比べて信じられないほど高い。カナダに3年間暮らして、いろいろな住宅に住んだり、見たりしたが、どの家も素晴らしかった。しかも、決して高くない。どうして日本では同じような家が同じような費用でできないのだろうか。これは長い間の疑問であった。それでも、世界中に安くて品質の優れた家電製品を供給しているあの松下電器系列の住宅でさえ高いのだから、仕方がないのかなあと諦めかけていたのだが、この本を読んで、すっかり謎がとけた。要は、住宅産業が国際競争力を必要としないものであるため、技術革新が進まず、古い体質のまま生産性が低いからなのである。ラダ(ロシア製の乗用車)がカローラより品質が悪くしかも高いのと同じである。
 ではどうすれば良いか。この本は、日本の住宅業界が抱える問題点を合理的なシステムで解決した企業「アイフルホーム」の社長自らが書いた本であり、そうした意味で「アイフルホーム」の宣伝の本である。しかし、現状分析の鋭さ、解決方法の適切さなど、随所に光るところがあり、納得がいく。「そうだコレだ。」というのが、この本を読んでいての感想であった。たとえば、Mモジュールの話。従来の工法では、建築用材の70%を輸入していて、それらがメートル単位であるにもかかわらず、昔からの尺貫法に合わせて1メートルにつき9センチずつ切り落とし、無駄な廃材を作り出すという手間をかけて、わざわざ狭い家を作っている。これを、最初からメートル単位で作れば、無駄な手間もかけずに21%も広い家ができる。これは本当に「コロンブスの卵」の発想である。この他にも、合理的なアイデアが見事に生かされている。久々の「目からウロコが落ちる本」であった。まだ、家を建てていない人すべてに絶対のおススメ本である。(ボクにも家が持てそうだぜ。)                           (守 一雄)
バックナンバーメニューに戻る。