第6巻第2号                   1992/11/1
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DOHC(年間百冊読書する会)MONTHLY

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毎月1日発行[発行責任者:守 一雄]

(PDC00137, dmori@c1shin.cs.shinshu-u.ac.jp)



 お茶の水女子大学の無藤先生が発行している『MutoNews』(パソコン通信個人ニュース)No.68に、苅谷剛彦『アメリカの大学・ニッポンの大学』が紹介されていましたので、早速読んでみました。近頃、大学関係者の話題によく上ってくる「TA(大学院生が奨学金をもらって教官の授業の手伝いをすること)」や「シラバス(教官が授業の概要を学期始めに公開すること)」や「授業評価(学生側が教官の授業内容を評価すること)」について、著者自身のアメリカの大学での体験を踏まえた紹介や、それを日本の大学に導入する際の問題点などが分かりやすくまとめられています。思えば、『文学部唯野教授』が大ベストセラーになって以来、文部省が進める大学改革の動きと相俟って、大学の実情を暴露したり批判したりする本が相継ぎました。改めて思いだしてみるとその手の本を結構読んでいました。1988年以降出版の本を以下にリストアップしてみました。『ニセ学生マニュアル』が今月の絶対のおススメです。

【大学関係の本】

(守が目を通したもののみ)

1992/11/1現在


  • a.天野郁夫『大学:試練の時代』東京大学出版会1988年\1,400
    (先駆的な本だったが、今となっては、面白くない。)
  • b.浅羽通明『ニセ学生マニュアル:いま、面白い<知>の最尖端講義300』徳間書店1988年\1,030
    (その後、続編が2冊出ている。大学論はいろいろあるが、この本の始めの40頁ほどがすべてを言い尽くしている。これが絶対のおススメ本。)
  • c.別冊宝島No.90『大学の事情』JICC出版局1989年\1,010
    (DOHC89-08月号で紹介済み。pp.194-197のスゴロクが笑える。もちろん、おススメ本である。)
  • d.筒井康隆『文学部唯野教授』岩波書店1990年\1,262
    (同時代ライブラリー版\800が出たので安く買える。大学の内情よりも筒井康隆の文学論が面白い。)
  • e.喜多村和之『大学淘汰の時代』中公新書1990年\540
    (好書だが、面白くない。)
  • f.鷲田小弥太『大学教授になる方法』青弓社1991年\1,545
    (DOHC91-05月号で紹介済み。これはメチャクチャ面白い。続編『大学教授になる方法:実践編』1991年も出たが、毒が消えて面白くなくなった。)
  • g.桜井邦朋『大学教授:そのあまりに日本的な』地人書館1991年\1,600
    (理系の人が書いた大学教授の内情暴露本だが、やはり二番煎じに過ぎなかったという感じ。続編『続・大学教授』1992年も同様。)
  • h.天野郁夫『日本的大学像を求めて』玉川大学出版部1991年\2,472
    (大学改革関係なら私が本家ですヨという著者の本。勉強にはなるが、面白くない。)
  • i.井門富二夫『大学のカリキュラムと学際化』玉川大学出版部1991年\2,884
  • j.木田宏『大学への期待』サイマル出版会1991年\2,300
    (h.i.とも、エライ人の書く大学改革論の典型。退屈。)
  • k.産経新聞社会部編『大学を問う』新潮社1992年\1,200
    (DOHC92-08月号で紹介済み。といっても、「いやーもう、ただただため息です。」と書いただけだが。おススメ)
  • l.苅谷剛彦『アメリカの大学・ニッポンの大学』玉川大学出版部1992年\2,472
    (上に紹介したとおり。大学関係者には役に立つだろう。)
       (守 一雄)
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