第5巻第11号                    1992/8/1
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DOHC(年間百冊読書する会)MONTHLY

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毎月1日発行[発行責任者:守 一雄]

(PDC00137, dmori@c1shin.cs.shinshu-u.ac.jp)



  暑中お見舞い申し上げます。先月の末に、我が教祖様リチャード・ドーキンス博士の講演を2日間に渡って聞きました。1日目が終わってから気がついたのですが、講演は中高生を対象にした「少年科学講座」で、「利己的遺伝子」論については軽く触れただけでした。それでも、良く準備された講義は、実物やAV機器を巧みに使った素晴らしいものでした。小さな会場で前から2列目に座りましたので教祖様の顔を間近に眺めることもでき、昼休みには著書にサインをもらってきました。                          (守 一雄)

【これは絶対面白い】

 先月は次から次へと面白い本にぶつかりました。読み終わるたびに「よしこれを来月のDOHCで紹介しよう」と思うのですが、こう何冊も続くとどれか1冊に絞りきれず、結局全部並べあげることにしました。どれも面白いヨ。

清水義範『超・誘拐入門』

双葉文庫\460


  夏休みを前に、清水義範の本が次々と文庫になり5社から新刊が出ましたが、これが一番面白かった。いままで紹介してきた「パスティーシュもの」ではありません。長編娯楽犯罪小説です。

広瀬隆『クラウゼウィッツの暗号文』

新潮文庫\440


 大作『赤い楯(上下)』や『億万長者はハリウッドを殺す』に見られる著者独特の「現代史裏読み」ものです。クラウゼウィッツは『戦争論』を書き残したドイツの軍人で、広瀬隆はこの本を「暗号文」、第2次大戦以後の世界各地での戦争を「鍵」として、「人はなぜ戦争するのか?」という問いへの答えを捜しだしました。(答えはここでは言いません。)1945年から1991年までの世界各地での全戦争・紛争が地図に記録されていますが、この間戦争をしてこなかったのは日本・スイスなど10カ国に満ちません。PKO法案が成立した日本は、この世界に誇れる状態をいつまで続けられるのでしょうか。

産経新聞社社会部編
『大学を問う:荒廃する現場からの報告』

新潮社\1,200


いやーもう、ただただため息です。

槌田敦『環境保護運動はどこが間違っているのか』

JICC出版局\980


 以前に紹介した「槌田エントロピー理論」の槌田氏の最新作ですが、きわめて易しく書かれています。DOHC92-3月号で紹介した、北村美遵(よしゆき)『地球はほんとに危ないか?』(光文社\790)と同様に、最近の環境保護運動の裏に隠されたウソがわかりやすく述べられています。                               (守 一雄)
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