第5巻第6号                    1992/3/1
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DOHC(年間百冊読書する会)MONTHLY

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毎月1日発行[発行責任者:守 一雄]

(PDC00137, dmori@c1shin.cs.shinshu-u.ac.jp)



  春です。欝(うつ)もどうやら治りました。胃が始終つかえる感じがして気持ちが悪いので医者へ行くと、「家系に癌の人はいないか」と脅かされ、早速翌日には胃カメラを飲まされ、翌々日にはX線検査もされて、2月はどん底でした。「死」という言葉が脳裏をよぎりました。それにしても、胃カメラの苦しいこと苦しいこと。結局、どうやらただの胃炎のようで、のみ薬を出されただけで済みましたが、精神的なショックの方が大きく、しばらくは胃のつかえがとれません。それでも、2週間目に胃薬といっしょに出された「風邪薬」が実は精神安定剤だと判ったところで、ショックから抜け出しました。今月紹介する本は、欝を抜け出してから読んだものです。最後まで読んでから、カバーの後ろを読んだら、欝の始まりとなった本の著者・室田武氏が推薦文を書いていました。学者である室田武氏や槌田敦氏の真摯な書き方に比べ、ジャーナリストの北村氏はかなり「おふざけ」が目立ちますが、元気にはなります。                (守 一雄)

【これは絶対面白い】

北村美遵(よしゆき)『地球はほんとに危ないか?』

光文社 \790


 「地球はほんとに危ないか?」というタイトルの答えは「危なくない」である。著者の言葉を借りれば、「人間がその活動の結果、ヒトが適応できない地球環境をつくりだして絶滅したあとも、地球はおそらく向こう数十億年、生命の星として存続する。」では、人類は滅亡するのか?著者は言う「人類は、長嶋茂雄氏の巨人軍ではないから、いつかは滅びる。」
 ここからは守個人の意見であるが、個人としての人間も、種としての人類もいつかは死ぬのである。死を回避するために、冷凍人間になって「生き続けて」もしょうがないのと同様に、人類の絶滅を回避するために「江戸時代に戻る(槌田案)」というのもダメなのである。ただ、個人も健康に注意してできるだけ長生きすることが大切なように、人類も人類全体の「健康」に注意して滅亡をできるだけ先延ばしできるよう努力することは重要である。そのためには、何が健康に良く、何が健康に悪いのかを個人レベルでも人類レベルでもしっかりと知っておく必要があるだろう。タバコと原発はどう考えても健康に悪いヨ。
 さて、本書の具体的内容であるが、「賢い主婦」を気取って知ったかぶりでエコロジーに取り組んでいると、とんでもない見当違いになることが、痛快に述べられている。無知は個人レベルでも人類レベルでも健康に悪いのである。DOHC第3巻第3号でも紹介した『地球環境・読本』(別冊宝島101、JICC出版局、\1,010)もいっしょに読んでみることを薦める。
【宣伝】
守 一雄『ミニチュア人工言語研究』平成4年2月29日刊、風間書房、\17,510
 「定価が一桁間違ってるんじゃないか」って、いえ、間違いではないんです。高い本なのでとても「買ってね」とは言えないから、「大学図書館・公立図書館に購入希望書を書きましょう」とお願いする次第です。(400部しか刷ってないんですから、「森林資源の無駄だ」などと責めないで下さい。)
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