第4巻第6号                    1991/3/1
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DOHC(年間百冊読書する会)MONTHLY

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毎月1日発行[発行責任者:守 一雄]

(PDC00137, dmori@c1shin.cs.shinshu-u.ac.jp)



「湾岸戦争終結」なにはともあれ喜ばしいことです。
  今回の湾岸戦争ではいろいろ考えさせられました。特に痛感したのは、日本が誇る「平和憲法」が「世界が平和なときにしか役に立たない」ということがハッキリしたことです。だからといって、すぐに「憲法改正」論者になるつもりはありませんが、「事が起こってからでは遅い」ことがわかった以上、「事が起きないように万全の予防策を行う」ことを本気で実行しない限り、平和憲法を守っていくことはできないと思います。それでは、その予防策とは?今さしあたって私たち一人ひとりは何をすればいいのか?残念ながら何もわかりません。なんともナサケナイ話です。そんな時に読んだ本を2冊紹介します。チョット元気が出ます。(守 一雄)

【ちょっと元気が出る本】  

玉井袈裟男『自己発見の技術:むらで生まれた発想』

農山漁村文化協会 \900 


 DOHC会員の学生から紹介されて読んだ本。著者の玉井氏は昨年我が信州大学教養部を停年退職になった方であった。キャンパスが離れていることもあって、一度もお会いすることがなかったのが本当に残念である。この本によれば、困難な現実に直面した時、私たちの対応の仕方は、(1)問題から逃げる(2)じっとその場を凌ぐ(3)積極的に対処する、の3つである。逃げたり凌いだりしているだけではダメなことは誰でもわかる。それでも、ほとんどの場合私たちはこの2つでことを済ます。玉井氏は、積極的に対処するためには「技術(自分自身の努力と企て)」が必要であるという。問題を、自分自身の個人的な些細な具体的な問題に置き換えて、解決のための努力と企てを行うことこそが、解決の道であると教えてくれている。問題を一般論にして大きな問題にすりかえてしまうのは、やる気がないことを隠しているに過ぎないのである。
  湾岸戦争で私自身にとって何が本当に問題であったのか?「どうすれば戦争がやめさせられるか?」「日本はどうすればいいのか?」は私の問題ではなかった。何もしない自分を擁護するために、問題を「立派に」していただけだった。そこで、さしあたって「自分は中近東やイスラムのことを何も知らない」という個人的な問題に置き換えてみた。そして、本を読むことにした。(「なんだ結局読書の宣伝かぁ」と言わないで下さい。)

【ちょっと元気が出る本】 

片倉もとこ『イスラームの日常世界』 

岩波新書 \550 


「中近東やイスラムのことを知ろう」と思って読んだ本の中で、これが一番面白かった。不可解だと思っていたイスラム教がすこしわかって元気が出た。例によって感化されやすい私は、今月17日から始まるアマダーン(断食月)には断食をしてみようかと考えたり、メッカの方角に向かってサラート(礼拝)をしてみようかと思うのだった。「イン・シャー・アッラー」
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