第4巻第5号              1991/2/1
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DOHC(年間百冊読書する会)MONTHLY

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毎月1日発行[発行責任者:守 一雄]

(PDC00137, kazmori@gipnc.shinshu-u.ac.jp)



  私の読書はいつもいきあたりばったりですが、面白い本に出会うと同じ著者の本を連続して読むことになりがちです。私の性格のせいかなとも思っていたのですが、死刑囚永山則夫の『獄中読書日記』(朝日新聞社)でも、同じ著者の本が連続して読まれていましたので、安心(?)しました。(それにしても、安部譲二といい永山則夫といい、刑務所ではずいぶん本が読めるのですね。あこがれちゃったりして...)というわけで、岩波ジュニア新書の『学校・学歴・人生』を面白いと思って以来、全部読むことになってしまった森嶋通夫さんの本のリストです。(守 一雄)

【森嶋通夫著作紹介(年代順)】


 森嶋通夫:1923年生まれ。1946年京都大学経済学部卒業。阪大教授、イギリス・エセックス大学教授を経て、ロンドン大学(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)経済学教授。
A『イギリスと日本』岩波新書 1977 \480:「イギリス病は病気ではない(悪くない)」「イギリスでは教育がうまく行っているので、良い人材が産業界に出ないで教育界に残る」「イギリスでは階級間の移動が日本より激しい」など、目から鱗が落ちる本。「イギリスの大学の先生は、できるだけ田舎に住もうとしますが、筑波大学の多くの先生は東京に住んでいます。」には笑った。
B『続イギリスと日本』岩波新書 1978 \480:Aの続編であるが、Aほど面白くない。Aがもっぱらイギリスの話であるのに対して、Bは日本の話だから面白くないのだろうか?
C『自分流に考える--新・新軍備計画論』文芸春秋社 1981 \1,000:ソフトウェア中心の「外交による防衛」論を中心に、第二次大戦中の筆者自身の体験と防衛論争を付け加えたもの。感激した。これが一番面白かった。森嶋防衛論が実現していたら、湾岸戦争でも日本はもっとマシな対応ができただろうに。
D『無資源国の経済学』岩波全書 1984 \1,900:経済学専攻の学部生向きに書かれた経済学の入門書。教科書でも森嶋さんが書いたのなら面白いかと思ったけれど、教科書はやっぱり教科書だった。
E『なぜ日本は'成功'したか』TBSブリタニカ 1984 \1,300:イギリス人知識層向けに書かれた日本の歴史文化論の日本語版。『続イギリスと日本』の姉妹版という感じ。歴史嫌いの僕にはあまり面白くなかった。
F『学校・学歴・人生』岩波ジュニア新書 1985 \600:「私の教育提言」という副題で、「Aクラス大学とBクラス大学を作る」とか「教養課程を3・4年次に移す」とかいう大胆なアイディアが面白い本。
G『サッチャー時代のイギリス』岩波新書 1988 \480:A・Bの続編。イギリス病を治したサッチャーは賞賛されることが多いが、イギリス病を良いものだと考えている森嶋氏のサッチャー女史の評価は極めて低い。
 結論として、絶対のお奨めはA・C・F・G。(特にCがおススメなのだが、残念ながら「絶版」である。図書館などで借りて是非ご覧あれ。)(守 一雄)


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