第3巻第12号                    1990/9/1
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DOHC(年間百冊読書する会)MONTHLY


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毎月1日発行[発行責任者:守 一雄]

(PDC00137, dmori@c1shin.cs.shinshu-u.junet)



  6月から始まった長〜い夏休みも終わりました。何歳になっても夏休みが終わるのは嫌なものです。今年の夏休みは猛暑でしたが、夜涼しくなってから、鈴木孝夫さんの本を読みました。1970年代の「日本語ブーム」の頃、『ことばと文化』にシビレて、『ことばと社会』『閉ざされた言語・・・』と立て続けに読みましたが、17年ぶりに出た岩波新書の『日本語と外国語』にまたまたシビレてしまったわけです。編著や共著を除くと、全部で8冊。新書や文庫など比較的廉価で手に入るものが多いのは嬉しいことです。全部買っても6500円程度。編著・共著を含めすべて長野市立図書館にも揃っています。       (守 一雄)

【鈴木孝夫著作紹介(年代順)】


A『ことばと文化』岩波新書 1973 \550円:日本語での親族名称の使い方の分析など随所に鋭い指摘が見られる古典的名著。三浦昭氏訳による英訳書も出ている(『Words in context』講談社 1984 \1000)。
B『ことばと社会』中公叢書 1975 \1350円:今回読み直さなかったが、確かBに書いてあることのほとんどは、AとCにも書いてあったと記憶している。
C『閉された言語・日本語の世界』新潮選書 1975 \830円:日本語に対する考え方について本当に「目からウロコが落ちた」本であった。
D『日本語講座 第4巻:日本語の語彙と表現』(編著)大修館 1976 \1440円:鈴木氏による部分は第1章のみ。
E『ことばの人間学』新潮社 1978 \980円(新潮文庫1981 \360):ことばにまつわるエッセイ集という感じである。気楽に読めて面白い。
F『朝鮮語のすすめ:日本語からの視点』(渡辺吉鎔と共著)講談社現代新書 1981 \450円:未読。でも、その精神はGからわかる。
G『武器としてのことば:茶の間の国際情報学』新潮選書 1985 \1050円:国際化社会の中で日本はどうすべきなのかについて明確な主張がなされている。折しもイラク紛争の時期であったため一層感動して読んだ。
H『私の言語学』大修館 1987 \900円:「言語学」と題名にあるのに最も言語学らしくない本。いかにも大学の先生という日常生活での変人ぶりが描かれていて楽しい。
I『ことばの社会学』新潮社 1987 \1200円:Eの続編のエッセイ集。Eが3年後に文庫になっていることから、もうそろそろ文庫になるかも知れない。
J『漢字民族の決断』(橋本萬太郎らと共著)大修館 1987 \2500:Cの頃から一貫して主張されてきた日本語における漢字使用の重要性についての集大成。
K『日本語と外国語』岩波新書 1990 \550円:漢字の音読みと訓読みというややこしい使い方がこんなにも素晴らしいものだったとは...
 結論として、絶対のお奨めはA・C・G・K、特にAとKである。(守 一雄)
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html化1996.5.18