第3巻第8号                    1990/5/1
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毎月1日発行[発行責任者:守 一雄]

(PDC00137, dmori@c1shin.cs.shinshu-u.ac.jp)



  山根一眞著『ドキュメント東京のそうじ』講談社文庫(\400)を読みました。掃除・洗濯・ゴミ処理・し尿処理といった仕事は、誰かが見えないところでやってくれているから、普段はあまり意識することがありません。しかし、誰もがゴミを出し、ウンチをします。後始末をする人のことを考えて生活をすることの大切さを改めて教えられました。
 面白かったので、ゴミ処理に関する本を国会図書館のデータベースで検索してみました。「ゴミ」というキーワードで1980年以降出版された本を検索してみると、42件。そのうち、「××報告書」「××マニュアル」といった市販されていなかったり、一般的でないものを除いた15件は以下の通りです。
 (n)の太田哲二『ゴミ恐慌1992年』をタイトルに魅かれて読んでみました。著者は東京・杉並区の区会議員。小説仕立てにして読みやすくしてありますが、なかなか内容のある本です。内容を一言で言えば、「東京を含む首都圏のゴミ処理は1992年には限界に達し、その後のメドが全くたっていない」ということです。著者はあくまでも区会議員ですので、小説としての出来映えはいま一つですが、ゴミ問題が抜き差しならぬ事態にあることの説明には説得力があります。「長野県は関係ない」と思うかも知れませんが、ゴミ問題は決して都会だけの問題ではありません。首都圏の「ゴミ箱」として長野県が選ばれる可能性は極めて大きいと思われます。それ以上に、ゴミはもはや都市だけの問題ではなくなっています。今の「使い捨て文化」が続けば、遅かれ早かれ、長野県でもゴミ処理が破綻する日は必ずやってきます。
  (d)岩波新書も、アセスメントにやや重点が置かれていますが好書です。
 (今月5月30日は「ゴミ・ゼロの日」です。) (守 一雄)

【1980年以降出版の「ゴミ」に関する本】


(a)寄本ほか編『現代のごみ問題』(全4巻)中央法規出版, 1982-85年 各巻1600円
(b)地域自立をすすめる会編『ゴミ事典』八月書館, 1983年 1800円
(c)米村洋一編『ごみなんでも事典:現代のごみ問題』中央法規出版, 1984年 1600円
(d)吉村功『ごみと都市生活:環境アセスメントをめぐって』岩波新書,1984 年 430円
(e)プランド研究所編『ごみと文化:リサイクル文化都市への挑戦』プランド研究所 1984年 2000円
(f)藤田千枝『ゴミのはなし』さ・え・ら書房, 1985年 800円
(g)松田美夜子『市民が燃えた!ゴミのリサイクル:川口市の新しい街づくり実験』ダイヤモンドセ−ルス編集企画, 1985年 1000円
(h)ソーラーシステム研究グループ『都市のゴミ循環』日本放送出版協会, 1985 年 750円
(i)佐々木久尚『ゴミ収拾記:秋田市清掃誌』秋田文化出版社, 1985年 1300円
(j)厚生省生活衛生局編『ごみ処理と都市』新企画出版社, 1985 年 1450円
(k)山本耕平・山田えいし『ゴミと生活』(絵本)現代書館, 1986 年 500円
(l)坂口・常葉『まち・ごみ・ひと : ものがあふれ、すてられる社会』(写真集)岩崎書店, 1986年 980円
(m)森住明弘『ゴミと下水と住民と』北斗出版, 1987 年 1500円

(n)太田哲二『ゴミ恐慌1992年』八重岳書房, 1989 年1360円

(o)石川禎昭『ごみ教養学なんでもQ&A』中央法規出版, 1989 年 1600円

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html化1996.5.18