第3巻第2号                    1989/11/1
III-III-III-III-III-III-III-III-III-III-III-III-III-III-III-III-III-III-III-III-III-III-III-III-III

DOHC(年間百冊読書する会)MONTHLY


III-III-III-III-III-III-III-III-III-III-III-III-III-III-III-III-III-III-III-III-III-III-III-III-III

毎月1日発行[発行責任者:守 一雄]

(PDC00137, dmori@c1shin.cs.shinshu-u.ac.jp)



  農山漁村文化協会(農文協)というあまりぱっとしない名前の社団法人がある。「全国本部は盛岡市に、関東甲信越支部は長野市にある」と言ったら信じてもらえそうだが、実は、本部は東京港区赤坂7丁目にある。農水省の外郭団体なのである。月刊誌『現代農業』を発行している他、各種出版物がある。つい最近までは、どう見ても教育学部学生や私には無関係と思ってきたが、ふとしたことから強く印象に残ることになった。まず第一に、この『現代農業』という雑誌が、あの井上ひさし氏の愛読書であることを知ったこと。第二に、反原発・脱原発の活動をしていく中で、環境問題・自然保護に無関心でいられなくなり、必然的に農業問題にも関心が広がったこと。第三に、たまたま農文協の人が研究室を訪ねてきたこと(農文協の北陸支部第二部は本当に長野市にあるのだった)。そして、最後に、そのとき紹介された「人間選書」のうちの一冊を読んでみたら、大変おもしろかったのである。      (守 一雄)

【これは絶対面白い】  

小原秀雄『教育は人間をつくれるか』

(農山漁村文化協会、\1,350)


 哺乳類学が専門の著者が、動物研究の成果から、哺乳類としての人間についてわかりやすく論じたもの。行動生態学の始祖K.ローレンツは「人間は自己家畜化した動物である」と論じたが、この著者によれば、人間の「自己家畜化」はさらに進み、パソコンやウォークマンにひたり、部屋でゴロゴロしているだけの「寝たきり青年」は、もはや「自己ペット化」であるという。書名に対する著者の答えは「教育は人間をつくれない」というものである。さあ、我々教育関係者はどうしたらいいのだろうか?    (守 一雄)

【ニュース】

 今年6月に行なわれた、総理府の「読書に関する調査」によると、15歳以上の男女のうち27.4%は、1カ月に1冊も本を読まない。一方、1カ月に7冊以上本を読むDOHC会員クラスの人は、9.2%もいる。この結果を単純に教育学部にあてはめると、隠れDOHC会員は100人はいることになる。
(お断り)1989/11/1発行時には「自己家畜化説」はもともとK.ローレンツの言ったことだと知らずに、間違った紹介をしてしまいました。ここでは訂正してあります。
バックナンバーメニューに戻る。
html化1996.5.18