第2巻第12号                    1989/9/1
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DOHC(年間百冊読書する会)MONTHLY


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毎月1日発行[発行責任者:守 一雄]



 小学校の頃からの決まり文句のとおりに「長かった夏休みも終わり」、9月になりました。DOHC月報も今月で丸まる2年分の発行を終えることになります。ご愛読ありがとうございました。今年の夏休みは論文を2つも書いた(自慢!!)ものですから、あまり本が読めず、とっておきの「在庫」も底をついて、DOHC2年目の最終号を飾るいい本が見つかりませんでした。そこで、5分で読める「ことば遊びの本」を紹介してお茶を濁すことにします。    (守 一雄)

【これは絶対面白い】  

石津ちひろ『まさかさかさま動物回文集』

(河出書房新社 \1,000)


「チンパンジイから怪人パンチ」1)

「そう若くないおいおい泣くカワウソ」1)

などという動物名の入った愉快な回文が長新太の独特な絵とともに77文出て来る。わずか77文しかないから5分で読めるというわけ。ところで、「回文」とは、上から読んでも下から読んでも同じになる文のこと。そこで、わずか77文でも、読むのは簡単だが、作るのは「さぞ大変」なことは想像がつくであろう。「回文である」ということだけが取柄の文がただ並んでいるだけだから、読んでもなんら新しい知識は増えない、何の役にも立たない。しかも、「俺も一つ作ってみよう」などと変な気を起こすと、他の仕事の邪魔になり、夜眠れなくなったりする。そういった意味で、これは悪書である。それでも、デートの時などのたわいのない会話の話題にはいいかも知れない。ただし、回文の知識をきっかけに仲良くなって、彼女が君のアパートで手料理の酢豚を作ってくれても、
「酢豚作りもりもり食ったブス」2)
とだけは言ってはいけない。キノコ鍋でもやりながら、
「土井たか子のキノコ固いド」3)
と言うのはいいけれど。

 類書に、谷川俊太郎『ことばあそびうた』『ことばあそびうた また』(福音館書店各\700)がある。

                          (守 一雄)
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1)石津ちひろ作、2)土屋耕一作、3)森まりも作


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html化1996.8.26