第2巻第8号 1989/5/1
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DOHC(年間百冊読書する会)MONTHLY
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毎月1日発行[発行責任者:守 一雄]
「大学生協連の調査によると、1988年度の大学生の1カ月の書籍代の平均は3,960円、1日当りの平均読書時間は44分間、大学生の4人に1人はまったく読書をしない(4月23日付けの読売新聞朝刊第13面)」のだそうです。別にエリート意識を持ってもらいたいとは思わないけれど、我が学部の学生諸君は平均以上であることが期待されていますので、これらの数値を上回っていて欲しいものです。ところで、この記事と並んで、南イリノイ大学新潟校(新潟県中条町)での進級の厳しさについて書かれた記事がありました。アメリカの大学の日本校であるため、進級の基準もアメリカ方式が取り入れられ、昨年入学した450名の1年生のうちこの5月に行なわれる進級試験にパスして2年生に進級できるのは「現状では80人、多くても100人ぐらいではないか」と予想されているのだそうです。この件に関しても、我が学部の学生ならば、仮に同じ厳しさの進級試験があったとしても、そこまで低い進級率になることはないだろうと思います。世間の評価でも、まだ、伝統ある国立大学の学生の方が、新設のアメリカ大学日本校の学生より、高い評価を受けていることと思います。しかし、その評価がいつまで続くかはあやしいものです。あなたはこの進級試験にパスできる自身がありますか?
(守 一雄)
【学生から紹介された本の書評】
まだまだ数は少ないのだけれど、学生のレポートの中などに課題図書以外で面白かった本が紹介されていることがあります。以下の4冊は、昨年度、学生諸君から紹介された本です。
ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』
(早川書房\1200)
これはスゴイSF小説だと思った。教育心理学者をやっているくせに、今までこの本を知らなかったことすら恥ずかしいと思った。
P.K.ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』
(ハヤカワ文庫\400)
いかにもSFという題名・内容・訳文。ちょうど、P.N.ジョンソン=レアードという心理学者の『認知心理学入門』という本の「意識と無意識」という章を翻訳している時に読んだので、印象的だった。
松本清張『砂漠の塩』
(新潮文庫\400)
外国の作家もスゴイけれど、どっこい日本の作家もスゴイ。あまり馴染みのない中近東を舞台にした中年男女の恋愛物語。読んだだけで、中近東を旅行したり、恋愛したりした気になるのだから、小説ってたいしたものだと思う。
野田秀樹『当り屋ケンちゃん』
(新潮文庫\280)
「母と子の愛憎が交錯する悲しくも美しい純文学」だそうだけれど、よく判らない話だった。それでも、子どもにとっての15分は大人の3日分で、子どもには子どもの時間があるのだという冒頭部の話は、大いに参考になった。
今年度も「面白い本の紹介」お待ちしています。私が読んでみた上で、感想を添えてあらためて紙面で紹介しようと思います。 (守 一雄)
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html化1996.8.26