第2巻第6号                    1989/3/1
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DOHC(年間百冊読書する会)MONTHLY


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毎月1日発行[発行責任者:守 一雄]



 3月、さあ春です。春は恋の季節です。「春には読書は似合わない」という意見もありますが、なんのなんの、春らしい話題の本を読めば良いのです。というわけで、桃のセックにちなんで、女性学者による「春らしい」話題の本を2冊紹介します。青年心理学の講義では、ついしゃべりすぎたこともあって、受講の女子学生から「守先生ってエッチ」とおホメの言葉をいただいてしまいましたが、そうした女子学生にも是非読んでもらいたい本です。恋愛観が変わります。                       (守 一雄)

【これは絶対面白い】  

竹内久美子『浮気人類進化論』

晶文社\1200


 京都大学で動物行動学を研究してきた著者が、いろいろな動物の男女関係(オスメス関係というべきか)を通して、人間の男女関係について論じたもの。本のタイトルの意味するところは、「人間は男女ともいかにしてうまく浮気をするかということに頭を使ってきた、だから人間は知能が進化したのだ」というトンデモナイ説。しかし、本書を読み進むうちに、こうした考えが間違いではないと納得させられてくるから不思議である。各所に、思わぬ視点からの、鋭い指摘が散りばめられていて、人間を見る目を変えてくれる。

小倉千加子『セックス神話解体新書』

学陽書房\1300


 「心理学者の書いた本に面白いものはない」という定説を覆す面白い本。早稲田大学出身(心理学専攻)だけれど、このパワーとえげつなさは関東人のものではないなと思ったら、案の定、大阪生まれの関西人だった。刺激的なタイトルに違わない内容で、鋭い指摘に、これまたウーンとうなる。竹内『浮気....』とは真っ向から対立する立場で書かれていて、両方を読むと、右の目からも左の目からもウロコがポロポロと落ちること間違い無し。
 さて、関西若手異色女性学者の対決、勝負はいかに、というところですが、動物行動学を背景とした生物学的セックス観と心理学を背景とした社会学的セックス観のこの勝負、簡単に勝ち負けは決められそうもありません。それでも、私は、竹内説の方が面白いと思いました。              (守 一雄)
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html化1996.8.26