第2巻第5号 1989/2/1
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DOHC(年間百冊読書する会)MONTHLY
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毎月1日発行[発行責任者:守 一雄]
学生に課した課題図書の読後レポートを読んでいると、「とても面白い本だった。機会があったらまた読み直してみようと思う。」などという感想にぶつかることがよくあり、この本を本当に面白いと思ったのだろうかと苦笑してしまいます。竹内久美子著『浮気人類進化論』(晶文社)の書評に「面白い本だった。思わず同じ著者の『ワニはいかにして愛を語り合うか』(日高敏隆と共著)も読んでしまった。」とあったのと対比してみれば、すぐその差がわかります。
先月、清水義範著『永遠のジャック&ベティ』を読みました。メチャクチャ面白い本だったので、思わず、続けて同じ著者の本を5冊も読んでしまいました。(5冊目でやっと止まりそうです。)
昨年のDOHC月報3月号で、『国語入試問題必勝法』を既に紹介済みですが、上記5冊を加えて、清水義範の本の特集です。
【「名古屋の筒井康隆」清水義範の本】
(**お奨め、*面白い、無印未読)
- (a)『蕎麦ときしめん』講談社\1200**
- 表題作を含む短編小説集。『蕎麦と...』が出色のでき。名古屋人を馬鹿にしているかのようでいて、実は別の人を皮肉っていることがわかる。
- (b)『国語入試問題必勝法』講談社\1200**
- 受験参考書ではなく表題作を含む短編小説集。第9回吉川英治文学新人賞受賞作。表題作は、国語の入試問題がいかに不自然なものであるかを皮肉ったもの。思わず吹き出す、おかしさ。
- (c)『永遠のジャック&ベティ』講談社\1200**
- これも、(a)(b)と同じ趣向の短編集。表題作は中学校の英語教科書の不自然さを改めて知るのに役立つ。『インパクトの瞬間』は僕のお気に入り。(b)の中にも見られたが、「老人」の心理を見事に描き出していると思われる作品では、「笑ってばかりいられない」という気になる。
- (d)『H殺人事件』
- (e)『CM殺人事件』
- (f)『DC殺人事件』
- (g)『M殺人事件』
- (h)『Y殺人事件』光文社文庫\400*
- (d)から(h)まで、長編ユーモア推理小説シリーズ。特に素晴らしいとは思わないが、十分楽しめる。赤川次郎にはもう飽きたという人に。
- (i)『やっとかめ探偵団』光文社文庫\400*
- 著者得意の「名古屋弁もの」と「老人もの」を合体して、名古屋の下町のおばあさんが殺人事件に挑む、「名古屋弁老婆探偵ユーモア推理小説」。はるき悦巳の『じゃりん子チエ』と通じる面白さがある。
- (j)『高野山黄金伝説』双葉文庫\410*
- 若者4人組が豊臣秀吉が隠したという金塊を探し出すSFロマン。(h)(i)より面白いと思った。半村良『黄金伝説』(角川文庫)ほど荒唐無稽でなく、面白いよ。
- (k)『魔界の剣闘士』双葉文庫\410-
- (l)『惑星の剣闘士』双葉文庫\410-
- この他にも、朝日ソノラマ文庫(\350〜370)から(m)『エスパーコネクションシリーズ』(n)『宇宙史シリーズ』(o)『ランドルフィ物語シリーズ』(p)『幻想探偵社シリーズ』(q)『ハンター&ウィッチシリーズ』(r)『魔獣学園シリーズ』などがある。意外と多作家でした。
(a)-(c)と(d)以下はかなり趣向が異なります。(a)(b)(c)がお奨めです。
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html化1996.8.26