第10号                          1988/7/1
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DOHC(年間百冊読書する会)MONTHLY

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毎月1日発行[発行責任者:守 一雄]


 DOHC MONTHLY もついに10号を出すことができました。講義中に一方的に配ったり、学内にあちこち掲示したりはしているものの、目立った反響は第1号で新聞に取り上げられた以外ほとんどなく、「なんとしても1年だけは続けよう」という理由だけで頑張っている感さえあります。特に今月号のように夏休み中は、講義で配ろうにも学生もいないし、掲示をしても誰が見ることやら...いま、これを読んでいるあなた、「どうもありがとう」。
 さて、夏休みはじっくりと本を読むチャンスです。教育学部の図書館は暑いから、市立図書館へ行って涼しい中でゆっくり本を読みましょう。それにしても、図書館にエアコンを入れようという声がどこからもあがらないのはどうしてでしょう?(長野高専では図書館の運営委員会が要望書を出すまでになっている。)冬だって、演習室ならストーブにあたれるのに、図書館は寒々、誰が図書館なんか利用するもんですか?ま、文句は分館長に言うことにして、エアコンの効いたところでじっくりと読みたい本を1冊、紹介します。

【これは絶対面白い】

J.ウィンソン『無意識の構造:脳と心の生物学』

どうぶつ社 \2,200


 無意識といえば心理学者の専売特許、特にフロイト、ユングらの精神分析学派のものと考えていましたが、生物学的な観点から、見事な仮説が提唱されています。著者は、神経科学者・コンピュータ科学者で、理論の進め方も明解です。そんなわけで、精神分析学派の思弁的な論文にはついていけないと感じている人には大変うれしい本です。「無意識」「夢」についての科学的な解釈がなされているほか、フロイトの精神分析理論のわかりやすい紹介もなされていますので、精神分析のことも良くわかります。訳者(相馬寿明氏)の訳文も素晴らしく、訳書とは思えないほどです。 (守 一雄)
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