第8号                          1988/5/1
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DOHC(年間百冊読書する会)MONTHLY

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毎月1日発行[発行責任者:守 一雄]


「長いものにはまかれろ。」と言いますが、岩波書店とか朝日新聞社とかの本をこんなところで紹介してしまうのもその類でしょうか。

【今月の推薦図書】

木村 泉『ワープロ徹底入門』

岩波新書 \480


 昨年度、教育心理学科学生が書いた卒業論文のうち過半数がワープロで書いたものでした。今年はさらにその比率が高まることと予想されます。「400字詰で 100枚近い論文を全部ワープロで書くなんてとても...」と思うかも知れませんが、何度も書き直しをしたり、構成を変えたりする論文こそワープロの威力が最大限に活かせるものなのです。400字詰約300枚のこの岩波新書も著者はワープロで書いたものだそうです。
10年20年と読み続けられることをめざす(と私は思っていた)岩波新書にもこんな本が出るようになりました。著者もこの本はせいぜい5年の命と考えて書いているようです。すでにいろいろなところで書評が出され、「天下の」岩波新書で、もう書店でベストセラーの仲間入りをしていて、と、このようなミニコミ誌が取り上げるまでもない本なのですが、あえて推薦することにしました。まだ「手書き派」のあなたにとって決断の一冊になることを願って。 (守 一雄)

朝日新聞科学部『心のプリズム』

朝日文庫 \360


「心理学というのはいかにも面白そうなのに、心理学の本には面白いものがあまりない。」と言われます。心理学者のはしくれとして、たいへん残念ながら、その通りと認めざるをえません。ところが同じ心理学の領域を扱っていても、心理学者でない人が書くとこんなにも面白く書けるのですから、不思議です。心理学を面白くなくしているのは「心理学者」だったのです。
 15年以上も前に朝日新聞に連載され、その後単行本になっていたものが2年前に文庫本になりました。今回、教育心理学科の学生向きの心理学入門書を捜していて読み直す機会をえました。今は亡き「東京教育大学」が出てきたりして時代を感じさせますが、内容は少しも古さを感じさせません。新聞記者が書いた心理学の絶好の入門書です。 (守 一雄)
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