第5号                          1988/2/1
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DOHC(年間百冊読書する会)MONTHLY

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毎月1日発行[発行責任者:守 一雄]


 挨拶の代わりに「『危険な話』読んだ?」という人が増えているそうです(「広瀬隆現象」とか「広瀬隆効果」とか呼ぶそうです)。先月のこのDOHC Monthlyで取り上げた「危険な話」は日本中でかなり反響を呼んでいるようです。今年に入ってからも朝日ジャーナル、週刊プレィボーイ、週刊ポストなどで相継いで取り上げられています。そこで、今月号は原発関連図書の特集です。                        (守 一雄)

【原発関連図書】 

(1988.1.31現在で守が目を通したもの)


(a)広瀬 隆 「危険な話:チェルノブイリと日本の運命」八月書館 \1600
DOHC1月号で紹介済み。講演をそのまま文字にしたものなので読みやすい。
(b)広瀬 隆 「東京に原発を!」集英社文庫 \440
(a)とほぼ同内容。チェルノブイリ事故以前に書かれていたものを事故以後に加筆修正したもの。日本で事故が起こった場合に事故原発、政府、民衆がどう対応するかが漫画になっているところが分かりやすく印象的。
(c)経セミ増刊 「チェルノブイリ原発事故」日本評論社 \1600
チェルノブイリ原発事故について全容を解析し、ヨーロッパでは人々はどう対応しているか、日本ではどうなるか、さしあたってどうしたら良いかなどの記事が満載されている。これ1冊読破すれば、ちょっとした原発問題専門家。
(d)武谷三男 「原子力発電」岩波新書 \430  
ジャーナリスティックな取り上げ方が肌にあわない学究タイプの人に。日本における原子力問題の草分けである物理学者によって書かれた古典的名著。
(e)高木仁三郎 「プルトニウムの恐怖」岩波新書 \430  
「地獄の王プルトーン」にちなむ悪魔の元素プルトニウムと我々は本当に共存できるのだろうか。巨大化したシステムの中で過ちが一切許されない社会が作られつつある。(d)の続編のつもりで読むと良いだろう。
(f)堀江邦夫 「原発ジプシー」講談社文庫 \540  
科学技術の最先端をいくと考えられている原子力発電所でこんなずさんなことが行なわれている。著者は、危険を承知であえて日雇い労働者として日本各地の原発に潜入し、コンピュータに管理された科学の粋のイメージをもつ原発が実は下請け孫請けの日雇い労働者によって支えられていることを実体験ルポした。
(g)内橋克人 「原発への警鐘」講談社文庫 \580  
東京電力など企業サイドから原子力発電に取り組むに至った経緯から現状までを社会派作家の眼で綴ったもの。
(h)押田勇雄 「人間生活とエネルギー」岩波新書 \430  
「原発がなくなったらエネルギー問題はどうするんだ。」という声にはこの本がある。太陽エネルギー研究の第一人者である著者は「エネルギーは不足していない」という。必要なのは発想の転換である。(一冊ぐらいはこんな希望のもてる本を読まなくちゃというので入れてみた。)
(i)広瀬 隆「ジョン・ウェインはなぜ死んだか」文春文庫 \380  
映画好き、特に西部劇が好きだという人のために。あのジョン・ウェインもネバダ砂漠で行なわれた核実験の放射能で死んだ。多くのハリウッドスターが癌で死んでいる。あのエイズと放射能の関係も否定しきれない。

(その後目を通したもの:抜粋)

(j)甘蔗珠恵子「まだ、まにあうのなら」月刊「湧」増刊(地湧社)\300  
(a)(b)(e)などに書かれていることを、一主婦の目で捉え、原発反対を手紙の形で訴えたもの。読み易いこともあって、学習会などにも使われ、30万部以上売れているとか。
(k)広瀬 隆「チェルノブイリの少年たち」
(l)広瀬 隆「ジキル博士のハイドを探せ」
(m)土井淑平「原子力神話の崩壊:ポストチェルノブイリの生活と思想」
(n)近藤宗平「人は放射線になぜ弱いか」
(o)広瀬 隆「億万長者はハリウッドを殺す(上下)」

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