第3号                          1987/12/1
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DOHC(年間百冊読書する会)MONTHLY

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毎月1日発行[発行責任者:守 一雄]


1987年もあと一月を残すだけとなりました。行く年を振り返って今年読んだ本の数を数えてみてください。さて、年が明けるとすぐ卒業論文の締切です。4年生諸君は卒論に追われて本が読めないという人と卒論のためにかつてないほどに本を読んでいるという人とに分かれるのではないでしょうか。今月号は「どう文章を書くか」に関する本を紹介したいと思います。 (守 一雄)

【論文の書き方・作文技術の本】  

***:ぜひ読むことを奬める、**:役に立つ、*:良書だが、 無印:お奨めできない


(a)木下是雄「理科系の作文技術」中公新書\560***
「理科系の」と銘打っているが、分かりやすい文を書くためには誰にでも役に立つことが満載されている。論文を書く前にぜひ読んでおくと良い。
(b)本多勝一「日本語の作文技術」朝日文庫\420***  
多田道太郎の解説にあるとおり第1章から第4章までを読めば良い。(a)の第5章で取り上げられたことがこの本の第2章から第4章にみごとに説明されている。(a)と(b)は互いに引用しあっていないのが不思議である。
(c)井上ひさし「自家製文章読本」新潮文庫\400***
(a)(b)のような職人技術を知った後でも、やはり作家はすごいと思わせる。卒論には直接役立たないかも知れないが、やはり必読。
(d)末武国弘「科学論文をどう書くか」講談社ブルーバックス\620**
論文を書くための技術よりも口頭発表の技術に多くのページが割かれている。授業の技術にも役立つ。
(e)清水幾太郎「論文の書き方」岩波新書\480**
古典的名著であるが、(a)(b)を読めば用が足りる。
(f)斉藤孝「学術論文の技法」日本エディタースクール出版部\1200*
主に文献研究による論文(いわゆる文科系の論文)を書く場合に参考になる。(a)(b)(c)に比べると鋭さに欠ける。
(g)板坂元「考える技術・書く技術」講談社現代新書\420**
(h)梅棹忠夫「知的生産の技術」岩波新書\480*
古典的名著だがさすがに古い。(g)の方が役に立つことが多く書かれている。
(i)橋本治「よくない文章ドク本」徳間文庫\500
私にはついていけない。卒論にもまったく役に立たない。こんな本を買って後悔している。
(守 一雄)
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