dohc2405

第37巻第8号                2024/5/1
XXXVII-XXXVII-XXXVII-XXXVI-XXXVII-XXXVII-XXXVII-XXXVII-XXXVII-XXXVII

DOHC(年間百冊読書する会)MONTHLY

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毎月1日発行 発行責任者 守一雄
(kaz-mori@cc.tuat.ac.jp)
http://www.avis.ne.jp/~uriuri/kaz/dohc/dohchp-j.html


 一昨年 (2022年) 3月に完全退職後も、2023年8月のSARMAC名古屋大会の準備があり、わずかとはいえ町内会の役員の役割もあって、それなりに毎日何かしらの仕事をしていたのですが、SARMACも終わってしまうと本当に暇になりました。読書しながら、好きなものを作って食べて、食後はうたた寝するという生活を続けていたら、すぐに太って70kg突破が時間の問題となりました。これはまずいと思ったのですが、ちょっとくらい運動をしても体重を減らせないことはよく知られたことです。食べるのを制限するダイエットも辛いもので、家にいていつでも食べられる環境では、これも無理です。

 そこで、あえて昼前に空腹を感じて何か食べたくなったときに散歩に出ることにしました。さらに、少し早めに歩くウォーキングエクササイズに切り替えてみました。自宅から西に2kmのところに運動公園があり、1時間弱で往復できて好都合です。早足で歩けば1kmを10分のペースで歩けると思っていたのですが、これもなかなか難しいものです。そこで、ちゃんとウォーキングシューズを買って目標達成を目指しました。同じコースでは飽きるので、自宅から北コース、南コースを試し、東に向かうと千曲川の河川敷にまで行けることがわかりました。こうして2ヶ月くらいウォーキングを続けていたら、空腹感は消えるしエネルギー消費にはなるしで、体重も減って効果がありました。

 あちこちを歩いているうちに、カラスやスズメなど見慣れた鳥の他に、いくつか知らない鳥がいることに気づき、双眼鏡を持って歩くことにして、鳥の観察を始めました。最初の頃に気づいたのがカラスとスズメの中間くらいの大きさのムクドリ、ヒヨドリ、ツグミでした。他にもオナガやモズなどにも出会いました。双眼鏡も前から持っていた8倍から新しく16倍のものを購入しました。そして、千曲川の河川敷でなんとカワセミを見つけたのです。

 バードウォッチングを始める人の多くが、このカワセミの魅力に取り憑かれたからとのことですが、私も見事にハマりました。ところが、その後は同じ場所に何度行ってもカワセミの姿は見られないのです。ギャンブルにおける「ビギナーズラック」のように、最初の出会いがたまたまラッキーだっただけのようです。そこで、いろいろ情報収集に努め、観察がしやすい防振双眼鏡も手に入れて、早起きをしたり、車でカワセミに会えそうなところに出かけたりして、何度か観察に成功しました。何とか営巣の場所を突き止めたいものです。(守 一雄)

(c)緑書房
 

【これは絶対面白い】

笠原里恵『知って楽しいカワセミの暮らし』

緑書房 (¥2,420)

 カワセミ本の中で一番新しく、最も学術的な本だ。著者の笠原さんは信州大学理学部附属湖沼高地教育研究センターの助教。信州大学で鳥の研究と言ったら、教育学部の中村浩志先生のお弟子さんだろうと思ったら、案の定、修士までは信州大学教育学研究科だった。(年齢から逆算すると私がまだ信大にいた頃に学生だったので、私の授業にもいたはずだが残念ながら記憶にない。)

 「はじめに」に述べられているように、笠原さんの専門はヤマセミという上流にしかいないカワセミよりもさらに観察が難しい鳥で、カワセミの専門家ではない。それでも、河川にすむ多様な鳥や生態系の研究者としてカワセミだけでなく、関連するいろいろな情報を提供してくれている。考えてみると、カワセミの映像や動画はYouTubeなどで見ることができ、どこに行けばカワセミが見られるかのマニアならではの情報も簡単に手に入る。だからこそ、そうした情報の学術的な正しさを知るためにも、笠原さんのような研究者からの情報も重要なのである。学術的な本なので巻末には200件近い引用文献もリストされている。千曲川の上流を研究のフィールドにしていて、親近感があるのも何となく嬉しい。(守 一雄)

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