毎月1日発行 [発行責任者:守 一雄]
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そして、地球儀を眺めながら7日間の地政学の講義が始まる。1日目は、地球の表面の7割を占める海の話。そして、その海を支配する世界最強の国がアメリカであることが説明される。
2日目は、核ミサイルの話。核ミサイルは保有しているだけではダメで、どこに発射台があるかを知られないためには、原子力潜水艦に積んで深い海に潜伏できることが不可欠である。だから、中国は熱心に海洋進出をしようとしているのだ。
3日目は、ユーラシア大陸の大国であるロシアと中国の話。大きな領土を持つ国はその広大な国土を守るために、周辺に「子分の国」を作ろうとする。「子分の国」が寝返ろうとすれば、武力を使ってでも押さえつけようとする。まさにロシアがウクライナにしていることだ。
イギリスのエリザベス女王がお亡くなりになったが、4日目は、王様(女王)の話だ。王様の役割は国民から慕われて、国のまとまりを強めることだとカイゾクは説明する。たしかに、イギリスの女王も日本の天皇も国民に慕われることのために存在しているようだ。
5日目は、アフリカの話。なぜアフリカが貧しいのかというと、ヨーロッパの国々から搾取され続けているからで、今もアフリカの国の指導者たちは国民よりもヨーロッパなどの先進国のために働いていて、国が貧しいままのほうが都合が良いからなのだ。
6日目は、国の運不運は地球上の地理的配置に左右されるという話。アメリカが強い国になれたのは、東西を大洋で守られた中緯度の豊かな国土だったからで、しかも油田もあった。
最後の7日目は、南極と北極の話だ。そして、宇宙から見た地球全体の話になる。地球は球体だから、その表面はどこが中心かは決められない。しかし、日本は日本を中心にした地図を使っているが、ヨーロッパを中心とした世界地図が世界標準になっている。さらには、日本も欧米も北半球を上にした世界地図を当たり前のように見ている。
実は、カイゾクはこの7日間の講義を聞くだけで地球儀をくれると約束したわけではなかった。講義の最後にカイゾクが出す問題に答えられたらという条件がつけられていた。最後の問題とはいったいなんだったのか?大樹と杏のどちらが正しく答えられたのか?は、ここには書かないのが書評のルールだろう。
中高生向けに書かれた本なので、知っていることも多かったが、新しい視点から世界の地政学を見直すことができた。何よりも、読みやすい本だった。(守 一雄)