第20巻第7号                  2007/4/1
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DOHC(年間百冊読書する会)MONTHLY

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毎月1日発行[発行責任者:守 一雄]

(kaz-mori[at-mark]cc.tuat.ac.jp)

 新入生の皆さんご入学おめでとうございます。

 この4月から新しい生活を始める人も多いと思います。今年は私も新しい環境での新学期となります。丸25年間勤めた信州大学教育学部から東京農工大学大学院共生科学技術研究院に移籍したからです。信州大学の教職員の皆様、学生の皆様にはいろいろお世話になりました。おかげさまで楽しく充実した25年間を過ごすことができました。

 さて、東京農工大学の皆様、初めまして。どうぞよろしくお願いします。DOHC(年間百冊読書する会:Dokusho One Hundred Club)は、前任校の信州大学に就職後の6年目から、学生たちにもっと本を読んでもらうことを目指して開始した読書推進活動です。「読書クラブ」ですが、特に会合を開いたり会員登録をしたりするわけではなく、「私もたくさん本を読もう」と思ったら、その時からあなたもDOHCの会員になれます。「年間百冊」は単なる目標で、必ずしも百冊読まなくてもかまいません。それでも年間百冊を目指すとすれば、1年は約50週ですから1週間に2冊のペースで本を読むことになります。

 目標実現のための秘訣は「本を常に持ち歩くこと」です。ゆっくりとコーヒーを飲みながらお気に入りの喫茶店でとか、さわやかな風に吹かれながら公園の木陰のベンチでとか、といったぜいたくな読書を目指してはいけません。現代ではそんなことをしているヒマはないのです。読書に一番適しているのは、通学や通勤の途中、授業や会議の始まる前などのちょっとした待ち時間です。こうした「すきま時間」を利用すれば、一日あたり15分間程度の読書時間が確保できます。そしてそれで充分なのです。

 本をたくさん読むためのもう一つの秘訣は面白い本を読むことです。面白い本を常に手元に持っていれば、イヤでも読みたくなります。では、どうやってその面白い本を探すのか?これには決まった方法があるわけではありません。最初はとにかくいろいろ読んでみることです。そして、面白くなければ読むのを止めればいいだけのことです。面白くない本を読む必要はありません。「せっかく買ったのにもったいない?」いいえ、時間の方が貴重なんですよ。面白くない本に貴重な読書時間を使う方がもっともったいないのです。

 さしあたって何を読んだらいいかわからないという人は、この「DOHC Monthly」を参考にしてください。【これは絶対面白い】という本を毎月紹介してきています。ほぼ20年間分のバックナンバーもウェブで公開していますから、最近のものから順に参考にしていってください。 それでも、読書の楽しみは自分で面白い本を見つけることにあります。何しろ本は選択肢が多いのです。いろいろな本を手当たり次第に読んで、本の持つ多様性を楽しんでください。高校までの勉強は、正しい答えが一つだけでした。しかし、現実社会にはたくさんの正しい答えがあり、それどころか、答えの見つからないことの方が多いのです。

 今月の本は10年前に紹介した本です。その後、文庫になり買いやすくなりました。「本を最後まで読むのはアホである」と帯にあるように、面白いと思ったところだけ「つまみ読み」すればいいのです。この本もそんなつもりで読んでみましょう。でも、どこも面白いので、私は結局全部読んでしまいましたが・・・           (守 一雄)


  
(c)筑摩書房
 

【これは絶対面白い】

永江朗『不良のための読書術』

ちくま文庫¥651


 著者のいう「不良」とは「親や先生の言うことをよく聞き、一生懸命勉強するマジメな良い子」の反対で、「いいかげんで、飽きっぽく、調子がいいだけで無責任な悪い子」のことである。そして「不良のための」とはそうした「不良になるための」という意味で、「不良になるためにはいろんな本をいいかげんにたくさん読もう」というのがこの本の著者の主張なのだ。高校生まではマジメに勉強し、マジメに生活することが求められていたはずである。しかし、大学生になったら、もうマジメは止めて不良になろう。そして、そのためにもこの本を読んでみよう。                  (守 一雄)

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