第17巻第8号      【通巻200号】        2004/5/1
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DOHC(年間百冊読書する会)MONTHLY

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毎月1日発行[発行責任者:守 一雄]

(kazmori@gipnc.shinshu-u.ac.jp)


 毎月1日発行の予定が10日程度ずれ込むことが常態化してなかなか元のペースに戻りません。今月号ももう11日で、古くからの会員から催促されてしまいました。

 状況報告を兼ねてもう少し雑談を続けると、実は文書作りのメインのパソコン(Windows)がウィルスにやられてしまい、対策は取ったものの人間で言えば「慢性化していつも怠い」という状態なのです。使えないことはないんだが、メモリを不当に占拠するらしく、動作が鈍い。一度ハードディスクをすっかり空にしてフォーマットからやり直せばいいんですが、なかなかそうした時間が取れず、なまじ何とか使えるものだから、騙し騙し使っている状況です。

 そのうち研究費が取れたらパソコンを更新し、徐々に仕事を移していけばいいやと思い、科研の結果を待っていたら、見事大当たりで、基盤研究Bと萌芽研究の2件とも新規採択の朗報です。(信州大学教育学部心理臨床専攻は今年度ついに10名の教員全員が研究代表者として科研費取得ということになりました。)さっそく新しいパソコンをと考えたのですが、基盤Bの方は外国の研究協力者を含む8大学の共同研究プロジェクトのため、研究の速やかな遂行のためには研究機器の購入やら研究集会の計画やらで、また自分のパソコンを更新する時間が取れなくなっちゃいました。

 ところで、このDOHC月報の読者の中には出版社の編集者の方もいらっしゃるので、そうした方には衝撃を与えるかもしれませんが、「本にあまり魅力を感じなくなってきている」ことも発行が遅れがちになることの根底の要因なのかもしれません。インターネットの情報が質量ともに充実してきていて、今までマイナーな出版メディアだからこそできた内情を暴露するような話もインターネットでどんどん流されるようになり、むしろ速報性を考えると総合的にも出版メディアは負けている感じです。相変わらず通勤の途中は読書タイムですが、自宅での読書時間はインターネットの利用時間にかなり大きく浸食されてしまっています。我が家ではもうだいぶ前からテレビに代わってインターネットが情報源の主役です。

 そういえば『噂の真相』という雑誌が休刊になりましたが、この雑誌の役目が終わったのも、インターネットのせいでしょう。昔はビックリするような情報が満載だったこの雑誌も、最近は読んでもほとんど驚かない状態でしたから・・・。面白くはないけど、ま、ずっと買ってきたんだから最終号までは買ってみよう、という感じで買ってました。

 こうした流れから考えると、この『DOHC月報』もそろそろ発行を止める時期に来たのかもしれません。かつては、学部内の掲示板にも「DOHCコーナー」を勝手に作って毎月必ず張り替えていたし、生協の中にまで「DOHC月報」を貼らしてもらったりもしていたんですが、ここ2年ほどはそれも止めてしまってましたし・・・。毎月の発行ごとにすべての授業で受講生に配っていたのも、いつかしらやらなくなってしまいました。

 もしかすると、1999年から2003年までの約4年間『JAF-MATE』と『信濃毎日新聞』とで書評を担当してお金を貰って書評を書くという甘い味を味わってしまったことが遠因なのかもしれません。だとすると、まさに「報酬による意欲の低下」ですね。Deci恐るべし・・・

 と、こんな風に書いた後では「これは絶対面白い」と言って奨めてもあまり説得力がないんですが、以下の本をオススメすることで、今月号を形だけでも発行することにします。もっとも、寺園さんも当然のように個人Webサイト「マリード」を開設していますので、そちらからも情報が得られるんですが・・・ (守 一雄)

 
(c)かもがわ出版

【これは絶対面白い】

寺園敦史『だれも書かなかった「部落」』

かもがわ出版(\1,890)


 部落差別をなくすための同和行政の実態は驚くほど歪んだものになっている。部落解放運動のシンボル全国水平社の発祥の地であり、常に同和対策の「先進地」となってきた京都市は、その一方で、同和行政の歪みが一番顕著に現れているところでもある。書名にもあるように、こうした異常な状態に多くの人々が気づいていながら、マスメディアはどこもその問題を報じてこなかった。この本は10年ほど前から雑誌に連載したものを1997年に本にまとめたもので、私の手元のものは「2002年11刷」とある。同和行政告発の書として読み継がれているのだ。上で紹介したWebで最新の情報を得るとしても、やはりこの本は読む価値がある。(守 一雄)


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