第15巻第11号              2002/8/1
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DOHC(年間百冊読書する会)MONTHLY

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毎月1日発行[発行責任者:守 一雄]

(kazmori@gipnc.shinshu-u.ac.jp)

 夏だ。モテる男になろう。この本を読んで「モテる技術」を身につけよう。

 7月の8日から11日までシンガポールで開催された国際応用心理学会に参加してきました。時差は日本とわずか1時間なので、もっと近いと思っていたら飛行機で7時間。長野から成田までの電車の中と空港での待ち時間、そしてこの飛行機の中での7時間を考えるとたくさん本を持っていかなければなりません。飽きないようにいろいろな本をバックに詰め込んだ中で「アタリ」だったのはこの本でした。         (守 一雄)


【これは絶対面白い】

D.コープランド/R.ルイス

『モテる技術』

小学館\1,600


 原題は「How To Succeed With Women」(女性とうまくやる方法)であるが、積極性思考(ポジティブ・シンキング)による成功法の本としても読める。原題どおりのHowTo本であるから、モテる男になるための心構えから始まって、どんな服装をすべきか、どこで女性を探すか、「失敗しない声のかけ方」や「恋の語り方速習コース」、デートのやり方から「ベッドで理想の男になるために」、そしてこれも大事な「別かれ方」まで、悪い例といい例を対比させながらきわめて具体的に解説されている。いやー、この具体例がおもしろくて笑える。

 もともとはアメリカで出版されたものだから、日本の文化の中ではそのまま使えないものも多いが、心構えを論じた最初の2章は万国共通ではないかと思う。第2章にある「モテる男の行動様式11のルール」を列挙してみる。ルール1:モテる男は、セックスを哀願しない。ルール2:モテる男は、女性に誘いをかけるのは男の仕事であり、最終決定権は女性にあることを知っている。ルール3:モテる男は、女性の「ノー」に動じない。ルール4:モテる男は、常に複数の女性を追いかける。ルール5:モテる男は、いつも自分から行動を起こす。ルール6:モテる男は、常に物事を良い方に考える。ルール7:モテる男は、常に目標を見定めながら行動する。ルール8:モテる男は、自分の都合を大切にする。ルール9:モテる男は、目当ての女性の相談に乗ったり、友人にはならない。ルール10:モテる男は、いつでもためらわずに誘惑を中止し、あるいは女性から離れていける。ルール11:モテる男は、苦労のあとを見せない。(つまり、女性は男の苦労を知らない方がいい。だから今回の本は女性には勧めない。女性は読んでも幻滅するだけだろう。)

 以下は、この本で学んだ積極性思考の実践結果である。行きの飛行機の中でこの本を読破した私はスッカリ積極的になり、美人が多いことで有名なシンガポール航空のスチュワーデスにも声をかけ(えっ、うまくいったかって?まあ、お待ちなさい。モテる男は先を急がないものなのだ。)、学会の会場でも参加者の女性を私の発表セッションに誘い、女性の発表者のときには積極的に質問もした(ま、男性の参加者も誘ったし、男性の発表者にも質問もしましたが・・・)。学会では、発表者がたくさんいる割には自分の発表以外は遊びに行っちゃってるのか聴衆はどのセッションも10名程度、なかには数名しかいないセッションもあった。そんな中で、50枚のチラシをあらかじめ用意して、それに発表時間と会場を赤字でメモ書きして、発表までに積極的に宣伝して廻った私の発表にはたくさんの聴衆がいた。発表後の質問も活発で、その後、ロビーで見知らぬ参加者からも声をかけられた。この本のおかげで、少なくとも学会ではかなりモテた(と思う)。

 ちょっと気づいたことなのだが、この本の随所に登場する上手な話の仕方の口調は心理療法のソリューション・フォーカスト・アプローチで使われる言葉遣いによく似ている。「素敵なネックレスだね。何か特別な意味でもあるの?」とか「へえ。ところで、その出来事の何が、君をそんなに素敵な気分にさせたの?」とか「なるほどねえ。もう少し詳しく聞かせてくれないかな?」とか、思わずN先生の語り口を思い出してしまうほどだ。どちらも「輸入物」で翻訳調だからだろうか?それとも、両者に共通する別の要因があるのだろうか。恋愛というのもソリューションが決まっているという意味で、ソリューション・フォーカスト・アプローチで対処できるものだということなのだろうか。(守 一雄)


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