かわいくて、素敵なあかちゃんを出産するために

担当医 : 宮下 芳夫


妊 娠 初 期


妊娠検査薬が陽性になったら...。

妊娠検査薬は妊婦さんになった証拠です。すばらしいことがあなたのお腹の中でおこっているのです。
男性 の1回の射精では約1億の精子が射精されます。
その中から選ばれし、ただ1匹の精子が、女性のただ1つの卵と受精します。これが受精卵です。
でもこれはあなたの知らないところでおこっているのです。
受精卵は約7日かけて子宮にたどりつきます。これが子宮への着床です。
これもあなたの知らないところでおこっています。
受胎したあなたには子宮内膜が剥離する月経はきません。
生理のおくれに気がついたら、ここで妊娠検査薬の出番です。自分の尿を取って検査薬をすると妊娠している陽性反応がでるのです。


♪ おめでとうございます。さあ妊婦さん生活の始まりです。♪


産婦人科を受診する時におねがいしたいこと。

最後の生理の開始日を確認しておいて下さい.
基礎体温表があれば是非お持ちください。
妊娠検査薬を行なった日を確認して下さい。
服装は診察が受けやすいようにゆったりとして着脱しやすいものを着て来て下さい。
お化粧はうすめにマニキュアはしないでください(顔色、肌の色がわかりやすいようにしてください)。



はじめての経膣超音波 (妊娠4周〜5週) : 当院ではほぼすべて超音波は妊婦さんにもお見せします。

あかちゃんのはいる袋(胎嚢)の確認。
胎嚢の大きさは12mm(子宮の中にちゃんと着床しているかの確認)。






あかちゃん(胎児)の成長(妊娠7週)

あかちゃんは棒のように見え始め約10mmくらいです。
小さくても心臓はしっかりと動いているのが見えます。



妊娠8週〜9週

胎児は頭、胴体、手、足が見え始めます。小さいけれども子宮の中で元気に泳いでいます。
胎児が20mm〜30mmになったら予定日を決めましょう。
予定日が決まったら母子手帳をもらいましょう。






妊娠12週〜13週 ・・・そろそろ妊娠中期へ

胎児の胎盤は完成され、つわりもしだいにおさまり気分もらくになってきます。
妊婦健診に必要な採血をしましょう。









妊 娠 中 期

つわりがなくなり体調も良くなります。
子宮のてっぺん(子宮底)はおおよそじぶんのおへそくらいになるはずです。
あかちゃんが次第に大きくなり、手や足を大きく動かします。
手や足の動きが子宮にぶつかって感じるのが胎動です。(胎動を感じるのは初産婦さん20週、経産婦さん18週くらいですが、
はやい人は妊娠16週位からの人もいます)。
つわりもなくなり、胎盤は完成されることから
マタニティーエクササイズはいかがでしょうか。
体重増加の予防、運動不足の解消に、また妊婦さん同士の情報交換の場として利用しましょう。


妊娠22週の胎児








妊 娠 中 期 か ら 後 期 へ

子宮底は自分のおへその高さを越えバストのすぐ下(みぞおち)まできます。
足元が見えにくく、つまずかない様に気を付けて歩きましょう。

お腹の中のあかちゃんはぐんぐん大きくなりますが、妊婦さん本人もぐっと体重が増加します。
無性に甘いものや、味の濃いファーストフードが食べたくなったり、喉がとても乾いて水をたくさん飲みたくなったり。

この時期の体重増加をうまく乗り切ることが出産時の体重を左右します。
甘いもの、塩辛いもの、油を多く含むものは妊婦さんの体に水分と皮下脂肪を貯えることとなり
結果として分娩時の陣痛微弱、産道の固さ、難産の原因となるのです。
当院では栄養士による栄養指導を無料でおこなっております。


妊娠線ができるのもこのころからです。
どんどん大きくなる赤ちゃんによって、お腹の皮膚
がひきのばされてできるものです。

赤くかゆみを伴うこともあります。妊婦さんの”あかし”でもありますが
妊娠線の予防クリームはいかがでしょうか。
(外来にあります)。


妊婦さんを困らせるものとして痔と静脈瘤があります。
いずれも大きくなった子宮があるため下半身の血液がその場でうっ帯することからおこります。
たかだか痔ですが、たいそう痛いものです。

静脈瘤として外陰部や膝の後ろや足首などに青く血管が浮き出て来るかたもいます。
痔も静脈瘤も妊娠が終了すればほとんどの人がよくなります。


痔には痔のクリームを。
静脈瘤には弾力性ストッキング(これは少々高価となりますが効果は抜群と思われます)の
着用はいかがでしょうか。
(外来で承ります、足のサイズの測定が必要となります)


妊 娠 後 期 ( 妊娠32週〜)へ

立ち会い分娩

個人的に私は立ち会い分娩が好きです。
こどもが生まれた瞬間のご主人の顔はそれはそれは素晴らしいもので、
子供が産まれた喜びと嬉しさと少し恥ずかしさと
奥さんへのいたわりと、その御夫婦のいつもの家庭での感情がみえるのです。

ですので、
大学を卒業したての頃はあまり考えませんでしたが、
いつの頃からか出産にご主人がいてもあたりまえでは、と思うようになりました。
2人の大事なかけがえのない赤ちゃんが産まれるわけですので
せめてどなたか母体のそばにいてもいいのではないでしょうか?

しかし立ち会い分娩をしなくてはいけないという事では有りません。
立ち会わない自由も有りますし、
ご主人への強制は良くありません。
2人の出産も方法は2人で決めて良いのです。


妊娠高血圧症候群

妊娠中に高血圧と蛋白尿とむくみのいずれかがでる場合をいいます。

妊娠高血圧症候群は、妊娠20週〜出産後12週までに起こる、妊婦さん特有の病気です。
症状は、妊娠20週〜出産後12週の間に高血圧が起こる。
または、高血圧にたんぱく尿をともなう場合です。

これまでは「妊娠中毒症」と呼んでいましたが、最近は「妊娠高血圧症候群」
と呼ぶようになりました。

重症になると、血管が収縮するために、細くなって血流が悪くなり、胎盤機能が低下してしまいます。

その結果、胎児が酸素・栄養不足となり、子宮内胎児発育遅延のほか、
子宮内胎児死亡を引き起こすこともあります。
なた、妊婦自身が尿毒症や肺浮腫を起こすこともあります。



妊娠高血圧症候群は、痛くもなく苦しくもなく密かに病状が進行して来ますので予防が大事です。
塩分のとりすぎ、急激な体重増加には注意しましょう。
重症になりますと母体も胎児も危険になることが有ります。



あしのつけねが痛い...
恥骨結合が痛い...
挫骨が痛い...
妊婦さんは痛い事ばかり。
あしのつけねが痛い、恥骨結合が痛いのはいよいよあかちゃんが出口に向かってさがってきたサインかも・・・


10ヶ月になると写真のように
2600グラム〜3400グラムの間になります





さあ、もうすぐ赤ちゃんに会えますね。






本格的に分娩が始まったら陣痛室に入りますがその前に...

おおよそ10ヶ月ころになるとおなか(子宮)は、はりやすくなります。
外来妊婦健診でおなかが張ります、心配ですという声を良く聞きます。
診察をしてみるとまだあかちゃんの出口はあいていません。
母体の様子に異常なく胎児監視装置で胎児も元気なら
家で様子を見ても良いでしょう。

妊娠が後期になりますとお小水が近くなるようです。
胎児が次第に骨盤を下に下がってきますと、
胎児の圧迫によって瀕回にトイレに行かれるようです。
膀胱炎でなければ良いでしょう。



お産が始まる懲候

(1) お し る し

これは少し粘り気のある血性分泌物です
おしるしですが、すぐに出産にはなりません。
でもおしるしがあれば近いうちにお産は始まるようです。
ご主人や家族には伝えておくといいでしょう。


(2) 陣 痛

赤ちゃんを産むためには赤ちゃんを出す力がなくてはなりません。
でもすぐにきびしい陣痛はきません。
最初は陣痛から陣痛まで、長かったり短かったり、不規則です。
これを前ぶれ陣痛(前駆陣痛)とよんでいます。
陣痛かなと思ったらあわてないでまず横になり、陣痛から陣痛までの時間を計ります。
10分〜15分の間隔で規則的にお腹がはってきたら電話をして下さい。

(不規則なお腹の張りでも心配なら電話をください)
(まだ生まれないなら帰ればいいのです)。

* 経産婦さんは早めにきてください *


(3) 破 水

これは赤ちゃんを包んでいる卵膜が破れて羊水が流れ出てくる事です。
最初は尿が洩れてくるような感じかもしれません。
パツンと感じてサッと出てくる時も有りますが、
ほんのわずかずつチョロチョロと出てくることもあるようです。
妊娠後期はおりものが増えていて、わかりずらいかもしれません。


心配な時、はっきりしない時は外来にまず診察に来て下さい。