黄金の滝物語(短編)

 創作民話    小太郎作

2002年4月16日


 四阿山を源流に山岳信仰を集め流れ、この地を潤わせたのは神川です。

この神の川と書かれる神川は太郎山山塊にぶつかり、直角に南下します。この神川により削られ、

右岸の渓谷には「砥石崩れ」で有名な砥石城址があります。この物語はここ砥石城址の麓にはじまりました。

2500万年前の岩を削る神川

 

 砥石という名は鎌や刃物を研ぐ砥石が採れるところに由来するようです。その砥石を採掘するのがコタと爺の仕事です。

ある初冬の日、山伏がカナと言う少女を連れてやってきました。

 ちょっと風邪気味のカナは爺があずかり、山伏達はあんちゅら様へお参りに行きました。

ところが山伏達はあんちゅら様から戻ってこないのです。

コタにとって山伏が戻ってこないことがとても幸せでした。それは、カナから漂うなんといも言えぬ香気が、

たまらなく、わくわく! どきどき! そして、胸がじ〜んとして来るのです。

こんな思いはコタの初めて感ずる思いでした。

伊勢山に保存されている砥石(海底火山の噴出物から出来ている)

 

 蕗の塔が立ち、犬ふぐりが咲き始め、梅が蕾を膨らませはじめた頃、爺は突然カナ

を北の国へ帰れと、カナを追い立てたのです。コタはそっとカナを追いかけ、カナを

山小屋にかくまったのです。それから間もなく草の者がやってきます。爺はカナは北

の国へ帰ったと言うと草の者は峠の方へ飛んでいきました。それから2日後カナは大

岩のところで死んでいました。

物見岩、この岩を黄金に咲き誇る

 この大岩はカナの大好きな岩であったのです。カナはこの岩の上で四阿山のあん

ちゅら様に向かい、うたをうたっていました。髪が風になびき、衣がなびき! カナ

の体から流れる香気は、風に乗りあんちゅら様に向かい広がっていきます。 

コタはこんな思い出深い場所にカナを葬りました。

 驚いたことにカナのお墓には見たことのない植物が生えだしたのです。

その植物はみるみると伸び、いつの日か大岩を覆いつくし、3月10日のカナの命日には黄色い花を咲かせるようになりました。

大久保君の絵

 高さ約80メートルに及ぶ大岩、それを覆うように咲き誇る黄色の花は「黄梅」と

いい中国原産の植物で、ジャスミンの仲間で香りの良い魅力的な花です。いつの日か

「黄金の滝」と呼ばれ、この地の春の訪れを告げる祭りとして、3月9日の晩から響

きはじめた太鼓は、神川を伝い、風にまたがり、東のあんちゅら様、北は地蔵峠、南

は梨平の観音様まで鳴り響き、春の訪れを告げていたそうです。

黄梅の花

18から20歳の男子は女装姿になり、大八車のお練は産籠(蚕籠)で囲まれ、 色とりどりのまゆだまを人々に振舞うのです。

男子の女装姿は、迎春の女神、「カナ」への感謝と憧れのあらわれだったのでしょう。

この地は、この祭りを期に春の農作業がはじまります。

物見岩から伊勢崎の砦・ローマン橋を望む


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