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★「クレセント ノイズ(1〜2巻)」

ジャンル:コミックス
著者:天野こずえ 発行:ガンガンファンタジーコミックス
初版:1998/1/27・1998/8/27 購入:初版 価格:800円(税抜762円)

 新刊のほうで書いた「空の謳」で、クレセントノイズのコミックが出てないとか書いてましたが、出てたんですね。ガンガン本誌じゃなくって、ファンタジーの方だったとは・・・。リストに乗ってないわけだわ。

 さて、かなり純粋に近い学園物です。学園物+ファンタジーかな。
 他人の感情を「音」として聴くことができるという特異な能力を持つ人達の話し。で、主にマイナスの感情をテーマにしていて、浪漫倶楽部などとはまた別の作風という感じかな。

 マイナスの感情を「悪いもの」と決めつけるような単純さがなく、「人間の持つ感情の一面」であることをあくまで徹底して描いているところが秀逸かな。

 う〜ん、といってもなぁ、このジャンルでは他の追随を許さないレベルの作品「電波オデッセイ」を知っているから、どうしてもそれに比べちゃうと、なんというかキレの悪さが気になっちゃうな。徹底的に負、「闇」の領域を描写している電波〜に比べると、闇の深さも、そこで必死に足掻く有様も、身を切られるような想いも十分に描かれていないかな〜。

 うむ。


★「COMIC 快楽天(5月号)」

ジャンル:月刊誌
発行:ワニマガジン社

 作品自体は相変わらず良いのだが、「あらすじ」と「キャラクター紹介」のヘナヘナさが、今回妙に目についたなぁ。
 特に連載物の作品「スクール」の柱、読んでコケそうになったわ。

 まぁ、全般的にアレ系雑誌の文章ってのは、全く日本語になってないような意味不明な物が多いし、その基本を守ってるといえばそうなんだけどさ、でも直截的ではなく、精神的・メンタル面を主幹にしているこの雑誌でやってもらうと、非常に浮いちゃうんだよな。

 と言いうわけです。
(Today)

★「空の謳〜天野こずえ短編集2〜」

著者:天野こずえ 発行:ガンガンコミックス
初版:1999/4/22 購入:初版 価格:410円(税抜390円)

 絵の系統は守護月天とちょっと近いのだが、ストーリーテラーとしてのうまさは桁違い。
 SF、ファンタジー、学園物、異世界もの、おこちゃまもの。
 表題作「空の謳」は、WORLDSの頃の藤崎竜入っている絵とストーリーで、たまりませんな。RPG系の異世界物の典型な設定、なんだけど、ちょっとメカが浮き気味なのが残念。特に飛行ユニットは世界ぶち壊し寸前。危なかった・・・。
 ハイランクの特権階級の人間のみが生活する、空中庭園「エデン」。貧困と犯罪がまん延する「下界」。そして、「優良種」として、エデンの地上支配の象徴として、人の心をいやす謳を謳う能力者として、そのためにのみ存在させられる少女。
 いや〜、なんつ〜か、WORLDの頃完全な「世界」を作り上げていた藤崎竜が思い出されますな。封神演技、最初は良かったのだが、3巻当たりからちょっと・・・・。

 さて、おこちゃまもの「魔法の郵便屋さん」。うむ。絵がOKAMAだ ^^;;。ストーリー的には、ちょっと焦点がボケてて、最後のオチが「そりゃないだろ」という事になってしまってる・・。残念。

 ちょっと一本飛ばして、SF物、アース。これまた正統派SF。地球型惑星を開拓するため、恒星間航行宇宙船に乗り込んだ女の子が主人公。序盤はコメディタッチなのだが、中盤以降めっちゃシリアスに移行。それなら、そうするんだったら、キャラの名前、「虎哉ヨウタ」とか「文明堂カステラ」とかはやめて ^^;。シリアスシーンで「カステラちゃん」ってのはちょっと ^^;。

 さて、浪漫倶楽部の次連載「クレセントノイズ」。早く単行本にならないものか。うむ。

 とか言ってたが、クレセントノイズは「GFC」の方だったことが判明。単行本も3巻まで出てましたな。

★「金魚銀魚」

著者:須藤真澄 発行:アスペクトコミックス
初版:1999/3/29 購入:初版 価格:924円(税抜880円)

 彼女の1986〜1992年まで「がくゆう」という定期購読誌に載った連載の単行本。掲載誌の性格上、全ての作品が2ページ×全12話という構成になっている。
 しかし懐かしいな、定期購読誌。**年の学習・**年の科学、昔買ってたもんな・・・。

 さて、ある意味豪華な一冊である。彼女のあらゆる作風がこの一冊に凝縮されている。アクアリウムに代表される純粋ファンタジーの走り「大きな海の小さな船」、ごきんじょ冒険隊などのお子様冒険物「ジャングリング」、じじばば物「魔女おヨネとおハナ」、怪しいSF物「ピップ・パパパワー」、振り袖いちまやゆず系も多分これにあたる別世界キャラもの「金魚銀魚」。

 前述のように、非常にページ数の少ない作品群である。掲載誌によっては一話・一回でこのページ数を書く場合もあるので、24ページの短編集と考えてもいいかな。

 さて、個々の作品については、まぁ読んでみるのが一番だな。最近須藤ファンタジーに餓えているんで、これでしばらく凌いでおくことにしませう。


★「髪切虫」

著者:ふくやまけいこ 発行:電撃コミックスEX
初版:1999/3/25 購入:初版 価格:892円(税抜850円)

 さて、こちらもファンタジー、うーん、メルヘンですかね。
 表題の髪切虫と桜-SAKURA-の2編を収録。

 雰囲気としては、桜の方は東京物語に近いかな。髪切虫の方は・・、新しい系統の作品ですか。帯には「寓話」とあるけれど。個人的には、この系統は彼女の作風に余りあわない気が。
 あと、ちょっとばかり設定の未消化が目立つな。2作品とも。この系統の作品は、短編集の形式で書いた方がいい作品になると思うのだが。


★「えっちーず(4 fourth)」

著者:陽気婢 発行:ワニマガジンコミックス
初版:1999/4/1 購入:初版 価格:530円(税抜505円)

 今回のテーマは、「ホラー」ですな。でもやはり基本的にハッピーエンドをメインとしている氏のこと、この独特の世界は安定してますな。

 さて、3部作「世界ノかけら」も非常に傑作なのですが、個人的にはその前「少女の球体」がよかったですね。ただ、〜球体や「極東ALIEN」「マヨナカニキヨメテ」とかで使った第三者の語り口、ちょっとばかし作風にあわないかな。

 タイトルが少し出てきたところで、ちょっと余談。氏の作品、タイトルがかなり良いんですわ。個人的には、作品の内容もさることながら、タイトルってのはその世界を決めるうえでかなり重要な位置を締めてると思ってるから。
 氏の作品におけるタイトルってのは、簡潔で、幻想的で、程よく難解で、かなり気に入ってる。

 ホラーについて。現実とシームレスに存在する世界を描いている。なんの時間・空間の状況説明も無い作品がほとんどなのだが、全くその世界に違和感なく、感情移入が出来る。

 少女の球体。
 球体、「誰もがここから生まれ、そしてここへ還ってゆく」もの。魂の入れ物。命の器。それを持つ少女は、死を、そして生を、導くもの。
 言葉によるコミュニケーションを持たない彼女に触れるものは、たったひとつ。心。彼女にとってたったひとつの真実。それは心。互いに求める心は、その球体の中で、生と死を繋ぐ球体の中で、決して引き離されることの無い時間を、永遠の時を紡いでゆく。

 世界ノかけら。
 最後の、一番最後の1Pにある、たった五行の科白が、この作品を名作にふさわしいものとしている。
 かなり抽象的な少女の球体と違って、こちらは直截的なストーリーである。そんな訳で、新刊のところではそんなに書かないけど。


★「ジャングルはいつもハレのちグ(3)」

著者:金田一連十郎 発行:ガンガンコミックス
初版:1999/3/22 購入:初版 価格:410円(税抜390円)

 最近ネズミ講メールがやたらに届いてむかつく(挨拶)
 などと、どこぞのページをまねてみた今日この頃、結局どっかで見た手段の焼き直しじゃないかよ、最近のねずみ講。後「サラリーマン向けの副業を始めよう」とか「セミナーの案内」ってのもアレ。どこからメールアドレス知ったのか知らんが、どうにかならんものか・・・。

 さて本題。もしかして力尽きましたか?クオリティがイマイチです。

 とか前回は書いたのだが、すいません、ウソ書いてました。面白いっす、相変わらず。
 突っ込みの無いボケが突っ走っている作品。つーか、ハレももちっと突っ込めよ^^;。
 ボケも突っ込みも他のキャラに持ってかれている主人公、ハレ。あわれだ・・・。

 ビジュアル系キャラから3闘神キャラ、怪しい生き物から、なんというか凄いキャラバランスですな。キャラとか設定とか、ここまで色々な要素が崩壊しても、まだまだ面白いってのは、本物ですな。

★「時事おやじ(第1集・第2集)」

著者:しりあがり寿 発行:アスペクトコミックス
初版:1999/3/1 購入:初版 価格:945円(税抜900円)

 いわゆる風刺漫画に分類されると思うのだが、風刺と言うよりも時事ネタかな。
 全二巻で、ノってきた後半のほうが面白いな。

 さて、この中で一本、腹抱えて笑ったネタが有った。
 これは、まま見てもらわないと面白さが判らんと思うので、以下に載せます。ネタバレですんで、見たくない人はリンクたどらないで下さいね。

(**画像**)

 さて、今見ると「そういえばそんなこともあったなぁ」なニュースが多いですな。その時は色々騒いでも、過ぎてみれば「ふ〜ん」だもんな。
 「そんな〜時代も〜(以下略)」。結局、何にも変わってないのかもね、人間ってのは。

(リンク)
 このネタの上手さ。さすがだなぁ。
 「大蔵官僚」と「ヒデ」。この全く異なる二つの事象を、「自殺」というキーワードで結びつける発想。絶妙のアンバランスさを強調する、動きと注目点のない画面構成。すばらしい。