[ホーム] [一覧]

(2000/9/12)

「スクリプトの功罪 -さらばHTMLと言おう2-」


(2000/1/23補足)
 Webページ作成ソフトで今人気なのはIBMの「ホームページビルダー(HB)」なのですが、その理由は「一番まとも」「余計なタグ・余計な要素がつかない」「IEでもねこみでもまともに見れる」と言ったもの。
 早い話が、それ以外の作成ソフトはこの問題を抱えている訳です。「まともに使える」が人気の秘密って、またお粗末な業界ですね。

 それに、最近はタグ手打ちが復活してきているようですね。HBでも最新バージョンは「通常ビューでタグを直接修正出来る」ことが売りの一つだったりします。
 これでまともなマークアップのページが増えるのか、それともタグって存在自体知らない初心者ページが増えるのか。これでHTMLの行く末が占えると思われます。
 あるパーツメーカのページを見ているある人。そこには「お手持ちの製品を選択して下さい」というテキストとともに、コンボボックスだけがある。一応選んで見るが、全く反応はしない。対象ページに移動する他の手段はどこにもない。呆れたその人は、ドライバコレクターのページから必要なアーカイブをダウンロードしつつ、次からはそのメーカの製品を買わないよう、ブラックリストにメモをした。
 結局、WebページにActiveXスクリプトを使ったために、そのメーカは顧客を一人失ったわけである。

 さて、スクリプトである。このWebブラウザでなんでも出来る言語、結局ロクな事に使われている訳でもなく、また使った所でロクな事にならないのは、現在スクリプトが使われているページを見れば自明でしょう。まぁ私はもともと、JAVAもJ-ScriptもActiceXスクリプトもCookieも「すべて無効」にしてあって有効にする気はさらさらないんで、どんなページでもスクリプトなしで見てるんだけどね。

 大体このスクリプト、一体どういうことが出来るのか。またどういうことに使われてるのか。悪意をこめて(笑)、検証して見ましょう。

 1.音楽を流す
 ページを開いた瞬間、BGMやら音声やらを流すことができる。ただし、音楽・音声データは大概馬鹿でかいので、結局全部ダウンロードして再生される前に別のページに移動される。
 大体、ほとんどのユーザは何らかの(お気に入りの)BGMを流しているので(この場合沈黙もBGMに入れとく)、わざわざ音楽を「流していただかなくても」まったく不自由が無いのが普通である。

 2.コンボボックスを選択するとページを移動
 コンボボックスを選んでボタンを押す、のボタンを押す手間が省ける。反スクリプト運動の格好の的になる機能。こんなスクリプトを使う人は、文字ブラウザやスクリプト非対応ブラウザユーザのことを全く考えてないことが多い。そこから先へは進めないユーザが何十人・何百人・何万人いることやら。
 なんで標準のリンクタグじゃダメなんだ?

 3.ボタンにフォーカスすると、下に説明分表示
 ボタンの上にマウスを移動すると、ある部分に説明が表示される。
 ボタンの横に書いとけ。スクリプトよりよっぽど容量少ないぞ。

 4.ステータスバーにスクロールメッセージ
 ステータスバーにメッセージを流す。
 あそこは、URLやその他の情報を表示するための部分だ。勝手に書き換えるな。

 5.新しいダイアルアップを作成して、自動的に国際電話
 これが一番メジャーな機能ですな。
 WIN+IE+ActiveXスクリプトがあれば可能。ページ作者には何の利益もないけど(電話会社の人なら別やけど)、見にきた人をプゲらせることは可能。
 似たような機能で、HDDをフォーマットする、Winに必要なファイルを消す、Exchangeをいろいろアレする、などなど。

 6.戻る
 ブラウザの「戻る」ボタンや他のボタンを代行。
 別にしてくれなくてもいい。


 ま、ざっとみましたが、別にやってくれなくてもいいような機能が多いですな。
 ちなみに、世の中で一番スクリプトやら擬似フレームやらCookieやらで満艦飾にしてるページは‥‥、ここだろうな。遅いわ、必要な情報はどこに書いてあるのか判らんわ、肝心な部分はActiveXスクリプトで書いてあるわ、やっとこ情報にたどりついても結局ろくな事書いてないわ、又はWordファイルになってて読めね〜わで、まるで某社(って同社ですな(笑))のゲイツ窓そっくりだ。なんせ、Officeのインストール注意文がWordドキュメントで入ってるって会社だから‥‥。

 Webを見る目的の99%は、「なにかに関しての情報を探す」「誰かの文書を読む」のどちらかだろうけど、スクリプトはどちらにも役に立たない、というかむしろ邪魔にしかならないし、スクリプト自体を必要としている人はいないでしょう(ま、人のスクリプトを参考にするとかその辺は除く)。

 私はプレーンテキスト至上主義な人なので、余計な書式やら画像やら必要も無いテーブルなんかなるべく無いのが理想。だから、レイアウトに凝るあまり、すべてのテキストを「画像で」作って見ました、なんてのはなんとも理解できないものがありますな(別に何処かのページを避難している訳ではないですよ)。
 実際、gooなどのロボットエンジンの場合なんか、プレーンテキストに近いページほどヒット「させやすい」し、重い・軽いの話になった場合、余計なタグやテキストに比べて数十倍大きい画像があるほうが圧倒的に不利。極端に重いページなんか、ユーザの目に止まる前に「戻る」されるのは必須だし。内容の善し悪しに全くかかわらずね。

 それに、i-modeやEZ-Webなどの携帯端末の普及を見るかぎり、プレーンテキストでのコンテンツが、画像・スクリプト・プラグインを大量に使ったコンテンツに比べて劣っているとは思えないし、逆に純粋な「情報」としてどれだけ優れているか、ってことが判るくらい。「そういえば最近、『プラグイン』って聞かなくなったなぁ」と思わないっすか?。そういうことです。
 i-mode・EZ-Web端末を持っていなくて、それ用のページを一度も(パソコンからも)見たことないって人は、一度パソコンから見てみるといい。むしろ、パソコンからでもよっぽど実用になるコンテンツだってことが判るでしょう、多分(笑)。

 以前、ここのコラムに「さらばHTMLと言おう」という題名で、『陵辱に近い拡張をされた現在のHTMLにも、またHTMLへの将来にも、まったく魅力を感じない』と言うことを書いたのだけど、現在の携帯端末ブームの影で確実に広がっている「プレーンテキストへの回帰」の流れを見ると、HTMLもまだ捨てたものじゃないなという希望が少しは、‥‥出てきたのかな(笑)。


 え〜、結論。

「ほんの少し見た目を凝るために、わざわざユーザ層を狭める事は愚かな行為である」
「ActiveXスクリプトを使ったページはActiveXを使えるユーザにしか使えず、使えないユーザ用に別ページを作るのであれば、最初から別ページだけを作ればよい」

 これは、PS2の失敗(あえて言い切るけど)がそれを証明してますな。ゲームメーカは、広大なPSユーザから狭いPS2ユーザにわざわざ客層を搾るメリットを見つけられないし、またユーザは、USBポートやPCカードスロットや外付けHDDに対して魅力を感じているわけではなく、その(ゲームの)内容にのみ興味があるのである。こうしてユーザとメーカの利害が一致した(してしまった?)結果、PS2は高いPSもしくは安い(手軽な)DVDプレイヤーとして終わるでしょう。(ま、実際は今のシェアから考えて、明確に「失敗」と言える状態にまではならないだろうけど)

 なんかこの辺、「ほんの少し見た目を凝るために〜」って所、XHTMLが大した機能もなくスタイルシートだけで終わりそうな所、HTMLから(PSから)乗り換えるだけの理由を持った他のものがまだ無いから使われているんだけど、って所が、PS2と拡張HTMLはそっくりだなぁ(笑)。