東南アジアの単元。地元の割烹料理店にお願いして揚げて頂いたエビ天(インドネシア産ブラックタイガー)を食べるところから始まり、エビの養殖とそれにともなうマングローブ林の破壊の問題へとこどもたちの追究は進み、熱帯林全体の破壊へと関心が移っていった。先の発言は、「日本には豊かな森林があるのに、どうして東南アジアからの木材の輸入量が増えているのか」という学習問題についての予想を練り上げる場面でなされた。K君の発言、「日本には木を切る人がいなくて、東南アジアはたくさんいる。だから木材が安くて、いっぱい輸入しているんだ」に敏感に反応した、そんなひとことだった。
この後、森林組合そして地元の林業関係会社へこどもたちとともに伺い、それぞれ貴重なお話をお聴きした。中学一年生ということもあり、林業をめぐる難解なお話をどれほど理解できたか不安であったが、こどもたちの姿はふだんの教室でのちんやりした様子とはまったく違っていた。この聴き取りで、先の疑問に対するこどもたちのひっかかりは解消されたかに見えた。しかし、ここから彼らのおそろしいほどの追究が始まった。
「日本は東南アジアからの木材輸入をこのまま続けるべきか否か」という論題が、こどもたちの中から出てきたのである。この論題をめぐって、2時間にわたり白熱した議論(彼らにいわせれば「口論」)が展開された。この議論の中で彼らは、東南アジアで植林事業などに取り組む人々の姿や、調査にうかがった地元の林業関係の方々の苦境やそんな中でも頑張りつづける努力を知ることにもなった。
そんな彼らがどんなことをこの学習を通じて学びとったのか。先のK君の感想。「今は、林業の人にありがとうと、言いたいような気持ち」。「今世界や日本でY林業とかの会社が植林をしたり手入れをしたりして努力していることをしりました。とてもすごいことだと思いました。私もじょうだんじゃなく、世界の木のことを考えたいです」(Aさん)「あらためて思ったのは、やはり世の中は難しいなと思った。いくら考えてもかいけつしない事もたくさんあるが、けして私達が考えたことは無だにはならないと思う」(Mさん)。
これからも、こどもたちとともに授業を創造したい。その途上において、「世の中のわからなさをわかること」をこどもたちに教わったことは、すごい「宝もの」になると思う。