『新釈 眞田十勇士』のキャスト選考    

 『新釈 眞田十勇士』の第1次キャストが発表されました(作品の公式HPを参照して下さい)が、 その経緯について少々お話しておきましょう。

 まず最初から決まっていたのは眞田信繁(=幸村)の郷田ほづみさんです。 言うまでもなく『銀河英雄伝説』外伝の「若き日のヤン・ウェンリー」です。
 企画の当初から幸村=戦国のヤンというイメージで捉えていましたから、 ある意味作品の「キィストーン」となるキャスティングであり、 (少なくとも私や河中君、清水監督にとっては)『銀英伝』の延長線上にある作品という位置づけからの) 「キャリー・オーバー」という意味からも重要な意味付けを持つ配役です。

 実は『銀河英雄伝説』の最初のキャスティングの時も、ヤン=富山敬さんというのをまず決めて、 そこからのバランスを考えながら他のキャストを決めていったのですが、もう一方の基準点となるラインハルトとキルヒアイスはオーディションで選ばせていただきました。 今回のもう一方の基準点は猿飛佐助です。テープ・オーディション(というのが慣用句になっていますが今はCD−Rだったりするんですが………)ではベテランから新人まで、沢山の役者さんの声を聴きました。その上で絞り込んだ10人ほどの方には実際に佐助を演じていただいています。それでも結局決まらず、もう一度候補を音響監督さんにリストアップして頂きました。その中から、再度何人かに佐助を演じていただき、結果さまざまな要因を考慮して決まったのが保志総一朗さんです。
 言うまでもなく、前の『ガンダムSEED』で主役のキラ・ヤマトを演じて大人気の声優さんですが、単にそういう「売れ線」を狙ったわけではなく、慎重に検討を重ねた結果です。郷田さんとは逆に新しい作品としての新鮮味という意味では『銀河英雄伝説』で重要な役を振られていないことも大きなファクターだったと言えます。(もちろん出演はされています。まぁ『銀河英雄伝説』に出演していない男性声優を探す方が大変なんですが………)

 次に決めたのが「十勇士」メンバーの最年長である三好晴海入道です。若手候補という案もあったのですが佐助=保志さんとのバランスや、他の「十勇士」が二人の中間の年齢という設定から、ベテランの玄田哲章さんにお願いすることになりました。『銀河英雄伝説』の質実剛健・ケンプとは180度違うコミカルなキャラですが、そういう面白みも加味してのキャスティングです。
 佐助と晴海が決まったことで、他の「十勇士」のメンバーが煮詰まりました。望月六郎は実は最初からリンツのイメージが強かったのでそのまま小杉十郎太さん、禰津甚八にアッテンボローの井上和彦さん、海野六郎にラップの田中秀幸さん、………結果的にベテランぞろいで、「まんまヤン艦隊!」になりつつあります。 (まぁ、監督も「眞田同盟軍対徳川帝国軍」と言っていますし………)
 何より『銀河英雄伝説』の魅力(というと手前味噌のようですが)はベテランぞろいの声優さんたちの存在感と名演技に支えられていたわけです。言い換えればあれだけ大勢の登場人物に別個のキャラクター性を与える上で声優さんの声の個性に依存していた部分も多いということで、今回の『新釈 眞田十勇士』も負けず劣らず登場人物は多くなりそうですし、しかも殆ど日本人ということで『銀河英雄伝説』以上にそういう側面が強くなることが予想されますから、これはこれでいいんだ! ………ということです。

 ちょっと話を戻します。もう一人の「十勇士」三好伊三入道は石井康嗣さんです。『銀河英雄伝説』では(他の役もありますが一番印象的だったのは)外伝の『黄金の翼』のクルムバッハ憲兵少佐です。 晴海の玄田さんとは別の意味で180度違うキャラですが、音響監督・明田川さんが(前に手掛けられた)『ジャングルの王者ターちゃん』のアナべべのイメージが………ということで決まりました。同じように楓役の折笠富美子さんも明田川さんのご推薦です。
 
 眞田昌幸も非常に重要な役で、色々な方を想定したのですが、結局谷口節さんにお願いすることにしました。アニメはあまり出演されていませんが、洋画吹き替えを中心に活躍されている方で、『銀河英雄伝説』では同盟の政治家オーデッツで数回出て頂いています。このキャスティングは直感のようなものでしたが、アフレコを聞いて確信に変わりました。単なる老け役にならない「只者ならぬ」雰囲気が出ていると思います。

 一方の「徳川帝国軍」のことも触れておきましょう。徳川秀忠の檜山修之さんは、実は最初は全く別の役の候補でした。更に佐助のオーディションにも参加していただいて最終候補にも残っていたのですが、一転して敵側に回っていただきました。凡庸な二代目というイメージが強い秀忠ですが、檜山さんの声で、新しい「熱い」秀忠像になるのではないかと思います。
 そして「徳川帝国軍」という意味で触れねばならないのは榊原康政=若本(ロイエンタール)規夫さんでしょう。榊原康政は「徳川四天王」の一人であり、まさに徳川軍の重鎮です。今回は実は実質的には「一言」だけですが、逆にその一言で最大の存在感を示していただき、今後に期待させる配役という意味で、敢えてお願いしています。(他の「四天王」が誰になるか、お楽しみに)
 因みに若本さんは「十郎太の役がリンツのイメージってのはわかるが、何で俺の役はあんなに丸いんだ?!」と怒って(?)おられましたが………。(まぁロイエンタールとは違う重厚さで、ということで)

 最後にナレーションです。作品のトーンを決める重要な役どころですし、レギュラーは(多分)佐助とナレーションだけになるでしょう。これも色々な候補の方を検討した結果(それこそ声優界の重鎮) 内海賢二さんにお願いすることになりました。『銀河英雄伝説』ではシトレ元帥役で迫力と温かみのある名上官を演じていただきましたが、今回、時代劇としての重厚さを作品に加えていただいたと思います。

 というような次第で『新釈 眞田十勇士』の第1次キャストが決まり、無事に最初のアフレコも終わりました。『銀河声優伝説』に負けず劣らず『戦国声優伝説』になると確信しています。残りの「十勇士」や、家康をはじめとする戦国時代の実在の人物たちを誰が演じることになるか、興味を持って見て頂きたいと思います。シリーズ開始時の第2次キャストの発表をお待ちください。 

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