特許権者・発明者 四宮敏夫

 

 井戸掘削工事において、エアーハンマー工法は機械の組み立て及び撤去の簡単さ、掘進率の良さ、掘削によって生ずる副産物であるスライムや汚水などの排出物の処理の安易さ、水を使用して掘削することの是非を問われる地滑り地帯の水抜き井戸工事など、多くの利点を持っている。

 これらの多くの利点を持つエアーハンマー工法であるが、いままで決してボーリング工法の主流ではなかった。依然として、ロータリー工法とパーカッション工法が主流となっている。

 その大きな理由は、エアーハンマー工法では大口径の工事は出来ない、ましてや、高深度の工事は不可能であったからである。問題解決に種々の工夫がなされているが、いままでに必ずしも決め手になる対策法は見つけられなかった。

 そこで今回、ここに提供する「特許第2963066号」による井戸掘削法(二重管方式)を使えば、これらの諸問題を解決出来ることが明らかになった。この工法は今までの工法に簡単な部品を付随させることによって、それらの問題を解決することを可能にした工法である。

      

 エアーハンマー工法の大きな利点である掘削口径の大きさをある程度制御できることも今回の特許の大きな特徴である。

 一例として、水源井戸の揚水量を決定するものは、その掘削口径である。パーカッション工法やロータリー工法を比較した場合、その差は歴然だ。いちばんの大きな違いは、その掘削口径の差である。

 パーカッション工法の口径はロータリー工法の約1.5倍。揚水量はロータリー工法の約1.5〜3倍。また、このパーカッション工法の約1.5〜2倍がエアハンマー工法の利点である。

 いままでの、多くの実績をあげている「四宮式」で証明できる通り、エアハンマーで掘削した井戸の場合、わずかな透水層であっても、そこに地下水がぶぞんしている限り水は求められる。このような現象は多くの工事を行ったことによって証明されるところである。

 もちろん、そこに地下水がぶぞんしている事が前提であるが、いちばん多くの地下水を得る原因は掘削口径の差が揚水量の差とみてよく、これらの事実を知るためには既存井戸の周辺(昔ロータリー式またはパーカッション式で掘削した井戸)をエアハンマー式で井戸を掘削してみることをおすすめする。

 水源を井戸にたよっている、特に多数の水源井を持つ地方自治体の中には、他の掘削方法で作った水源井のうち、掘削時にはある程度の揚水(1〜1.5G)がみられたが、現在はその水量が大幅に減少して(300〜 500P/分)いる井戸が必ずあるはずである。

 このような現象を見て、水井戸の寿命は10年くらいなどと巷間では言われているが、地球規模によって生まれた地下水が10〜100年間揚水したことによって水枯れするなどいう事は絶対にあり得ないことである。

 このような井戸の現象をみると、掘削時の自然水位より多少の変化は見られるが、大きな差はないはずだ。しかし、揚水を開始すると極端に水位が低下をして、その水量は掘削時の三分の一から四分の一に減少する。

 たとえば、掘削時、自然水位16E、適正揚水量1500P/分、動水位29E、直径300×120Eの井戸であったが、現在では自然水位19E、揚水量300P/分、動水位90E、になった井戸の場合、揚水を中止すれば40〜30E位までは急速に水位が復活する。

 自然水位がもとの水位に復活するまでには、なお多くの時間を要するこのような井戸の場合、多くは過剰揚水による透水層の減少ないしはストレーナの閉塞である。自然水位の変化は社会構造の変化また気候的変化によって多少の変動はあるが、これは自然地下水の変化であって被圧水の変化ではない。

 私は今回、二重管方式の実験のために20数本の井戸を既存の水源井の至近距離(5〜7E程度)において掘削し、最小1.3、最大2倍程度の揚水実績を得ている。

 エアハンマー工法で掘削すると、他の2法の場合より格段の水量の増加があると言っても、その事実が証明されなければ信用に値しない。その点、地方自治体の井戸の場合、データを比較することによって、実績を証明することができる。

 水の減少した既存の水源井の近くに井戸を新設する利点は水源の確保、水質の保証、施設の活用などがあげられる。ただし、この場合でも、大口径(250〜300)でなければ用をなしえない。小口径の井戸では大容量のポンプの使用ができないからである。

 このような観点から、四宮式二重管方式が開発されたのである。


いずれにしても今回の二重管方式が開発された事によりエアハンマー方式は大きく変化する事となる。以下その利点を列挙する。

(1)直接大口径の掘削が可能である。

(2)クリアランスの関係から使用ロットを小さくする事によりロットの重量等を大きく減少す   る事が出来る。

(3)掘削口径の変化が出来る。同一ビットでも空気の供給量の調節で可能である。

(4)特に新しい器具を用いなくても普通の鉄管を二重管として使用できる。この場合でも90   %の効用がある。

(5)1日7時間として掘削時間4時間、管の接続時間3時間として1日の掘削量は約11m〜   16.5m程。

(6)地滑り等における設計管1m程度のものは直径300〜400程度のビットでも掘削が可能で   ある。


 最初に述べたごとく、機械の設置、スライム・堀水の処理、スワッピングの有無、水無し工事が求められる地滑り対策工事、デイブイの井戸工事等、エアハンマー2重管方式の利用範囲は特別に大きい。

 ロータリーおよびパーカッションの長所も多々あるが、これらの工法の完成度は90〜95%以上、これに反してエアハンマーの完成度は20〜30%と思われる。エネルギーの節減や工事費の削減にも、その完成度をすすめなければならない。

 「四宮式井戸掘削法」について疑問のある場合はご照会をお願いしたい。

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026-221-0639


■ 特許権者・発明者  四宮 敏夫    長野県長野市大字稲葉940

■ 代理人       弁理士 福島 英一


詳しくは日本特許庁特許電子図書館を参照されたし。

 

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