俺の胃へ


俺の4分の3の胃よ、いままでありがとう。
大好きな焼き肉やラーメンなど、たくさんの物を受け止めてくれて。

今、オリンピック選手としての道を断たれ、ただただ絶望の淵にいるが、昨夜やっと心に決めた事があるのでおまえに伝える。

俺は復活する!
モーグルスキーヤーとして、選手として、もう一度あの輝く場所へ戻ってみせる。そして、ガンとの共存ではなく、闘いに勝ってみせる。
何年生きられるか解らないけど、やりたい事をやるだけでなく、自分のやって来た事、好きな事を極めたい。

オリンピックのニュースや話を聞く度に夜眠れずにいると、やっぱり俺はくやしいんだ。もう一度戻りたいんだっていうのが解った。
これまでの24年間で、森徹は根っからのスキーヤーで、やっぱりスキーがしたい、離れられないっていう事が解った。

今、やっぱり一番したい事はスキーであって、この先何年、何十年生きるか解らないけど、ずっとスキーヤーでありたい。

ガンになってしまった今、いや、そういう場面に出会ってしまった人間だからこそ、人と違ったスキーの大切さ、おもしろさにこれから出会っていきたいと思う。

だからおまえに約束する。
俺はもう一度やってやる。
そして、やるからにはスターでいたいし、スターであり続けたい。
だから、もう一度、あの輝く場所へ・・・。


朝日病院にて。1997年12月6日

もり とおる



森徹プロフィールに戻る