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長野白魚火十月句会(四○○回) 平成9年10月11日 感 銘 句 老獅子の一瞬よろけ秋祭り 一 灯 ねこじゃらし無心といふはむづかしく 美重子 空抜いて大仙丈や秋澄める こうじ 木犀の香に目探りの散歩道 三千治 水引草の紅にふれゆく蜆蝶 和 子 秋旱ささくれだてる水車小屋 桜雨子 新幹線開通祝ふ昼花火 遊 子 見返れば金木犀の花零れ 夙 霧 * * * 唐辛子終の一顆も染まりけり 直 則 音高く栗茹でてをり旅前夜 呂 逕 塩の華さきて秋刀魚の焼きあがり 智 子 其処此処に入山禁止茸山 幸 生 箸の先骨ばなれ良き秋刀魚かな 都志江 一病の息災にして菊の酒 元 子 川越えて祭ばやしや障子はる 文 子 一時の無心の業や胡桃割る 幸 男
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長野白魚火九月句会(三九九回) 平成9年9 月12日 感 銘 句 我が余生あといくばくぞ虫の声 都志江 帰省子もはや送り火の別れかな 呂 逕 畑には畑友達藪ちちろ 婦美女 身ほとりのたれかれ偲ぶ迎盆 和 子 夢二の忌母の着物の縞ばかり 美重子 白萩の夜目にもしるき一ところ 桜雨子 吾亦紅の華やぎ待たで逝かれけむ こうじ 三文のうちの一文朝の虫 直 則 褪せし庭萩の白さの極まれり 美茅女 * * * 知恵団子授かる親子地蔵盆 幸 生 打ちどめの花火の煙何時までも 遊 子 三尺玉揚げて花火師冥加とふ 一 灯 棚経を勤む雛僧幼声 三千治 何時しかに傘寿の半ば遠花火 夙 霧 みそはぎに霧ふくませて盆棚に 文 子 風音のなしあぶれ蚊の音もなし 智 子 一升瓶飾る水神遠花火 幸 男 馬追や厨の闇のしめりをり 元 子
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長野白魚火八月句会(三九八回) 平成9年8月9日 感 銘 句 鷺草や風とも呼べぬ風拾う 直 則 みんみんの出の一節の長きかな 三千治 頃にして花魁草のはなやげる 桜雨子 磧石数へて渡る夕河鹿 美重子 修験道ここに栄えし草いきれ こうじ なほ奥の秋山道やほととぎす 遊 子 苦界閉づ白き浴衣を着せられて 呂 逕 真夏の夜幽幻の舞古戦場 幸 生 * * * 雛僧の涼しく運ぶ斎の膳 和 子 梅雨明けの月満ち満ちてをりにけり 一 灯 夕市に母の形見の浴衣着て 元 子 空蝉の縋りしまま愛しけれ 美茅女 青東風や畠とのみを書き置きて 夙 霧 汗手貫忙しく覗く法話かな 智 子 娘なき祖母に貰ひし浴衣着る 都志江 夏霧や途切れて見えし道の在り 幸 男 盛り上げし蟻の巣騒がす草刈機 文 子
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長野白魚火七月句会(三九七回) 平成9年7月12日 感 銘 句 絽羽織のたとうに残る母の筆 和 子 安曇野の盛り上がりゐし青田風 美茅女 目の汗を手甲の奥で拭いけり 都志江 夏至光や押切鎌の刃切れ良し 幸 男 老懶のつのるばかりの梅雨籠 三千治 百畳の写経の席や筆涼し 婦美女 手甲に噴き出す汗の塩のあと 文 子 野も山も靄に包まる梅雨入かな 元 子 わが心とらはれ勝ちに沙羅の雨 一 灯 * * * 首塚に夏草の丈きはまれる こうじ 岨道にかくれ番屋や岩鏡 遊 子 汗籠る数珠や別れの日に来る 呂 逕 古寺の墓石とりどり苔の花 幸 生 泰山木高きに香り門古く 夙 霧 遺言状話題に弾む夕閑古 智 子 イブと云うゴンドラに乗る夏帽子 美重子 友の訃を語りつ梅雨の書肆にあり 直 則
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長野白魚火六月句会 平成9年6月 感 銘 句 結願の三尊を閉ず薄暑光 こうじ 一山の風音集め若緑 元 子 更衣今しばらくは老いまじく 文 子 川霧の立ち込む宿に新茶汲む 婦美女 老鶯の秘めたる艶は捨てざらめ 呂 逕 更衣曾孫に逢へる日なりけり 遊 子 金婚式招かる空や五月晴 幸 生 新樹光紅裏見せて雛妓舞ふ 一 灯 御神籤を開く指先朝涼し 智 子 アサシャンか小さき頭洗ひ髪 直 則 * * * 忽として老鶯耳に観音路 三千治 木も馬も人も憩ふて植田風 幸 男 五箇山の渓谷狭め五月雨るる 美茅女 青鷺ににらまれている沼面かな 桜雨子 香煙を手に受け撫づる洗ひ髪 都志江 蚕糸間さみどりの繭見て出たり 美重子 奉納のインド舞踏や花まつり 和 子 梅雨めきて声よく通る立話 夙 霧
長野白魚火五月句会 平成9年5月 感 銘 句 菜の花のなだれを留め千曲川 美茅女 繕ひし季寄せを繰りて春惜しむ 和 子 谷若葉ダム放水の音響く 遊 子 つばくらめ吐息どよめく厨子開扉 幸 男 惜春の老路に深しひとり酒 三千治 惜春や謎多かりきはうき星 一 灯 人恋ふや濃さ募りゆく桃の花 呂 逕 お開帳中日の稚児の眠りをり 直 則 願がけを済せて甘茶深く呑む 文 子 蒼天につばめ自由にたのしげに 智 子